訪問介護、通所介護などお役立ち情報・書式が満載

  1. HOME
  2. 通所介護
  3. 開業・運営
  4. 通所介護(デイサービス)の人員基準が返還に…事例から学ぶ対策

通所介護(デイサービス)の人員基準が返還に…事例から学ぶ対策

2025-07-17

通所介護事業所を運営していくうえで、人員基準を守ることは、安心・安全なサービス提供の土台となります。しかし、多くの事業所で「開業時に基準を満たしていれば問題ない」という認識が見られます。これは大きな誤解です。

人員基準は「一度クリアすれば終わり」ではありません。利用者数の変動、職員の入退職、勤務時間の変更など、日々の運営の中で人員配置は常に変化しています。そのため、継続的な見直しと調整が不可欠なのです。

特に近年、運営指導や監査において人員基準の遵守状況が厳しくチェックされており、基準違反による返還事例も増加傾向にあります。本記事では、運営中の通所介護事業所が陥りやすい人員基準の落とし穴と、その対策について詳しく解説します。

見落としやすい人員基準は?

常勤換算の計算ミス

常勤換算は人員基準の中でも特に計算ミスが起きやすい項目です。多くの事業所で見られる典型的な間違いは以下の通りです。

  • 週の勤務時間数での計算ミス
    常勤換算は「1週間の勤務時間数÷常勤職員の1週間の勤務時間数」で計算されます。しかし、祝日や有給休暇を考慮せずに計算してしまい、実際の勤務実績との間に乖離が生じるケースが多発しています。
  • 複数職種を兼務する職員の重複計算
    生活相談員と介護職員を兼務する職員について、両方の職種で常勤換算に算入してしまうミスも頻発しています。実際には、勤務時間に応じて按分計算が必要です。
  • 月単位での変動への対応不足
    月によって勤務時間が変動する非常勤職員について、年間を通じて同じ常勤換算値で計算してしまうケースも見られます。

勤務実績と勤務表の不整合

人員基準の確認において、勤務表と実際の勤務実績の整合性が重要です。典型的な間違いは以下の通りです。

  • 勤務表の事後修正
    急な職員の欠勤や早退に対して、勤務表を事後的に修正せずに放置することで、書類上の配置と実態が合わなくなるケースが多発しています。
  • 代替職員の配置記録不備
    職員が急遽欠勤した際の代替職員の配置について、勤務表への記録が漏れることで、人員基準を満たしていたかどうかの確認が困難になります。
  • 有給休暇取得時の計算ミス
    有給休暇を取得した職員の勤務時間について、常勤換算の計算に含めるべきかどうかの判断を誤るケースが見られます。

看護職員や生活相談員の配置時間不足

看護職員と生活相談員の配置については、単に「配置している」だけでは不十分で、具体的な配置時間の確保が求められます。典型的な間違いは以下の通りです。

  • 看護職員の配置時間
    看護職員は利用者の健康管理とサービス提供時間を通じて配置することが原則です。しかし、短時間の配置で基準を満たしていると誤解している事業所が少なくありません。
  • 生活相談員の実働時間
    生活相談員については、利用者やその家族との相談業務、関係機関との連絡調整など、実質的な業務時間の確保が重要です。名目上の配置だけでは基準違反となる可能性があります。

利用定員18人以下の人員基準|小規模デイでの注意点

小規模な通所介護事業所では、「利用者数が少ない=人員も少なくてOK」という思い込みが生む落とし穴があります。

実際には、利用定員18人以下の事業所でも、以下の最低配置基準を満たす必要があります。典型的な間違いは以下の通りです。

  • 管理者の配置
    小規模事業所でも常勤の管理者1名の配置が必要です。他の職種との兼務は可能ですが、管理業務に支障がない範囲での兼務に留める必要があります。
  • 生活相談員の確保
    利用定員に関わらず、生活相談員1名以上の配置が必要です。小規模事業所では、管理者や介護職員との兼務により配置するケースが多いですが、相談業務に必要な時間を確保することが重要です。
  • 看護職員の配置時間
    利用者数が少なくても、看護職員の配置時間は単位時間数に応じて確保する必要があります。「利用者が少ないから短時間でも大丈夫」という考えは危険です。
  • 介護職員の常勤換算
    小規模事業所では、介護職員の常勤換算で1.0を確保することが困難な場合もありますが、利用者数や提供時間に応じた適切な配置が必要です。


常勤換算の計算においては、実人数だけでなく、実際の配置時間と勤務実績を正確に把握することが重要です。小規模だからこそ、一人ひとりの職員の勤務状況が全体の人員基準に大きく影響するため、より細かな管理が求められます。

人員基準のズレに気づかず返還になった事例も

運営指導において人員基準違反が発覚し、介護報酬の返還を求められた事例が実際に発生しています。

【事例】
常勤換算の計算ミスによる返還A事業所では、非常勤職員の勤務時間を年間通じて同じ値で計算していました。しかし、実際の勤務実績を確認したところ、夏季休暇期間中の勤務時間が大幅に減少しており、数か月間にわたって人員基準を下回っていたことが判明しました。結果として、該当期間の介護報酬返還を求められました。

事例から分かるように、人員基準の管理は書類上の計算だけでなく、実際の勤務実績との整合性が重要です。日々の勤務状況の変化に対応できる管理体制の構築が不可欠です。

このような事例を避けたい方へ人員基準違反による返還リスクを避けるために、実際の返還事例を詳しく学びたい方は、こちらの資料をダウンロードしてご確認ください。

【まとめ】人員基準の見直しが、返還リスクの予防になる

通所介護事業所の人員基準は、開業時の許可要件を満たすだけでは不十分です。人員配置は利用者数の変動、職員の入退職、勤務時間の変更など、日々の運営の中で常に変化しているため、「一度決めたら終わり」ではありません。

継続的な人員基準の見直しと記録の整備こそが、返還リスクを最小化する最も確実な方法です。特に以下の点に注意を払うことが重要です。運営指導や監査では、これらの要素が総合的に評価されます。日頃からの適切な管理により、安定した事業運営をができます。


「今の体制で本当に大丈夫か不安な方へ」現在の人員配置体制に不安を感じている方、実際の返還事例を通じてリスク管理を学びたい方は、こちらの返還事例集をダウンロードしてご活用ください。具体的な事例を通じて、より確実な人員基準管理の方法を学べます。

【2025年最新版】通所介護 返還事例集

【この資料でわかること】
・通所介護の返還事例
・返還にならない管理体制をつくるための3つのポイント
詳しく見る

カテゴリ・タグ