訪問介護、通所介護などお役立ち情報・書式が満載

  1. HOME
  2. 通所介護
  3. 通所介護のサービス実施記録票とは?書き方・記入例・注意点をわかりやすく解説

通所介護のサービス実施記録票とは?書き方・記入例・注意点をわかりやすく解説

2025-10-16

通所介護(デイサービス)を運営する上で、サービス実施記録票は欠かせない書類です。
しかし、「どこまで詳しく書けばよいのか」「運営指導で指摘されないためには何に注意すべきか」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、サービス実施記録票の基本から具体的な書き方、運営指導対策まで、現場で役立つ情報をわかりやすく解説します。

通所介護のサービス実施記録票とは

サービス実施記録票とは、通所介護事業所が利用者に提供したサービスの内容を記録する書類です。介護保険法に基づき、事業者には利用者ごとにサービス提供の記録を作成し保存する義務があります。

この記録票は、単なる業務日誌ではなく、ケアプランに基づいたサービスが実施されたことを証明する重要な証拠書類です。また、利用者の状態変化を把握し、多職種間で情報共有するための書類としても機能します。運営指導や監査の際には必ず確認される書類であり、不備があれば指導対象となる可能性があります。

通所介護におけるサービス実施記録票に記載すべき基本項目

サービス実施記録票には、以下の項目を必ず記載する必要があります。

項目

記載内容

具体例

利用者の基本情報

・氏名
・サービス提供日
・利用時間(送迎時間含む)

・山田太郎様
・2025年10月14日
・9:00~16:30(送迎含む)

サービス提供内容

・入浴
・食事
・排泄
・機能訓練
・レクリエーション活動など

・個浴にて入浴実施
・昼食全量摂取
・平行棒歩行訓練10分
・カラオケレクに参加

利用者の状態

・バイタルサイン
・表情や気分
・食事量
・排泄状況
・特記すべき変化

・血圧130/80、体温36.5度
・笑顔で挨拶される
・昼食8割摂取
・排尿2回、排便1回
・左膝の痛み訴えあり

職員の対応

・利用者の訴えへの対応
・観察結果と支援内容
・実施したケアの詳細

・「膝が痛い」との訴えに対し、湿布貼付と安静を促す
・歩行時ふらつきあり、見守り強化

記録者情報

・記録者氏名
・記録日時

・介護職員 佐藤花子
・2025年10月14日 17:00記録

これらの項目を漏れなく記載することで、サービス提供の証明と利用者の状態把握がおこなえます。

通所介護におけるサービス実施記録票の書き方のコツ

記録を書く際は、「5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)」を意識すると、わかりやすく正確な記録になります。

記録の5つの基本ルール

ルール

NG例(悪い記録)

OK例(良い記録)

1. 客観的な事実を書く

元気そうだった

笑顔で挨拶され、活動に積極的に参加された

2. 利用者の言葉はカギ括弧で

痛いと言っていた

「膝が痛い」と訴えあり

3. 具体的な数値・時間を入れる

たくさん食べた

昼食を8割摂取(主食150g、副食120g)

4. 肯定的な表現を使う

歩行が不安定

見守りにて歩行可能

5. ケアプランと連動させる

レクに参加した

計画目標「他者交流」に対し、カラオケレクで隣席者と会話される場面あり

通所介護におけるサービス実施記録の記入例

実際の記入例を示しながら、書き方のポイントを解説します。

記入例1:入浴サービスの記録

時刻

サービス内容・利用者の状態

職員の対応

14:00

個浴にて入浴実施。湯温38度。ご自身で洗体・洗髪され、職員は背部の洗体を介助。「気持ちよかった」と笑顔で話される。

皮膚状態を観察。発赤や傷なし。入浴後の水分補給(麦茶100ml)を促す。

記録のポイント: 湯温、介助の範囲、利用者の反応、皮膚観察結果を具体的に記載

記入例2:機能訓練

時刻

サービス内容・利用者の状態

職員の対応・評価

10:30

平行棒を使用した立位訓練を実施。5分間×2セット。途中で休憩を挟みながら最後まで取り組まれる。「最近は立っているのが楽になった」と話される。

姿勢の安定性が前回より向上。下肢筋力の維持が図れている。次回も継続予定。

記録のポイント: 訓練内容、時間、利用者の主観的評価、職員の客観的評価を記載

記入例3:状態変化

時刻

利用者の状態・訴え

職員の対応・経過

15:20

顔色不良あり。「少し気分が悪い」と訴え。

バイタル測定:血圧150/90、脈拍88回/分、体温36.8度。ベッドで臥床していただき様子観察。看護師に報告。

15:40

「楽になった」と話され、顔色も改善。バイタル安定:血圧135/85。

水分補給を促す。その後も様子観察継続。

16:00

帰宅時も状態安定。

ご家族に状況を報告し、念のためかかりつけ医への受診を勧める。家族了承。連絡ノートにも記載。

記録のポイント: 時系列で詳細に記録、バイタルサインの数値、対応の根拠、家族への報告内容を明記

記録の保存期間と管理方法

介護保険法施行規則に基づき、サービス実施記録票はサービスが完結した日から2年間保存することが義務付けられています。ただし、自治体の条例によっては5年間の保存を求められる場合があるため、所管する自治体の規定を必ず確認しましょう。

また、介護報酬の請求に関する書類(介護給付費請求書や明細書など)は5年間の保存が必要です。

保存方法は紙媒体でも電子媒体でも構いませんが、必要時にすぐ取り出せる状態で整理・保管する必要があります。電子記録の場合は、バックアップを取り、データの改ざんや消失を防ぐ対策が必要です。

個人情報を含む書類のため、施錠できる場所に保管し、閲覧できる職員を限定するなど、正しく情報管理をおこないましょう。

運営指導で確認されるポイント

運営指導では、以下の点が重点的にチェックされます。

まず、記録の有無と網羅性です。すべての利用者について、利用日ごとに記録が作成されているか確認されます。通所介護計画書との整合性も重要で、計画に記載されたサービスが実際に提供され、記録されているかが確認されます。

記録者の署名・押印があるか、個人情報の管理体制もチェックされます。また、利用者や家族への報告がおこなわれているか、特に状態変化時の対応が記録されているかも確認ポイントです。

運営指導に備えて、定期的に記録内容を見直し、不備がないか確認する習慣をつけましょう。

まとめ

サービス実施記録票は、利用者へのケア提供を証明し、サービスの質を向上させるための重要な書類です。客観的で具体的な記録を心がけ、ケアプランとの連動を意識することで、運営指導にも対応できる質の高い記録が作成できます。

記録業務は負担に感じることもありますが、利用者の小さな変化に気づき、より良いケアにつなげるための大切な仕事です。本記事で紹介したポイントを参考に、現場で活用してください。

【2025年最新版】通所介護 返還事例集

【この資料でわかること】
・通所介護の返還事例
・返還にならない管理体制をつくるための3つのポイント
詳しく見る

カテゴリ・タグ