デイサービスの現場では、人手不足が深刻になるなかで、記録の正確さや業務の効率化といった課題への対応が求められています。こうした課題を解決するために注目されているのが「ICT化」です。しかし、「何から始めればいいのか分からない」「導入したものの現場に定着しない」といった悩みを抱える事業所も少なくありません。
本記事では、デイサービスにおけるICT化の具体的な活用方法から成功事例、失敗を避けるポイント、ICT導入を検討する事業所が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
目次
ICT化とは、従来の紙ベースや人的作業を電子化・自動化することを指します。具体的には以下のような取り組みが含まれます。
デイサービスでは、以下のような業務場面でICTが活用されてます。
利用者の状態変化に応じた通所介護計画書の作成・更新が自動化され、作成時間の大幅短縮が可能です。モニタリング業務においては、日々の記録から自動的に評価データを抽出し、計画の見直し時期を通知する機能により、適切なタイミングでのケア見直しが実現できます。
バイタルチェックや活動記録をタブレットで入力することで、転記ミスを削減し、リアルタイムでの情報共有が可能になります。シフト管理では、職員の勤務予定と利用者の出席予定を連動させ、適切な人員配置を自動で算出できます。
個別機能訓練加算や入浴介助加算などの算定要件を自動チェックし、取り漏れや誤算定を防止する機能は、収益最大化と返還リスク回避の両面で大きな効果をもたらします。
定員25名のデイサービスA事業所では、ICT化により以下の成果を上げました。
計画書作成時間の短縮
従来1件あたり60分かかっていた通所介護計画書の作成が、テンプレート機能と自動転記により20分に短縮。月25件の計画書作成で約17時間の削減を実現しました。
記録業務の効率化
紙の記録からタブレット入力に変更し、転記作業を廃止。1日あたり2時間の記録作業が45分に短縮され、月約35時間の削減効果がありました。
加算管理の自動化
個別機能訓練加算の算定要件チェックを自動化し、取り漏れがゼロになりました。同時に、算定根拠となる記録の整備も自動化され、運営指導対策も万全になりました。
定員15名の小規模デイサービスB事業所では、ICT導入前は月平均8件の記録ミスや転記ミスが発生していました。ICTシステムの導入により、入力時の自動チェック機能と重複入力の防止機能により、導入6か月後には書類ミスがゼロになりました。
訪問スケジュール管理では、送迎車のルート最適化機能により、1日あたり30分の送迎時間短縮を実現。職員間の連携においても、リアルタイムでの情報共有により、申し送りの抜け漏れが大幅に減少しました。
ICT導入の失敗例で最も多いのが、システムを導入しただけで業務フローの見直しをおこなわないケースです。既存の業務をそのままデジタル化しても、効果は限定的です。ICT導入を機に、業務プロセス全体を見直し、無駄な工程を削減することが重要です。
高機能なシステムを導入しても、現場の職員が使いこなせなければ意味がありません。特に、IT操作に不慣れな職員が多い介護現場では、直感的に操作できるシンプルなインターフェースが重要です。また、段階的な導入と継続的な研修により、職員の習熟度を高める取り組みが必要です。
ICTツールを入れたものの、現場がうまく使いこなせない。そんな声をよく聞きます。プロサポ通所介護は、ただのソフトではありません。導入前から導入後まで、専門スタッフが寄り添ってサポートする「人による支援」があるから、初めての方でも安心して使い始められます。
ICT化の本質は、単なるツール導入ではなく、「仕組みの見直し」と「業務の仕組み化」にあります。現在の業務フローを可視化し、無駄な工程を削減し、標準化することで、ICTの効果を最大化できます。
介護業界全体でICT化が進む今、他事業所と差がつく前に「一歩踏み出す」ことが重要です。まずは現状の課題を整理し、どのような効果を期待するかを明確にした上で、最適なソリューションを検討しましょう。