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【障害福祉サービス】2026年の報酬改定から読み解く!2027年度報酬改定予測と私たちが今すべき準備

投稿日: 2026-03-13

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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障害福祉サービスに従事される皆様、日々の業務本当にお疲れ様です。

2026年度の報酬改定内容が示され、

「人が足りないのに、やるべきことは増えていく」
「制度の見直しが続いて、現場はいつも追いつくのが大変」
「この先も、必要な支援をちゃんと続けていけるのだろうか」

障害福祉に関わる事業所、職員、ご本人、ご家族の多くが、いまそんな不安を抱えているのではないでしょうか。

今回の令和8年度報酬改定は、単なる単価調整ではありません。厚生労働省の資料では、障害福祉サービス等に係る予算額は障害者自立支援法の施行時から4倍以上に増加し、令和6年度報酬改定後には総費用額が前年度比12.1%増、一人当たり総費用額が6.0%増、利用者数が5.8%増となったことが示されています。こうした伸びの中で、処遇改善だけでなく、サービスの質と制度の持続可能性をどう両立するかが強く問われています。

さらに、令和8年度の議論は目先の改定だけで完結していません。厚生労働省は、2040年を見据えた障害福祉の提供体制として、中山間・人口減少地域でのサービス維持、人材確保と生産性向上、地域における包括的な支援体制の構築をあわせて検討しています。つまり今回の改定は、「いま困っていることへの対応」であると同時に、「これから先も支援を続けるための制度の組み替え」でもあるのです。

この記事では、厚生労働省の公表資料をもとに、令和8年度報酬改定のポイントを現場目線で整理しながら、在宅系サービス、施設・通所系サービスそれぞれが今から準備しておきたいことをわかりやすく解説します。

 

目次

 1. 令和8年度報酬改定が「転換点」といわれる理由
 2. これまでの障害福祉報酬改定の流れ
 3. 令和8年度改定の大きなポイント
 4. 処遇改善はどう変わるのか
 5. 新規参入への見直しは何を意味するのか
 6. 就労系サービスの適正化で何が変わるのか
 7. 2040年を見据えた今後の議論
 8. 今、在宅系サービスが準備すべきこと
 9. 今、施設・通所系サービスが準備すべきこと
 10. まとめ

 

1. 令和8年度報酬改定が「転換点」といわれる理由

今回の改定が特に重要視されている理由は、障害福祉の制度がいま、拡大局面から再設計の局面に入っているからです。

これまで障害福祉は、必要な支援を広げる方向で制度が整備されてきました。その結果、利用者が増え、サービスの種類も広がり、支援の選択肢は以前より確実に増えています。一方で、制度全体の費用は大きく膨らみ、人材不足も深刻化しています。厚生労働省は、令和6年度報酬改定後の状況として、総費用額の伸びに加えて、人材確保が引き続き課題であり、本来の制度趣旨に沿わない加算算定も散見され、サービスの質の低下が懸念されると整理しています。

つまり、今後は「増やせばよい」という発想だけでは支えきれません。必要な支援を続けるために、どこを厚くし、どこを見直し、どうやって現場を守るのか。その判断が求められているのが、今回の改定です。制度を縮めるためというより、続けるための見直しと捉える方が実態に近いでしょう。

 

2. これまでの障害福祉報酬改定の流れ

近年の障害福祉報酬改定は、大きく見ると二つの方向で進んできました。ひとつは人材確保のための処遇改善、もうひとつは支援の質や専門性の評価です。

今回の令和8年度改定でも、この流れは継続しています。厚生労働省資料では、令和9年度の定期改定を待たずに期中改定を行い、障害福祉従事者の処遇改善、生産性向上や協働化の促進、相談支援等への新たな加算創設を行う方針が示されています。改定率はプラス1.84%、国費ベースで313億円とされています。

ここで大事なのは、今回の改定が「賃上げだけ」の話ではないことです。賃上げを進めつつ、制度の持続可能性も確保し、本来の制度趣旨から外れた算定や、地域ニーズを十分に見ないままの急速な参入には一定の歯止めをかける。そんな複合的な見直しになっています。

 

3. 令和8年度改定の大きなポイント

令和8年度改定のポイントは、大きく分けると三つあります。

一つ目は、処遇改善の強化です。福祉・介護職員だけでなく、障害福祉従事者を対象に幅広く月1.0万円相当の賃上げを実現する措置が示され、生産性向上や協働化に取り組む事業者の福祉・介護職員には月0.3万円相当の上乗せも予定されています。定期昇給0.6万円を含めると、福祉・介護職員については最大月1.9万円、6.3%の賃上げが実現する措置とされています。さらに、これまで処遇改善加算の対象外だった計画相談支援、障害児相談支援、地域相談支援にも新たに処遇改善加算を設ける方針です。

