デイサービス(通所介護)の安定経営において、介護保険請求は最も重要な業務の一つです。国民健康保険団体連合会(国保連)への請求手続きは複雑で、わずかなミスでも返戻や査定減となり、収入に大きな影響を与える可能性があります。
本記事では、デイサービス事業者が押さえておくべき介護保険請求の基本から効率化のポイントまで、実務に直結する情報を詳しく解説します。正確で迅速な請求業務を実現し、事業の安定的な収益確保を目指しましょう。
デイサービスの介護保険請求は、提供したサービスに対する対価を国保連に請求するプロセスです。利用者の自己負担分(1割〜3割)は直接利用者から受け取り、残りの保険給付分(7割〜9割)を国保連に請求します。この仕組みにより、デイサービス事業者は安定した収入を確保できます。
請求は月単位でおこなわれ、前月に提供したサービス実績をもとに翌月10日までに請求データを提出する必要があります。国保連では受付後に審査がおこなわれ、翌月末に支払いが実行されます。
デイサービスの基本報酬は、利用者の要介護度と利用時間に応じて設定されています。通常規模型、大規模型Ⅰ、大規模型Ⅱの事業所規模別に単位数が異なり、地域区分に応じた1単位あたりの単価を乗じて報酬額を算出します。
さらに、各種加算(入浴介助加算、個別機能訓練加算、栄養改善加算など)や減算(定員超過減算、人員基準欠如減算など)を正確な請求金額を算定することが重要です。
デイサービスの介護保険請求は、以下のスケジュールで進行します。
前月分のサービス提供実績を集計し、利用者ごとの請求データを作成します。利用日数、提供サービス内容、各種加算・減算の状況を正確に入力することが重要です。
作成した請求データを国保連の介護給付費請求システム(介護伝送ソフト等)を通じて送信します。送信前には必ずデータの整合性チェックをおこない、エラーがないことを確認しましょう。
国保連から審査結果が通知されます。返戻や査定減があった場合は、速やかに内容を確認し、必要に応じて再請求や過誤申立ての準備をおこないます。
返戻とは請求内容に不備があり支払いが保留されることで、査定減は請求額の一部が減額されることです。主な原因として、ケアプランとの整合性不備、算定要件の未充足、必要書類の不足などが挙げられます。
返戻された場合は翌月の請求時に修正して再請求し、査定減については過誤申立てにより支払いを求めることができます。いずれも迅速な対応が求められます。
ケアマネジャーが作成するサービス提供票に基づき、実際の提供実績を記録した別表を作成します。計画と実績の相違がある場合は、その理由を明確にしておく必要があります。
利用者の自己負担分について、請求書と領収書を管理します。食費や送迎費などの実費負担分も含めて正確に記録することが重要です。
各種加算の算定には、それぞれ特定の書類や記録が必要です。
加算 | 書類・記録 |
個別機能訓練加算 | 個別機能訓練計画書、実施記録 |
栄養改善加算 | 栄養ケア計画書、栄養状態のモニタリング記録 |
口腔機能向上加算 | 口腔機能改善管理指導計画書、実施記録 |
介護請求ソフトの導入は、業務効率化の最も効果的な方法です。利用者情報の一元管理、自動算定機能、エラーチェック機能などにより、請求ミスの削減と業務時間の短縮が実現できます。
ソフト選定の際は、デイサービスの業務フロー機能、国保連との連携機能、サポート体制の充実度を重視しましょう。また、制度改正時のアップデート対応も重要な選定基準です。
請求業務の品質向上には、複数人によるチェック体制が不可欠です。データ入力担当者、チェック担当者、最終確認者の役割を明確にし、段階的な確認プロセスを構築しましょう。
特に算定要件の充足状況、加算の妥当性、利用者負担額の計算については、重点的なチェックが必要です。
請求業務に携わる職員の知識向上は、請求精度の向上に直結します。制度改正の内容、算定ルールの詳細、請求システムの操作方法などについて、定期的な研修を実施しましょう。
外部研修への参加や専門書籍の活用、他事業所との情報交換なども有効な学習方法です。
請求業務の手順を標準化し、マニュアルとして整備することで、担当者が変わっても一定の品質を保つことができます。チェックリストの活用や期限管理の徹底により、業務の漏れや遅れを防止しましょう。
デイサービスの介護保険請求は、事業の根幹を支える重要な業務です。正確な請求業務を実現するには、制度の正しい理解、書類管理、効率的なシステム活用、そして継続的な品質改善が欠かせません。
請求業務の精度向上は、返戻や査定減の削減につながり、安定した収益確保を可能にします。また、業務の効率化により、より多くの時間を利用者へのサービス提供に充てることができるでしょう。
介護保険制度は定期的に改正がおこなわれるため、常に最新の情報をキャッチアップし、対応を心がけることが重要です。組織的な取り組みにより、請求業務の質を継続的に高めていきましょう。