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デイサービスの業務改善5選|現場の負担を減らす効率化の手順とマニュアル作成のコツ

2025-07-31

「記録に時間がかかりすぎて利用者との時間が減っている」「新人職員の教育に手間がかかる」「毎日の申し送りが長時間になってしまう」このような課題を抱えているデイサービス事業所は少なくありません。

人材不足が深刻化する介護業界において、限られた職員で質の高いサービスを提供するためには、業務改善による効率化は必要不可欠です。しかし、「何から手をつけていいかわからない」「改善したいが具体的な方法がない」と悩んでいる管理者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、実際にデイサービス現場で効果があった業務改善の事例を5つ紹介し、現場の負担を減らしながらサービス品質を向上させる具体的な手順とマニュアル作成のコツをお伝えします。小さな改善から始めて、着実に業務効率を向上させていきましょう。

なぜ今「業務改善」がデイサービスに求められているのか

デイサービス業界を取り巻く環境は急速に変化しています。2025年問題による利用者増加、慢性的な人材不足、介護報酬の厳格化など、多くの課題に直面する中で、従来のやり方では限界が見えてきています。

特に深刻なのは、記録業務や事務作業に多くの時間を割かれ、本来の利用者ケアに集中できない状況です。厚生労働省の調査によると、介護職員の約4割が「事務作業の多さ」を負担に感じており、これが離職の一因にもなっています。

また、新人職員の教育においても、統一されたマニュアルがないために指導者によってバラつきが生じ、教育効率の低下や職員間の連携不足を招いています。これらの課題を解決するためには、組織的な業務改善の取り組みが不可欠です。

業務改善により、職員の働きやすさが向上すれば、結果的に利用者へのサービス品質向上にもつながります。また、効率化によって生まれた時間を利用者との関わりやスキルアップに活用できれば、より質の高いケアの提供が可能になります。

デイサービスの業務改善|まず見直すべき3つのポイント

1.業務の洗い出しと可視化

業務改善の第一歩は、現在おこなっている業務を全て洗い出し、可視化することです。「誰が」「何を」「いつ」「どのくらいの時間で」おこなっているかを詳細に記録しましょう。

具体的には、1週間から1ヵ月程度の期間で職員全員に業務日記をつけてもらい、30分単位でどのような業務をおこなったかを記録します。この作業により、無駄な業務や重複している作業、時間のかかりすぎている業務が明確になります。

可視化の際は、業務を「利用者に直接関わる業務」「記録・事務業務」「その他の業務」に分類し、それぞれの時間配分を分析します。理想的には、利用者に直接関わる業務が全体の60-70%を占めることが望ましいとされています。

2.情報共有の見直し(申し送り・記録業務)

申し送りや記録業務は、デイサービス運営において重要な業務ですが、同時に最も時間を要する業務の一つでもあります。まずは現在の申し送り時間と内容を詳細に分析しましょう。

効率的な申し送りのポイントは、「伝える情報の精選」「標準化されたフォーマットの使用」「ICTツールの活用」です。特に、すべての利用者について一律に報告するのではなく、変化があった利用者や注意が必要な利用者に焦点を絞ることで、申し送り時間を大幅に短縮できます。

記録業務については、重複している記録がないか、法的に必要な記録と任意の記録を明確に分けているかを確認し、無駄な記録作業を削減します。

3.時間の使い方(スケジュール管理)の改善

デイサービスの1日のスケジュールを詳細に分析し、時間の使い方を最適化します。特に注目すべきは、利用者の送迎時間、食事時間、入浴時間、レクリエーション時間の配分です。

時間管理の改善には、利用者の個別ニーズに応じたフレキシブルなスケジュール設定が重要です。例えば、入浴を希望しない利用者には別のプログラムを提供する、食事時間をずらして職員の負担を分散させるなど、画一的ではない柔軟な対応により効率化を図ります。