二つ目は、制度の持続可能性を確保するための見直しです。収支差率が高く、かつ事業所が急増しているサービス類型として、就労継続支援B型、共同生活援助の一部、児童発達支援、放課後等デイサービスが挙げられ、新規事業所に限って一定程度引き下げた基本報酬を適用する方向が示されています。既存事業所については従前どおりとされています。

三つ目は、制度趣旨から外れた算定の適正化です。就労移行支援体制加算については、一事業所で算定対象となる就職者数に上限を設けることや、他事業所も含めて過去3年間に算定実績がある利用者は原則算定不可であることを明確化する方向が示されています。就労継続支援B型の基本報酬区分についても、令和6年度改定後の想定外の上振れに対応する見直しが示されています。

4. 処遇改善はどう変わるのか

現場にとって最も関心が高いのは、やはり処遇改善ではないでしょうか。

今回の見直しでは、障害福祉従事者を幅広く対象に月1.0万円相当の賃上げ措置が示されています。加えて、生産性向上や協働化に取り組む事業者の福祉・介護職員には月0.3万円相当の上乗せが措置され、定期昇給0.6万円を含めると最大月1.9万円相当の賃上げ水準が想定されています。改定率はプラス1.84%です。

ここで見逃せないのが、対象範囲の広がりです。今回から処遇改善加算の対象は「福祉・介護職員のみ」ではなく「障害福祉従事者」に拡大され、これまで対象外だった計画相談支援、障害児相談支援、地域相談支援にも新たな処遇改善加算が設けられる方針です。相談支援の現場では、制度の要となる役割を担いながら、評価の面で難しさを感じていた事業所も少なくありません。今回の見直しは、その役割を一定程度反映する動きとして受け止められます。

ただし、処遇改善は「単価が上がるから安心」というほど単純ではありません。厚生労働省資料では、生産性向上や協働化、職場環境改善を組み合わせながら持続的な賃上げ環境を整える方向が示されています。つまり、今後は加算を取るだけでなく、どう現場の働きやすさに結びつけるかも問われていくということです。

5. 新規参入への見直しは何を意味するのか

今回の改定で大きなインパクトがあるのが、新規事業所への応急的な報酬見直しです。

厚生労働省は、障害福祉サービス等に係る総費用額の急伸に加え、営利法人を中心とする新規参入の増加も一因として人材確保が一層厳しくなっている状況を踏まえ、制度の持続可能性を確保する観点から緊急的な見直しを行うとしています。対象は、年間総費用額全体に占める割合が1%以上、令和6年度の収支差率が5%以上あり、過去3年間に事業所数が5%以上の伸びを続けているサービスです。具体的には、就労継続支援B型、共同生活援助のうち介護サービス包括型・日中サービス支援型、児童発達支援、放課後等デイサービスが示されています。これらについて、新規事業所に限って、一定程度引き下げた基本報酬を適用するとしています。

この動きは、「新規参入そのものが悪い」という話ではありません。国が問題にしているのは、地域ニーズや支援の質とのバランスを欠いたまま事業所だけが急増すると、既存の現場も含めて人材確保がさらに難しくなり、結果として支援の質が不安定になることです。既存事業所には従前どおりの扱いとしつつ、新規だけに応急的な見直しをかけるのは、その影響をできるだけ限定しながら制度全体のバランスを取ろうとする考え方だといえます。

 

6.就労系サービスの適正化で何が変わるのか

就労系サービスでは、今回の見直しがより具体的に示されています。

まず就労移行支援体制加算については、同一の利用者がA型事業所と一般企業の間で複数回離転職を繰り返し、その都度加算を取得するという、本来の制度趣旨と異なる形での算定が問題視されています。そのため、一事業所で算定可能となる就職者数に上限を設け、さらに他の事業所も含め過去3年間に算定実績がある利用者については原則算定不可であることを明確化する方向が示されています。令和8年4月施行想定とも記載されています。

また、就労継続支援B型の基本報酬区分については、令和6年度報酬改定で平均工賃月額の算定方式を見直した結果、意図と異なる形で高い報酬区分の事業者が増えたことに対応し、基本報酬区分の基準の見直しが示されています。資料では、平均工賃月額が約6千円上昇していることを踏まえ、その一定割合分、基準額を引き上げる方向が示される一方、影響が大きくなりすぎないよう一定の配慮も行うとされています。

就労系の事業所にとって大事なのは、制度の抜け道を探すことではなく、支援の質、本人の希望、定着支援の実態をきちんと積み上げる運営に戻していくことです。今回の適正化は、その方向をより明確にしたものといえそうです。

 

