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就労継続支援B型の報酬見直しはどう変わる?令和8年度改定のポイントと事業所が準備すべきこと

投稿日: 2026-03-13

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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障害福祉サービスに従事される皆様、日々の業務お疲れ様です。

2月に障害福祉サービスの報酬改定情報が出た際には、就労継続支援B型の運営に関わる方の中には、最近の報酬見直しの議論を見て、「結局、何がどう変わるのか分かりにくい」と感じている方も多いのではないでしょうか。

今回の令和8年度の見直しでは、就労継続支援B型について大きく二つの動きが示されています。
一つは、平均工賃月額に応じた基本報酬区分の基準見直しです。もう一つは、新規事業所に限った応急的な報酬単価の適用です。どちらも、令和6年度報酬改定後の実態を踏まえた対応として位置づけられています。

厚生労働省は、令和6年度報酬改定後、障害福祉サービス等の総費用額が前年度比で12.1%伸び、一人当たり総費用額は6.0%増、利用者数は5.8%増となったと整理しています。その中で、就労継続支援B型では高い報酬区分の事業所割合が増え、平均工賃月額も約6千円上昇した一方で、これは工賃月額の算定方法変更の影響が大きいと説明されています。

つまり今回の見直しは、「B型を厳しくするため」の単純な改定ではありません。国としては、工賃向上の実態に応じた評価に戻すこと、そして制度の持続可能性を保ちながら、地域に必要な支援を続けられるようにすることを狙っていると読むのが自然です。

この記事では、厚生労働省の資料をもとに、就労継続支援B型の報酬見直しがどう変わるのか、現場の運営にどう影響しそうか、そして今からどんな準備をしておきたいかを、できるだけわかりやすく整理します。

 

目次

 1. 就労継続支援B型の報酬見直しが注目される理由
 2. 令和6年度改定後、B型で何が起きていたのか
 3. 令和8年度の見直しで変わるポイント
 4. 基本報酬区分の基準見直しとは何か
 5. 新規事業所への報酬見直しはどうなるのか
 6. 今後のB型事業所運営で押さえたい視点
 7. 今から準備しておきたいこと
 8. まとめ

 

1. 就労継続支援B型の報酬見直しが注目される理由

就労継続支援B型が今回の見直しで特に注目されているのは、制度全体の中でも費用規模が大きく、かつ事業所数の伸びが続いているサービスの一つだからです。厚生労働省は、令和8年度の臨時応急的な見直しにあたり、年間総費用額全体に占める割合が1%以上、令和6年度の収支差率が5%以上、さらに事業所数が過去3年間5%以上の伸びを続けているサービスを対象にすると整理しており、その対象の一つとして就労継続支援B型を挙げています。

また、B型は利用者の生活や地域とのつながりを支える大事な場である一方で、地域によっては事業所の増え方が大きく、人材確保や支援の質への影響も議論されてきました。厚生労働省は、近年の急速な事業所増加について、必ずしもニーズを十分に反映していない可能性があるという自治体の声も紹介しています。

そのため今回の見直しは、B型そのものを縮小したいというより、本来の制度趣旨に沿った評価に戻し、必要な支援を持続的に続けられる仕組みに整え直すという意味合いが強いと考えられます。

 

2. 令和6年度改定後、B型で何が起きていたのか

今回の見直しを理解するには、まず令和6年度報酬改定後に何が起きていたのかを押さえる必要があります。

厚生労働省資料では、就労継続支援B型について、令和6年度改定後に高い報酬区分の事業所の割合が増加し、低い報酬区分の事業所の割合が減少したとされています。さらに、平均工賃月額も約6千円上昇しています。

ただし、ここで重要なのは、国がこの上昇を単純に「支援成果が大きく改善した」とは見ていないことです。資料では、この変化について、令和6年度報酬改定で行われた平均工賃月額の計算方法の変更の影響が考えられると説明されています。もともとは、障害特性などにより利用日数が少ない方を多く受け入れる場合でも不利になりすぎないように見直したもので、区分分布に大きな変動はないと想定していたものの、実際には高い区分に移る事業所が増えた、という整理です。

つまり、令和6年度改定後のB型では、工賃水準の実態以上に、計算ルール変更の影響で報酬区分が上がった事業所が一定数あったと考えられているわけです。今回の見直しは、このズレを調整する意味合いがあります。

 

3. 令和8年度の見直しで変わるポイント

令和8年度のB型見直しで押さえておきたいポイントは、大きく二つです。

一つ目は、平均工賃月額に応じた基本報酬区分の基準見直しです。厚生労働省は、令和6年度の算定方式見直しによって「見直しの意図と異なる形」で高い報酬区分の事業者が増えたことに対応し、B型の基本報酬区分の基準を見直すとしています。その際、事業運営に大きな影響を生じないよう、一定の配慮を行うとも明記しています。

二つ目は、新規事業所に限った応急的な報酬単価の適用です。B型は、収支差率が高く、かつ事業所が急増しているサービス類型の一つとされ、制度の持続可能性を確保する観点から、新規事業所に限って一定程度引き下げた基本報酬を適用する方向が示されています。既存事業所は従前どおりです。

この二つは性質が違います。
前者は令和6年度改定後のズレを補正する調整、後者は制度全体の持続可能性を見据えた新規参入への応急的な対応です。現場ではひとまとめに受け止められがちですが、意味合いを分けて理解しておくことが大切です。

4. 基本報酬区分の基準見直しとは何か

B型の運営で特に気になるのが、この基本報酬区分の基準見直しです。

B型では、平均工賃月額に応じた報酬体系が採用されており、工賃水準が高い区分ほど報酬単価も高くなります。令和6年度改定では、この平均工賃月額の計算方式が見直されましたが、その結果として、厚生労働省の想定よりも高い報酬区分へ移行する事業所が増えたとされています。

