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通所介護・訪問介護におけるサービス提供実績記録票の書き方と記入例

2025-10-14

サービス提供実績記録票は、介護サービスを提供した事実を記録し、適正な介護報酬請求をおこなうための重要な書類です。しかし、記載方法を誤ると運営指導での指摘や、最悪の場合は報酬返還のリスクにつながります。「何をどこまで書けばいいのか」「日々の業務で効率的に記録するには」と悩む事業所も多いでしょう。

本記事では、サービス提供実績記録票の基本的な書き方から具体的な記入例、よくあるミスと回避方法まで、実務ですぐに活用できる内容を解説します。正確な記録管理により、運営指導への不安を解消し、安心してサービス提供に専念できる体制を整えましょう。

サービス提供実績記録票とは?誰が作成するの?

サービス提供実績記録票は、介護サービスを提供した日時、内容、時間などを記録する帳票です。介護保険法に基づき、サービス事業所に作成・保管が義務づけられています。

実績記録票の役割

  1. 介護報酬請求の根拠: 国保連への請求内容が適正であることを証明する基礎資料
  2. サービス提供の証明: 利用者に対して確実にサービスを提供したことの記録
  3. 運営指導対応: 自治体の運営指導時に提示を求められる重要書類
  4. 利用者への説明資料: サービス内容を利用者・家族に説明する際の根拠

作成者と作成タイミング

サービス種別作成者作成時期提出先・時期
通所介護生活相談員またはサービス提供責任者サービス提供後、速やかに記録(当日中が望ましい)月末締めで翌月初めに居宅介護支援事業所へ提出
訪問介護サービス提供責任者

実績記録票は、利用者ごとに1ヵ月分をまとめて作成するのが一般的です。毎日のサービス提供内容を漏れなく記録し、月末に集計・確認をおこないます。

保管期間と方法

介護保険法により、完結日から5年間の保管が義務づけられています。紙媒体での保管のほか、電子データでの保管も認められていますが、必要時に速やかに出力できる体制を整えておく必要があります。

実績記録票に必ず記載すべき項目(通所介護/訪問介護共通)

サービス提供実績記録票に記載が必須となる項目を整理します。記載漏れは運営指導での指摘対象となるため、確実に押さえておきましょう。

項目カテゴリ記載内容詳細
基本情報利用者氏名、生年月日利用者を特定するための基本情報
事業所名、事業所番号サービス提供事業所の情報
作成者氏名サービス提供責任者等の氏名
対象年月実績記録の対象となる年月
サービス提供の記録(日ごと)提供日サービスを提供した日付
サービス内容提供したサービスの種類(通所介護、訪問介護等)
サービス提供時間開始時刻と終了時刻、または提供時間数
算定した単位数その日に算定した基本サービス費と加算の単位数
特記事項通常と異なる対応や利用者の状態変化など
加算の算定記録算定した加算個別機能訓練加算、入浴介助加算、口腔・栄養スクリーニング加算など
加算の単位数各加算の単位数を明記
訪問介護の追加記載サービス提供者実際にサービスを提供したヘルパーの氏名
具体的なサービス内容身体介護(入浴介助、排泄介助等)、生活援助(調理、掃除等)の内容
月間集計サービス提供回数(日数)1ヵ月間の合計提供回数
合計単位数1ヵ月間の合計単位数
利用者負担額利用者が負担する金額

これらの項目が漏れなく記載されていることで、適正な実績記録となります。

記入例(通所介護/訪問介護)

具体的な記入例を示します。実務での参考にしてください。

通所介護の記入例

利用者:山田太郎様(要介護2) 令和6年10月分

日付サービス内容時間算定単位特記事項
10/1(火)通所介護9:30-16:45基本765単位+個別機能訓練56単位+入浴50単位通常どおり
10/3(木)通所介護9:30-16:45基本765単位+個別機能訓練56単位+入浴50単位通常どおり
10/5(土)通所介護9:30-16:45基本765単位+個別機能訓練56単位入浴拒否あり
10/8(火)通所介護9:30-14:00基本765単位+個別機能訓練56単位体調不良により早退
10/10(木)通所介護9:30-16:45基本765単位+個別機能訓練56単位+入浴50単位通常どおり
月間合計利用回数: 12回合計単位数: 10,332単位利用者負担: 10,332円(1割負担)