7. 2040年を見据えた今後の議論

今回の改定を理解するうえで欠かせないのが、2040年を見据えた議論です。

厚生労働省は、中山間・人口減少地域におけるサービス提供体制の確保、人材確保とケアの充実のための生産性向上、地域における包括的な支援体制の構築を大きな柱に据えています。特に中山間・人口減少地域については、今後サービス利用が減少し、従事者の確保も難しくなる中で、ニーズに応じた障害福祉サービスの維持・確保が必要としています。約3割の市町村でサービス利用者数が前年同月比マイナスになっているとの整理もあり、全国一律の発想だけでは支えきれない地域が出てきていることがわかります。

そのため、国は中山間・人口減少地域に限定した特例的なサービス類型の新設、一定条件のもとでの配置基準の弾力化、訪問系サービスにおける地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み、つまり月単位の定額払いを選択可能とする方向も検討しています。さらに、都道府県や市町村と連携しながら、地域ニーズに応じた事業所間連携を推進する方向も示されています。

今後の障害福祉は、単独の事業所が単独で頑張るだけではなく、地域全体でどう支え合うかがより重要になっていくと考えられます。

 

8. 今、在宅系サービスが準備すべきこと

在宅系サービスでは、今回の改定をきっかけに、日々の支援の見せ方と事業運営の組み立て方を見直しておく必要があります。

まず大切なのは、支援の質が伝わる記録です。居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、相談支援などの在宅系サービスは、個別性が高い一方で、支援の価値が外から見えにくい側面があります。だからこそ、状態変化、支援の判断、連携の内容を丁寧に残し、説明できる状態にしておくことが重要です。制度全体が「量」より「質」を問う方向に進んでいる以上、記録は単なる事務ではなく、支援の根拠そのものになっていきます。

次に、連携の仕組み化です。2040年に向けた議論では、分野を超えた連携の必要性が明確に示されています。在宅系では、相談支援、医療、家族、行政、学校、就労とのつながりが切れると支援が一気に不安定になりやすくなります。個人の頑張りに頼るのではなく、誰がどことつながるのかを日頃から整理しておくことが、今後ますます重要になります。

そして、ICTや業務整理も避けて通れません。国は生産性向上や協働化を処遇改善とも結びつけています。在宅系では、記録、請求、シフト、申し送り、加算管理など、現場の支援時間を圧迫している間接業務が少なくありません。現場が専門支援に集中できるよう、業務設計や事務フローを見直すことが、そのまま支援の質の安定につながります。

9. 今、施設・通所系サービスが準備すべきこと

施設・通所系サービスでは、今回の見直しの影響をより直接的に受ける可能性があります。

就労継続支援B型、共同生活援助、児童発達支援、放課後等デイサービスは、制度の持続可能性の観点から新規参入への応急的な報酬見直しの対象とされています。こうした状況では、自事業所が地域でどんな役割を担っているのか、なぜこの地域に必要なのかを言語化できることが重要です。単に事業を回しているだけではなく、どの利用者層に、どんな支援を、どのような専門性で提供しているのかが、今後の強みになっていきます。

また、算定ルールの管理もこれまで以上に重要です。今回の見直しは、不適切算定を広く疑うためというより、本来の制度趣旨と運用のずれを放置しないというメッセージです。加算要件の確認、実績の根拠整理、記録との整合、工賃や就労実績の管理などを丁寧に積み上げることが、結果として事業所を守ります。

さらに、施設・通所系でも生産性向上は大きなテーマです。国は人材確保とケアの充実のために生産性向上が必要だと明示しています。ここでいう生産性向上は、職員を減らすことではなく、会議資料づくり、転記、紙管理、情報共有の属人化といった間接業務を減らし、利用者と向き合う時間を確保することです。現場の負担を減らしながら支援の質を守る視点が、今後の運営には欠かせません。

10. まとめ

令和8年度の障害福祉報酬改定は、処遇改善の強化、新規参入への応急的な見直し、就労系サービスの適正化を同時に進める内容になっています。そこに共通しているのは、「必要な支援をこれからも続けるために、制度の土台を整え直す」という考え方です。

現場から見ると、不安になる要素も少なくありません。ですが、今回の議論は厳しくするだけのものではなく、相談支援を含む処遇改善の拡充、人材確保と生産性向上の両立、中山間地域でのサービス維持、地域連携の推進も同時に含んでいます。今後の障害福祉は、量を広げるだけの時代から、質と持続可能性を意識して支える時代に入っていくと考えられます。

だからこそ今、事業所に求められているのは、制度変更に振り回されることではなく、自分たちの支援の軸を見失わないことです。記録を整えること、連携を深めること、算定を適正に管理すること、業務を整理して現場の時間を守ること。その積み重ねが、次の改定時代を乗り切る力になっていきます。

参考:障害福祉サービス等報酬改定検討チームの 議論の状況について

   2040年に向けた障害福祉サービスの 提供体制について

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【この資料でわかること】
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