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デイサービスの離職率を下げるには?原因分析と研修計画で職員定着を図る方法

2025-07-29

「また新人が辞めてしまった…」「今度こそ長く働いてもらいたい」そんな悩みを抱えているデイサービスの管理者は多いのではないでしょうか。せっかく迎えた職員が短期間で離職してしまうのは、事業所にとって大きな損失です。

実は、職員の離職理由の多くは「研修不足」にあります。新人職員が安心して働けるような研修制度を整備することで、「この職場で頑張りたい」と思ってもらえる環境を作ることができるのです。

デイサービスの離職率はなぜ高い?

介護業界全体の離職率の現状

厚生労働省の調査によると、介護業界では他の業界に比べて職員の入れ替わりが多いことがわかっています。特にデイサービスでは、「覚えることが多すぎて大変」「一人前になれる気がしない」といった理由で離職する職員が少なくありません。

デイサービスは朝の送迎から始まって、入浴介助、レクリエーション、夕方の送迎まで、多岐にわたる業務を限られた時間でこなす必要があります。新人職員にとっては業務の幅が広く、「自分にできるだろうか」という不安を感じやすい環境といえるでしょう。

主な離職理由とデイサービスの実情

「仕事がきつすぎる」「わからないことだらけで不安」「ミスしたらどうしよう」…新人職員が感じるこうした不安の多くは、実は研修不足から来ています。

送迎ルートの把握、利用者一人ひとりの特徴の理解、安全な入浴介助の技術など、覚えるべきことは山積みです。それにも関わらず「とりあえず先輩について回って覚えて」で済まされてしまう職場が多いのが現実です。

特に「事故を起こしてはいけない」というプレッシャーは深刻です。送迎中の安全運転、入浴時の転倒防止、服薬管理など、利用者の生命に関わる業務が多く、適切な研修を受けていないと常に不安を抱えながら働くことになります。

また、少人数で働くデイサービスでは人間関係も重要な要素です。先輩職員との関係がうまくいかなかったり、質問しづらい雰囲気があったりすると、新人は孤立感を感じてしまいます。こうした不安が積み重なって、最終的には離職につながってしまうのです。

離職率と研修の関係とは?

教育体制が整っていない職場の特徴

離職率の高いデイサービスでよく見られるのが、新人職員を現場に「放置」してしまうパターンです。業務の忙しさを理由に、「見て覚えてください」「慣れるまで頑張って」と言うだけで、具体的な指導をおこなう時間を確保できていません。

また、指導内容が人によって異なる「属人的な教育」も問題です。Aさんに聞いたやり方とBさんに聞いたやり方が違うため、新人職員は混乱してしまいます。統一されたマニュアルや指導方法がないと、何が正しいのかわからなくなってしまうのです。

こうした環境では、新人職員の「わからない」「不安」が解消されることなく蓄積されていきます。質問したくても忙しそうで声をかけづらい、間違いを指摘されるのが怖い…そうなると「この職場では成長できない」と判断して離職してしまうのも無理はありません。

研修制度が整った職場の好事例

一方で、研修制度が整備されているデイサービスでは、新人職員も安心して働いています。「最初の1ヵ月はこれを習得しましょう」「2ヵ月目からはこんな業務にチャレンジしてみませんか」というように、段階的に成長できる道筋が明確になっているのです。

こうした職場では、先輩職員も「新人を育てることは私たちの重要な責務」という意識を持っています。そのため質問しやすい雰囲気があり、間違えても「大丈夫、皆最初はそうでした」と温かくフォローしてもらえます。チーム全体で新人を支える文化が根付いているのです。

さらに、定期的な研修があることで「この職場で長期的に働ける」「スキルアップできる」という安心感も生まれます。将来への不安が軽減されることで、職員はより前向きに業務に取り組むことができるようになります。

職員定着に効果的な研修計画とは

① ステップ別の研修計画が重要

効果的な研修で大切なのは、新人職員の成長段階に合わせて段階的に進めることです。最初から全ての業務を覚えてもらおうとすると、情報過多で混乱を招いてしまいます。

入職時研修

「事業所の理念や方針」「基本的な業務の流れ」といった基礎的な内容から始めましょう。安全管理に関する最低限のルールも、この時期にしっかりと伝えます。何より「ここは安心して働ける職場である」ということを実感してもらうことが重要です。

業務習得段階の研修

実際の介護技術や送迎業務のコツ、利用者との関わり方など、より実践的な内容を学んでもらいます。先輩職員とペアを組みながら、「このように対応すると良い」「利用者はこんなことを喜ばれる」と具体的に指導していきます。

継続的なスキルアップ研修

新しい介護技術の習得や法改正への対応、リーダーシップ研修など、長期的な成長を支援します。継続的に学べる環境があることで、職員のモチベーション維持にもつながります。

② 実施計画は「いつ・誰が・どうやって」を明確に

「研修を実施しよう」と考えても、日々の業務に追われて先延ばしになってしまった経験はないでしょうか。研修を確実に実施するためには、「いつ実施するか」「誰が担当するか」「どのような方法でおこなうか」を事前に明確にしておくことが重要です。

年間研修スケジュール表を作成し、「4月は基礎研修」「7月は介護技術研修」というように計画的に進めましょう。担当者も事前に決定しておけば、スムーズに研修を実施できます。

また、「どこまで習得できているか」をチェックするリストがあると効果的です。新人職員も「ここまで成長できた」という達成感を得られますし、管理者も個々の職員の成長状況を把握しやすくなります。

③ モチベーションを高める仕組みも研修に組み込む

研修で技術的なスキルを教えるだけでなく、職員のモチベーション向上を図ることも重要です。研修終了後には、「いかがでしたか?」「わからない点はありませんか?」と声をかけ、感想や疑問を聞いてみましょう。

「前回と比べて格段に上達しましたね」「利用者も○○さんの関わりを喜んでいらっしゃいます」といった具体的な成長を伝えることで、職員は「努力が報われている」と実感できます。

研修受講履歴や習得したスキルを記録として残すことも効果的です。後から振り返った際に「これだけ多くのことができるようになった」と成長を実感でき、自信につながります。小さな成長の積み重ねが、大きなやりがいへと発展していくのです。

まとめ|研修を整え、離職率を“下げる”デイサービスに

研修にかける時間や労力を「コスト」と捉える管理者もいるかもしれません。しかし、研修は決して無駄な出費ではなく、職場の将来への重要な「投資」なのです。

新人職員が安心して働ける環境を整備することで、長期的な定着が期待できます。結果として新規採用にかかる労力やコストも削減でき、経験豊富な職員が増えることで利用者へのサービス品質も向上します。何より、職員が生き生きと働く職場は、利用者にとっても心地よい空間となるはずです。

離職防止のための仕組み作りは、短期間で完成するものではありません。しかし、今日から取り組むことで、確実に職場の未来を変えることができます。職員が「ここで働けてよかった」「さらに成長したい」と感じられるデイサービスを目指していきましょう。

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