【ポイント】

  • 時間は実際の送迎到着・出発時刻を記載
  • 算定単位は基本単位と加算単位を分けて明記
  • 通常と異なる対応があった場合は特記事項に記録

訪問介護の記入例

利用者: 佐藤花子様(要介護1) 令和6年10月分

日付サービス内容時間提供者算定単位特記事項
10/1(火)身体介護8:00-8:45(45分)田中ヘルパー身体2: 388単位起床介助、朝食準備
10/1(火)生活援助10:00-11:00(60分)鈴木ヘルパー生活2: 225単位掃除、洗濯
10/3(木)身体介護8:00-8:45(45分)田中ヘルパー身体2: 388単位起床介助、朝食準備
10/5(土)生活援助10:00-11:00(60分)山本ヘルパー生活2: 225単位買い物代行
10/7(月)身体介護8:00-8:45(45分)田中ヘルパー身体2: 388単位起床介助、朝食準備
月間合計身体介護: 12回、生活援助: 8回合計単位数: 6,456単位利用者負担: 6,456円(1割負担)

【ポイント】

  • サービス提供者(ヘルパー)の氏名を必ず記載
  • 身体介護と生活援助を明確に区別
  • 具体的なサービス内容を簡潔に記載

よくあるミスと注意点

運営指導で指摘されやすいミスと、その回避方法を解説します。

ミスの種類悪い例良い例解説
1. 提供時間の記載ミス9:00-17:00(送迎時間を含めた記載)9:30-16:45(実際の到着・出発時刻)通所介護の場合、送迎車が事業所を出発した時刻ではなく、利用者が事業所に到着・出発した実際の時刻を記載します
2. 加算の算定根拠が不明確加算の記載があるが、実施記録が別書類にない個別機能訓練加算を算定している場合、訓練実施記録が別途保管されている加算を算定する場合、その根拠となる記録(計画書、実施記録等)が必ず必要です。実績記録票と関連書類を紐づけて管理しましょう
3. サービス未提供日の記載利用予定だったが欠席した日も「提供あり」と記載欠席日は空欄または「欠席」と明記実際にサービスを提供していない日は算定できません。欠席の場合は必ずその旨を記録します
4. 訪問介護でヘルパー名の記載漏れヘルパー名が空欄または「訪問介護員」とだけ記載田中ヘルパー(資格: 介護福祉士)と具体的に記載誰がサービスを提供したかは必須記載事項です。ヘルパーの特定ができない記録は不適切とされます
5. 単位数の計算ミス要介護度や時間区分を誤って高い単位を算定報酬単位表を確認し、正確な単位数を記載単位数の誤りは過誤請求・返還の原因となります。記載後のダブルチェック体制を整えましょう
6. 利用者署名・確認の不足署名・確認なし月末に実績記録票のコピーを渡し、確認印をもらう一部自治体では、利用者または家族による実績確認の署名を求めています

効率的に記録を残すためのポイント

日々の業務の中で、効率的かつ正確に実績記録を残すための工夫を紹介します。

1. 記録のタイミングを決める

サービス提供当日、または翌朝の業務開始時に記録する習慣をつけます。まとめて記録しようとすると、記憶が曖昧になりミスが増えます。

2. テンプレート・チェックリストの活用

事業所で統一された記入フォーマットを用意し、記載漏れを防ぎます。月末には確認用チェックリストを使用し、必須項目の記載を確認します。

チェックリスト例

□ 利用者氏名、生年月日は記載されているか
□ サービス提供日・時間は正確か
□ 算定単位数は報酬単位表と一致しているか
□ 加算の算定根拠資料は揃っているか
□ 特記事項は適切に記載されているか
□ 月間集計は正確か

3. 介護ソフトの活用

介護ソフトを使用すれば、実績記録の自動集計や単位数計算が可能です。手書きに比べて転記ミスが減り、業務効率が大幅に向上します。

4. ダブルチェック体制の構築

記録作成者とは別の職員(管理者等)が確認する体制を作ります。特に月末の集計時には、複数名で確認することで誤りを防げます。

5. 運営指導を想定した整理

運営指導では、特定の利用者について「○月○日のサービス内容を説明してください」と求められることがあります。実績記録票と日々のサービス提供記録、加算の根拠資料を紐づけて保管しておくことで、スムーズに対応できます。

6. 定期的な振り返り

月に1回、管理者とサービス提供責任者で記録内容を確認する時間を設けます。記載の不備や改善点を共有し、継続的に記録の質を向上させましょう。

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