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通所介護の口腔・栄養スクリーニング加算|算定要件・様式・実務ポイント

2025-10-08

通所介護の口腔・栄養スクリーニング加算は、利用者の口腔機能や栄養状態を定期的に確認し、早期の問題発見と対応を図ることを目的とした加算です。高齢者の健康維持において口腔ケアと栄養管理は極めて重要であり、この加算制度は利用者のQOL向上に直結する取り組みを評価するものです。

しかし、算定要件が複雑で記録様式も詳細なため、不適切な算定による返還事例も発生しています。

本記事では、口腔・栄養スクリーニング加算の正確な理解と実務運用について、算定要件から具体的な記録方法、実務上の注意点まで詳しく解説します。

通所介護の口腔・栄養スクリーニング加算とは?

口腔・栄養スクリーニング加算は、通所介護において利用者の口腔機能と栄養状態を体系的にスクリーニングし、必要に応じて専門職や医療機関への連携をおこなうことを評価する加算制度です。

加算の種類と単位数

  • 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ):20単位/月
  • 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ):5単位/月

加算(Ⅰ)は口腔機能と栄養状態の両方をスクリーニングする場合、加算(Ⅱ)はいずれか一方のみをスクリーニングする場合に算定されます。

この加算の創設背景には、高齢者の誤嚥性肺炎の予防、低栄養状態の改善、口腔機能の維持向上による咀嚼・嚥下機能の保持など、包括的な健康管理の重要性があります。特に通所介護の利用者は要支援・要介護状態にあり、口腔機能の低下や栄養状態の悪化リスクが高いため、定期的なスクリーニングによる早期発見・早期対応が効果的とされています。

通所介護における口腔・栄養スクリーニング加算の算定要件

口腔・栄養スクリーニング加算の算定には、以下の要件を満たす必要があります。

基本要件

  • 利用開始時及び利用開始から6ヵ月ごとに実施
  • 管理栄養士、看護職員、言語聴覚士、歯科衛生士のいずれかが実施
  • スクリーニング結果に基づく対応の実施
  • 必要に応じて医療機関や居宅介護支援事業者への情報提供

口腔機能スクリーニングの実施項目

  • 口の健康状態(歯の状態、口腔内の清潔度等)
  • 口腔機能(咀嚼・嚥下・構音機能等)
  • その他口腔に関する問題の有無

栄養スクリーニングの実施項目

  • BMI(体格指数)の測定・評価
  • 体重変化の確認(6ヵ月間で2~3kg以上の減少等)
  • 食事摂取量の変化
  • その他栄養状態に関する問題の有無

実施者の要件

管理栄養士や看護職員等の専門職が実施することが必須です。介護職員のみでは算定できないため、事業所の人員体制を事前に確認する必要があります。

連携・情報提供の要件

スクリーニング結果で問題が発見された場合は、速やかに医療機関への受診勧奨や居宅介護支援事業者への情報提供をおこなうことが求められます。

通所介護における口腔・栄養スクリーニング加算の様式・記録

記録管理は加算算定の重要な要素です。以下の記録を整備する必要があります。

必要な記録様式

  • スクリーニング実施記録表
  • 利用者・家族への説明・同意書
  • 医療機関・居宅介護支援事業者への情報提供書
  • フォローアップ記録

スクリーニング実施記録の記載事項

  • 実施日時
  • 実施者(資格・氏名)
  • スクリーニング結果の詳細
  • 発見された問題点
  • 対応方針・実施した対応
  • 次回実施予定日

口腔機能記録のポイント

  • 歯の欠損状況、義歯の使用状況
  • 口腔内の炎症・感染の有無
  • 唾液分泌の状況
  • 咀嚼・嚥下機能の評価結果
  • 構音機能の状態

栄養状態記録のポイント

  • 身長・体重・BMI
  • 過去6ヵ月の体重変化
  • 食事摂取量の変化
  • 食欲・嗜好の変化
  • 栄養補助食品等の使用状況

記録は客観的かつ具体的に記載し、スクリーニング実施者の主観的判断だけでなく、測定値や観察事実を正確に記録することが重要です。

通所介護における口腔・栄養スクリーニング加算の実務ポイント

実務運用において注意すべき重要なポイントを以下に示します。

算定タイミングの管理

利用開始時と6ヵ月ごとの実施タイミングを正確に管理することが重要です。算定月の管理台帳を作成し、実施漏れや重複算定を防ぐ仕組みを構築しましょう。

実施者の資格確認

  • 管理栄養士:栄養スクリーニングのみ実施可能
  • 看護職員:口腔・栄養両方のスクリーニング実施可能
  • 言語聴覚士:主に口腔機能スクリーニング実施
  • 歯科衛生士:主に口腔機能スクリーニング実施

問題発見時の対応体制

スクリーニングで問題が発見された場合の対応フローを事前に整備しておくことが重要です。医療機関への連絡方法、居宅介護支援事業者への情報提供方法、緊急時の対応手順などを明文化しておきましょう。

利用者・家族への説明

スクリーニングの目的、方法、結果の活用方法について、利用者・家族に分かりやすく説明し、同意を得ることが必要です。また、問題が発見された場合の対応についても事前に説明しておくことが望ましいです。

他職種との連携

スクリーニング結果を他の専門職と共有し、ケアプランや個別機能訓練計画等に反映させることで、利用者への包括的なケア提供につなげることができます。

記録の保管・管理

スクリーニング記録は保管し、必要時に迅速に参照できる体制を整備することが重要です。また、個人情報保護の観点から、記録の取り扱いには十分な注意が必要です。

まとめ

口腔・栄養スクリーニング加算は、利用者の健康維持・向上に直結する重要な制度です。算定要件の複雑さに惑わされることなく、利用者本位の質の高いケア提供を目指し、制度活用を図っていくことが事業所の使命と言えるでしょう。

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