そこで令和8年度見直しでは、平均工賃月額の上昇分を踏まえて、基本報酬区分の基準額を見直す方向が示されました。厚生労働省資料では、平均工賃月額が約6千円上昇していることを踏まえた対応として説明されています。さらに、議事録では「中間的な区分を設けるなど、一定の配慮」が示されていることに言及があり、急激な影響を避ける工夫も検討されていることがうかがえます。

ここで実務上大事なのは、工賃が上がっているから安心とも、必ず大幅減収になるとも早合点しないことです。実際の影響は、現在の自事業所の平均工賃月額、どの区分にいるか、工賃の安定性があるかによって変わります。今後の告示や通知を確認しつつ、自事業所の位置を早めに把握しておくことが重要です。

 

5. 新規事業所への報酬見直しはどうなるのか

もう一つの大きな論点が、新規事業所への応急的な報酬見直しです。

厚生労働省は、B型を含む一部サービスについて、サービスの質を担保しつつ制度の持続可能性を確保する観点から、新規事業所に限って一定程度引き下げた基本報酬を適用するとしています。既存事業所は対象外です。

この背景には、障害福祉サービス等の総費用額が急激に伸びていることに加え、営利法人を中心とする新規参入の増加が、人材確保を一層厳しくしているという認識があります。国は、事業所数の伸びが著しいサービスについて、自治体から「ニーズ調査をせずに参入し、先に開設してから利用者を募る状況が見られる」という声があることも示しています。

つまりこの見直しは、新規参入そのものを否定するものではなく、地域ニーズと支援の質を伴わない拡大にはブレーキをかけるという考え方です。今後、新規開設を検討している法人にとっては、単に制度上参入可能かだけでなく、その地域でどんな役割を果たすのか、どのような工賃向上や支援の質を目指すのかが、これまで以上に問われることになります。

 

6. 今後のB型事業所運営で押さえたい視点

今回の見直しを受けて、B型の事業所運営ではいくつか押さえておきたい視点があります。

まず一つ目は、工賃向上の実態をつくることです。厚生労働省は、B型について利用者の経済的自立を促す観点から、平均工賃月額が高い区分の報酬単価を引き上げる方向をこれまで進めてきました。その一方で、工賃向上に向けた経営改善として、就労支援事業会計の理解、目標設定、生産活動内容の見直し、原価や作業工程の改善が重要だとしています。

二つ目は、報酬区分だけを追わないことです。今回の見直しは、計算ルールの影響で高い区分に上がった部分を調整する動きでもあります。だからこそ、単に区分維持を目標にするのではなく、工賃、利用者支援、作業内容、販路、地域連携といった土台をどう整えるかがより重要になります。

三つ目は、支援の質と運営の説明責任です。厚生労働省は、総費用額の伸びや一部不適切事案を背景に、サービスの質の低下を懸念していると明記しています。今後はB型でも、なぜこの活動を行うのか、どう利用者の力につなげているのか、どのように地域の役割を果たしているのかを説明できることが、これまで以上に大切になります。

 

7. 今から準備しておきたいこと

では、B型事業所は今から何を準備しておくとよいのでしょうか。

まず取り組みたいのは、自事業所の平均工賃月額と報酬区分の現状把握です。現在の工賃水準がどこにあり、仮に基準見直しが入った場合にどの程度影響がありそうかを試算しておくことは、早めの備えになります。告示や通知が出てから慌てるより、今の段階で複数パターンを想定しておく方が運営判断をしやすくなります。

次に、工賃向上の根拠になる事業設計の見直しです。生産活動の採算、販路、作業工程、支援体制、利用者特性との相性を見直し、無理のない工賃向上が可能かを考えていく必要があります。国も、工賃向上には会計理解、目標設定、生産活動の見直しなどが重要だと示しています。

さらに、記録と数値の整合性も重要です。工賃実績、出勤状況、生産活動、支援記録がバラバラだと、制度変更時に自事業所の実態を把握しづらくなります。今後は経営情報データベースや経営実態調査を通じて、経営状況や改定の影響把握も進む方針が示されており、数字を説明できる体制づくりはますます大切になりそうです。

最後に、現場の負担を減らすための業務整理やICT活用も進めたいところです。今回の令和8年度改定では、処遇改善とあわせて生産性向上や協働化の促進が打ち出されています。B型でも、記録、請求、工賃計算、会議資料づくりなどの間接業務を整理し、支援に向き合う時間を確保する視点が重要です。

8. まとめ

就労継続支援B型の令和8年度見直しで押さえておきたいのは、基本報酬区分の基準見直しと、新規事業所への応急的な報酬単価の適用の二本立てであることです。前者は令和6年度改定後の算定ルール変更によるズレを補正する意味合いがあり、後者は制度の持続可能性を確保するための新規参入への対応です。

現場にとっては不安もあると思いますが、今回の見直しは、B型の役割そのものを否定するものではありません。むしろ、工賃向上の実態、地域での役割、支援の質をより丁寧に評価し直していく流れの中にあると考えられます。

だからこそ今は、制度変更の情報を追うだけでなく、自事業所の工賃水準、事業構造、支援の強み、業務負担の実態を見直す好機でもあります。B型らしい支援をどう続けていくかを考えることが、これからの運営の安定につながっていくはずです。

参考:障害福祉サービス等報酬改定検討チームの 議論の状況について

   2040年に向けた障害福祉サービスの 提供体制について

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