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介護給付費明細書の書き方と記載例|返戻や指摘を防ぐポイント

2025-10-17

介護給付費明細書は、介護報酬請求の根拠となる重要書類です。記載ミスや漏れがあると返戻(書類が戻される)や監査での指摘の原因となり、事業所の収入に直接影響します。本記事では、介護給付費明細書(第二様式)の書き方・記載例・注意点を現場目線で解説します。

介護給付費明細書とは

介護給付費明細書の位置づけ・目的

介護給付費明細書(第二様式)とは、利用者へ提供した介護サービスの実績を記録したサービス提供票などを基に算出した介護給付費について、その内訳や保険者・利用者等への請求額を算定する書類です。

役割

内容

介護報酬請求の証拠

国保連への報酬請求の根拠書類として機能

利用者負担額の算定

利用者の自己負担額を正確に算出

サービス提供の証明

実際に提供したサービス内容と単位数の記録

事業所収入の管理

月次の収入内訳を把握し経営管理に活用

通所介護・訪問介護での適用範囲

介護給付費明細書の様式は、提供するサービス種別によって記載項目が異なります。通所介護ではサービス提供時間帯や入浴介助加算、個別機能訓練加算の有無などを記載し、訪問介護ではサービス提供回数と時間、生活援助・身体介護の区分、特定事業所加算の有無などを記載します。

法的根拠と提出期限

介護給付費明細書の様式は、厚生労働省令により定められています。介護サービスを提供した月の翌月1日から10日までに国保連へ提出します。令和6年度の介護報酬改定により、加算の内容や単位数が変更されているため、最新の単位数表を使用して請求する必要があります。

記載すべき基本項目

介護給付費明細書に記載すべき項目を整理しました。

項目カテゴリ

記載内容

記入時の注意点

利用者情報

・被保険者番号
・氏名(カナ・漢字)
・生年月日
・要介護度
・保険者番号

被保険者証と完全一致させる。
一文字でも間違えると返戻の原因に

サービス提供情報

・サービス種別コード
・提供年月
・提供日数・回数
・サービス単位数
・利用者負担割合

サービス提供票(別表)との整合性を必ず確認

加算・減算項目

・各種加算コード
・加算単位数
・減算事由と単位数

算定要件を満たしているか記録で確認。根拠書類の保管も必須

計算合計

・総単位数
・保険請求額
・利用者負担額
・公費請求額(該当者のみ)

計算ミスがないか電卓で再計算して確認

事業所情報

・事業所番号
・名称
・所在地
・電話番号

指定通知書の内容と一致させる

担当者情報

・作成者氏名
・作成日
・確認者氏名

責任の所在を明確にするため必須

備考欄の活用方法

備考欄は、特記事項や過誤調整の理由、その他連絡事項を記載する欄です。必要に応じて記載しますが、空欄でも問題ありません。ただし、通常と異なる請求を行う場合や、過去の請求を訂正する場合は、その理由を明記することで審査がスムーズになります。

記載のポイントと注意点

記載漏れを防ぐチェックポイント

記載前・記載後にチェックすべき項目を体系的に整理しました。

記載前の準備チェック

  • サービス提供票(別表)の準備ができているか
  • 利用者の被保険者証のコピーを手元に用意したか
  • 加算の算定要件を満たしているか(記録を確認)
  • 最新の単位数表を使用しているか
  • 前月分の請求内容を確認したか(二重請求防止)

記載後の確認チェック

  • 被保険者番号に誤りはないか(数字・桁数)
  • サービス提供日数・回数は正しいか
  • 加算・減算の計上に漏れや重複はないか
  • 合計単位数の計算は正確か
  • 作成者・確認者の署名はあるか
  • サービス提供票との整合性は取れているか

加算・減算の正しい計上方法

加算・減算の計上ミスは返戻の主要原因です。以下の点に注意しましょう。

加算計上時の確認事項

  • 算定要件を満たしているか(記録の有無)
  • 加算の届出を提出しているか
  • 同時算定できない加算を重複していないか
  • 加算のコード番号は正しいか

減算計上時の確認事項

  • 送迎を行わなかった場合の送迎減算
  • 人員基準を満たしていない日の減算
  • 営業日数・営業時間の減算

二重請求・過誤請求の回避

同じサービスを重複して請求することを「二重請求」、誤った内容で請求することを「過誤請求」といいます。これらは返戻だけでなく、悪質な場合は指導対象となります。

防止策

  • 前月分の請求内容を確認してから作成
  • 複数事業所を利用している場合は、他事業所の請求状況を確認
  • 請求ソフトの過誤チェック機能を活用
  • 月末にサービス提供実績を集計し、請求内容と照合

返戻や指摘を防ぐための確認ポイント

利用者情報やサービス内容の整合性チェック

返戻とは、審査の段階で内容の不備が発見されたため、請求書類が事業所に戻されることです。返戻となると対象分の支払い処理ができないため、内容を見直して再請求する必要があります。

必須チェック項目

  • 被保険者番号と氏名の組み合わせは正しいか
  • 要介護度は有効期間内のものか
  • サービス種別コードとサービス内容は一致しているか
  • 利用日数はサービス提供票と一致しているか
  • 利用者負担割合は正しいか(1割・2割・3割)

記載内容と計画書との突合

介護給付費明細書の内容は、以下の書類と整合している必要があります。

照合対象書類

確認内容

居宅サービス計画書

サービス種別、利用頻度が計画内か

通所介護計画書

提供したサービス内容が計画に沿っているか

サービス提供票

提供日数・回数が一致しているか

サービス実施記録

実際にサービスを提供した証拠があるか

計画書に記載されていないサービスを請求すると、運営指導で指摘される可能性があります。

運営指導や監査で指摘されやすい項目

運営指導では、以下の項目が重点的にチェックされます。

指摘項目

具体的な内容

対策

加算の算定根拠不足

加算を請求しているが記録や計画書に根拠がない

加算ごとに算定要件を記録に明記する

サービス提供の実態がない

請求はしているが実施記録がない

必ずサービス実施記録を残す

計画書との不整合

計画にないサービスを請求している

計画変更の手続きを行う

二重請求

他事業所と重複して同じ時間帯を請求

利用者のサービス利用状況を把握する

単位数の計算ミス

加算の計算や合計単位数が誤っている

計算過程を記録し、複数人で確認する

まとめ

介護給付費明細書は請求業務の基礎書類であり、正しく記載することで返戻や指摘を防止できます。

重要ポイント

  • 被保険者番号、氏名、サービス内容は被保険者証を見ながら正確に記載
  • 加算・減算は算定要件を満たしているか記録で確認し、根拠を残す
  • サービス提供票や計画書との整合性を必ず確認する
  • チェックリストを活用し、作成者と確認者のダブルチェック体制を構築
  • 提出期限(翌月1日から10日)を守り、余裕を持って作成する

本記事で紹介したポイントを参考に、日々の記録業務を効率化し、確実な請求業務を実現してください。正確な請求は事業所の安定した経営基盤につながります。

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