「同一建物減算」とは、通所介護事業所と同一建物に居住する利用者にサービスを提供する場合に介護報酬が減額される制度です。この制度を正しく理解せずに運用すると、減収や指導の対象となる可能性があります。
本記事では、同一建物減算の適用要件や算定方法、通所介護における運用上の注意点をわかりやすく解説します。
目次
同一建物減算とは、通所介護事業所と同一の建物に居住する利用者に対して通所介護サービスを提供する場合に、介護報酬から一定の単位数を減算する制度です。
この制度の背景には、同一建物内でのサービス提供は送迎コストが発生しないため、通常の介護報酬では過剰な給付になるという考え方があります。
具体的には、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、グループホームなどの高齢者向け住宅施設と同じ建物内に通所介護事業所が設置されている場合が該当します。
また、病院や診療所と同一建物内にある通所介護事業所についても、入院患者以外の利用者に対して減算が適用される場合があります。
単に「近隣にある」や「同じ敷地内にある」だけでは減算対象となりません。あくまで建物が物理的に一体となっている必要があり、この判断については自治体の指導監査部門に確認することが推奨されます。
以下のいずれかに該当する場合、減算の対象となります。
月の途中で同一建物に転居した場合は、転居後の利用日数のみが減算対象となります。
-94単位/日
事業所と同一建物について、その建物の管理や運営が通所介護事業所の運営法人と異なる場合でも、同一建物として取り扱うことになります。
建物の所有者や管理会社が異なっていても、物理的に同一建物であれば減算の対象となるため注意が必要です。
傷病、その他やむを得ない事情により、一時的に送迎が必要であると認められる利用者に対して送迎をおこなった場合は、例外的に同一建物減算の対象になりません。
ただし、この例外が適用されるのは、建物の構造上自力での通所が困難である利用者に対して、2人以上の従業者が移動を介助した場合に限られます。
通所介護の同一建物減算は、同一建物に居住する利用者に対して1日94単位を基本報酬から減算する制度です。特に併設型の事業所では日常的な業務として適切な運用が求められます。
制度を正しく理解し運用することで、健全な事業所運営と質の高いサービス提供の両立を実現しましょう。