この記事では、令和3年に施行された介護報酬改定を踏まえて、特定事業所加算を取得する事のメリットとデメリットをご紹介します!
目次
特定事業所加算とは、サービスの質の高い事業所を積極的に評価する観点から、人材の質の確保やヘルパーの活動環境の整備等を行っている事業所に加算がされる制度です。
【加算率】実績の総単位数+加算Ⅰ…20%、加算Ⅱ・Ⅲ…10%、加算Ⅳ…5%
現在、大手の法人を中心に44.2%(2020年)の事業所で取得されており、その加算に加え特定処遇改善加算の取得を行うことで他事業所より多くの賃金を支払うことや、管理者・サービス提供責任者の膨大な作業を削減することに使用されています。
特定事業所加算の算定には、研修を充実させることや細かい申し送りが必要となります。
これらは本来、介護事業所として行われなければいけないことではありますが、よりしっかりと行われることが求められるため、ご利用者側が『事業所を選ぶ』際のポイントになります。
特定処遇改善加算の中でも加算率が1番高い『特定処遇改善加算Ⅰ』を算定できます。
訪問介護の特定処遇改善加算Ⅱは4.2%の加算率ですが、特定処遇改善加算Ⅰになると6.3%の加算が受けられます。
これにより従業員に対し、さらなる処遇改善をすることが可能です。
※特定事業所加算Ⅱの取得をしている場合に限る
特定事業所加算を取得するにあたり、特に多い声が『手間がかかる』『よくわからない』ということです。
弊社は、特定事業所加算に関するご支援で、全国500拠点以上の事業所とのお付き合いがありますが、理解してしまえば少しの工夫で、どの事業所も取得可能な加算です。
要件を正しく理解せず、その運用を怠れば返還を求められてしまうのがこの加算です。
実際のところ、求められる要件は決して甘くなく、数百万〜数千万円の返還を求められた事例も少なくありません。
自社で正しく運用する自信がない場合は、代行サービスを利用するのも一つの手です。
10年ほど前は、まだまだこの加算の認知度が低く、ご利用者も介護支援専門員の皆様も『特定事業所加算を取得している事業所』を選びにくいというお声もありました。
令和3年現在では、大手を中心に特定事業所加算の取得は『当たり前』になってきており、むしろ特定事業所加算の取得がない=賃金が少ないというイメージを持っている介護職員もいます。
介護職員が不足すれば、サービスを提供することは出来ず、ご利用者にとって一番大切な『継続してサービスを提供する』ということが出来なくなります。
ご利用者の負担が増えるのは事実ですが、今まで4,000円の自己負担を支払っていた場合、
加算のⅠで800円、加算のⅡ・Ⅲで400円の負担が増える計算になります。
『800円、400円を支払っても、このヘルパーさんに来てほしい』
『800円、400円負担が増えるなら、このヘルパーにはもう来てもらわなくていい』
多くのご利用者が、800円、400円を支払うことを選ぶことは明らかです。
今回は、特定事業所加算のメリットとデメリットを中心にお話させていただきました。介護報酬改定時にも様々な視点から注目されていました。
例えば、令和3年の介護報酬改定時の法改正に向けてまとめられた議論の論点では、「訪問介護は、有効求人倍率が高い・人手不足感が強い状況にある」ことを踏まえ、以下の通りとされました。
1の訪問介護員等の処遇改善に向けた取組をより一層推進する観点の中には、『特定事業所加算の取得』『特定処遇改善加算の取得』が避けて通れません。
まだ、特定事業所加算を取得されていない方は、是非取得を検討することをお勧めします。