また、職員の休憩時間の確保も重要なポイントです。適切な休憩により職員のパフォーマンスが向上し、結果的に業務効率も改善されます。

実際に効果があった!デイサービスの業務改善5つの事例

1.タブレットで介護記録をペーパーレス化

A事業所では、手書きの介護記録をタブレット入力に変更し、記録時間を1人あたり1日平均30分短縮しました。タブレット導入により、その場で記録入力ができるため、後からまとめて記録を書く手間がなくなりました。

導入のポイントは、職員のITスキルに合わせた段階的な導入と、十分な研修期間の確保です。最初は紙とタブレットを併用し、慣れてきたら完全にペーパーレス化するという段階的アプローチが成功の秘訣でした。

また、音声入力機能を活用することで、手書きが苦手な職員でも効率的に記録を作成できるようになり、記録の質と量の両方が向上しました。

2.送迎ルートの最適化と外部委託

B事業所では、送迎業務の効率化のため、GPS機能付きの送迎管理システムを導入し、最適なルート設定をおこないました。その結果、送迎にかかる時間を平均20%短縮し、ガソリン代も月額3万円削減できました。

さらに、送迎業務の一部を専門業者に委託することで、介護職員が利用者ケアに集中できる時間が増加しました。委託先の選定では、介護に関する知識と経験を持つ業者を選ぶことが重要でした。

この改善により、職員の残業時間が削減され、利用者との関わり時間も確保できるようになりました。

3.業務マニュアルで新人教育を効率化

C事業所では、業務手順を標準化した詳細なマニュアルを作成し、新人教育の効率化を図りました。マニュアルには、写真や図解を多用し、経験の浅い職員でも理解しやすい内容にしました。

マニュアル作成のコツは、「なぜその手順なのか」という理由も併記することです。単なる手順書ではなく、根拠のある説明を含めることで、職員の理解度が向上し、応用力も身につきます。

また、定期的にマニュアルを更新し、現場の声を反映させることで、実用性の高いマニュアルを維持しています。新人の独り立ち期間が従来の3ヵ月から2ヵ月に短縮され、教育コストの削減にもつながりました。

4.朝礼・申し送りの時間短縮

D事業所では、朝礼と申し送りの時間を従来の30分から15分に短縮しました。改善のポイントは、事前に情報を整理し、重要度に応じて伝達内容を3段階に分類したことです。

「緊急性の高い情報」「当日注意すべき情報」「参考情報」に分け、緊急性の高い情報のみを口頭で共有し、その他は掲示板やメール等で情報提供するようにしました。

また、申し送り専用のテンプレートを作成し、要点を簡潔にまとめて伝えるスキルを職員全員で身につけました。この結果、情報伝達の精度を保ちながら時間短縮を実現できました。

5.外部ツール(LINE WORKSやクラウド勤怠管理)の活用

E事業所では、職員間の連絡にLINE WORKSを導入し、情報共有の迅速化を図りました。緊急時の連絡や、写真を使った情報共有により、電話連絡の回数が大幅に減少しました。

また、クラウド型の勤怠管理システムを導入し、手書きの出勤簿からの脱却を図りました。職員はスマートフォンで出退勤を記録でき、管理者はリアルタイムで勤怠状況を把握できるようになりました。

これらのツール導入により、事務作業時間が1日あたり約1時間短縮され、その時間を利用者サービスの向上に活用できるようになりました。

まとめ|まずはできることから、小さく始めるのが業務改善の第一歩

デイサービスの業務改善は、一度に大きく変えるのではなく、小さな改善を積み重ねることが成功の鍵です。まずは現状の業務を可視化し、最も効果が期待できる分野から着手しましょう。

重要なのは、職員全員が改善の意義を理解し、協力的に取り組める環境を作ることです。改善案を検討する際は、現場職員の意見を積極的に取り入れ、実現可能な範囲から始めることが大切です。

また、業務改善の効果を測定し、定期的に見直しをおこなうことで、継続的な改善サイクルを確立できます。今回紹介した事例を参考に、自事業所に適した改善方法を見つけ、段階的に実施していくことで、必ず業務効率の向上を実感できるはずです。

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