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【2024年度改定対応】通所介護のADL維持等加算とは?算定要件・LIFE・取得のポイントを徹底解説

2025-09-22

2024年度の介護報酬改定において、通所介護事業所にとって重要な加算の一つである「ADL維持等加算」が見直されました。この加算は、利用者の日常生活動作(ADL)の維持・改善を目的とした科学的介護の推進を評価する制度です。

ADL維持等加算の取得は、事業所の収益向上だけでなく、利用者のQOL向上と自立支援の実現に直結する重要な取り組みです。しかし、算定要件が複雑で、LIFE(科学的介護情報システム)への対応も必要なため、多くの事業所が取得に苦慮しているのが現状です。

本記事では、通所介護におけるADL維持等加算の基本的な仕組みから具体的な算定要件、LIFEとの関係性、そして確実に加算を取得するためのポイントまで、実務に役立つ情報を包括的に解説します。

ADL維持等加算とは

ADL維持等加算は、利用者の日常生活動作の維持・改善に向けた取り組みを評価し、科学的介護の推進を図ることを目的とした加算制度です。2021年度の介護報酬改定で創設され、2024年度改定でさらに要件が整理・明確化されました。

この加算の根本的な考え方は、従来の画一的なサービス提供ではなく、個々の利用者の状態やニーズに応じた個別性の高いケアプランの作成と実施を促進することにあります。バーセルインデックス(BI)を用いてADLの客観的な評価をおこない、その結果に基づいてサービス提供をおこなうことで、利用者の自立支援と生活の質の向上を図ります。

加算は、利用者のADL値の維持・改善実績に応じて算定される仕組みとなっており、事業所には継続的な効果測定と改善活動が求められます。これにより、エビデンスに基づいた質の高い介護サービスの提供体制が構築されることが期待されています。

通所介護で算定できるサービス種別

ADL維持等加算は、通所介護事業所において以下のサービス種別で算定することができます。

通常規模型通所介護、大規模型通所介護(Ⅰ)、大規模型通所介護(Ⅱ)のすべてで算定可能です。また、地域密着型通所介護においても同様の要件で加算を取得することができます。

認知症対応型通所介護についても、ADL維持等加算の対象となっており、認知症利用者に対する個別的なアプローチとADL評価の実施により加算算定が可能です。

ただし、療養通所介護については、医療ニーズの高い重度者を対象としたサービスの特性上、ADL維持等加算の対象外となっています。これは、療養通所介護の利用者特性とサービス提供の目的が、ADL維持等加算の趣旨と整合しないためです。

各サービス種別において、基本的な算定要件は共通していますが、利用者の特性やサービス提供時間に応じて、評価方法や目標設定に配慮が必要となる場合があります。

通所介護のADL維持等加算の算定要件

通所介護におけるADL維持等加算の算定要件は、以下の4つの主要な条件を満たす必要があります。

  1. 専門職による利用者のADL評価の実施です。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、介護職員などの専門職が、バーセルインデックスを用いて利用者のADLを客観的に評価し、記録することが求められます。
  2. 個別機能訓練計画の作成と実施です。ADL評価の結果に基づき、利用者一人ひとりの状態に応じた個別機能訓練計画を作成し、計画的なサービス提供をおこなう必要があります。計画には明確な目標設定と期間の設定が必要です。
  3. 定期的な評価と計画の見直しです。利用開始時、3ヵ月後、6ヵ月後にADL評価を実施し、その結果に基づいて機能訓練計画の見直しをおこないます。継続的なPDCAサイクルの実施が重要です。
  4. LIFEへのデータ提出です。評価結果や計画内容、実施状況などの情報をLIFEに定期的に提出し、国が収集するデータベースへの協力が義務付けられています。

通所介護のADL維持等加算の算定手順

ADL維持等加算の算定手順は、以下の段階的なプロセスに従って実施します。

まず、利用開始時のADL評価を実施します。専門職がバーセルインデックスを用いて利用者の現在のADL状況を詳細に評価し、ベースラインとなるデータを収集します。この評価結果は、その後の計画作成の基礎となる重要な情報です。

次に、評価結果に基づいて個別機能訓練計画を作成します。利用者の現状と目標を明確に設定し、具体的な訓練内容、頻度、期間を定めます。計画は利用者や家族にも説明し、同意を得ることが必要です。

計画に基づいたサービス提供を継続的に実施し、3ヵ月後および6ヵ月後に再評価をおこないます。この際、ADL値の変化を測定し、計画の効果を検証します。改善が見られない場合は、原因を分析し計画の修正をおこないます。

最後に、評価結果と実施状況をLIFEに提出し、加算の算定をおこないます。データ提出は決められた期限内に正確におこなう必要があり、提出漏れは減算の原因となるため注意が必要です。

通所介護のADL維持等加算とLIFEの関係

ADL維持等加算の算定において、LIFE(科学的介護情報システム)への対応は不可欠な要素です。LIFEは厚生労働省が運営する科学的介護情報システムで、全国の介護事業所から収集したデータを活用して、エビデンスに基づく介護の推進を図ることを目的としています。

通所介護事業所は、ADL維持等加算を算定する場合、利用者のADL評価結果、個別機能訓練計画の内容、実施状況、評価結果などの情報をLIFEに定期的に提出する義務があります。提出頻度は原則として月1回で、決められた様式に従って正確なデータ入力が求められます。

LIFEへのデータ提出により、事業所は全国平均や類似事業所との比較データを受け取ることができます。これらのフィードバック情報を活用することで、自事業所のサービスの質を客観的に評価し、改善点を明確にすることが可能になります。

また、LIFEから提供される科学的な根拠に基づく情報を活用して、より効果的な個別機能訓練計画の作成や見直しをおこなうことができ、利用者のADL維持・改善により大きな効果を期待できます。

通所介護事業所がADL維持等加算を取得するポイント

ADL維持等加算を確実に取得し、継続的に算定するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

1. 専門職の確保と育成

ADL評価を実施できる理学療法士、作業療法士、看護職員などの専門職を配置し、バーセルインデックスの正確な評価方法について継続的な研修を実施しましょう。評価の標準化により、データの信頼性を確保できます。

2. システム整備とデータ管理体制の構築

LIFEへの対応を含めた情報管理システムを整備し、評価データの収集・分析・活用ができる体制を作ることが重要です。定期的なデータバックアップと管理責任者の明確化により、確実な運用を図りましょう。

3. 利用者・家族への丁寧な説明と同意取得

ADL評価の目的や方法、個別機能訓練の内容について十分に説明し、理解と協力を得ることで、より効果的な取り組みが可能になります。

4. 継続的な質の向上への取り組み

評価結果を分析し、サービス提供方法の改善や職員のスキルアップに活用することで、利用者のADL維持・改善により大きな成果を上げることができます。

まとめ

通所介護のADL維持等加算は、科学的介護の推進と利用者の自立支援を両立させる重要な制度です。算定要件の理解と実践により、事業所の収益向上と利用者のQOL向上を同時に実現することができます。

特に、専門職による正確なADL評価、個別性の高い機能訓練計画の作成、LIFEを活用したデータ管理と分析が成功の鍵となります。これらの取り組みを通じて、通所介護事業所は質の高いサービス提供体制を構築し、持続可能な事業運営を図ることができるでしょう。

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