通所介護は、高齢者や障害者が自宅で暮らしながら通所によって介護サービスを受けることができる制度です。通常は、利用者ごとに一定の利用時間がありますが、それを超えた場合に延長加算を算定できます。
より長い時間サービスを受けられることによって、日常生活の支援やリハビリテーションの効果を高めていくことができます。また、同居家族の負担の軽減や利用者の生活の質が向上することが期待できます。
今回の記事では、通所系サービスについて、算定要件や人員配置について詳しく解説していきます。
目次
延長加算とは、通所介護(デイサービス)において、基本報酬の区分によって定められている時間を超えて、サービスを提供することを評価する加算のことです。
具体的な時間数は地域や事業所によって異なりますが、通常はサービス提供が9時間を超える場合に加算対象となることが多いようです。
平成27年度の介護報酬改定から、通所系サービスの基本報酬区分が1時間単位で設定されています。
通所介護で延長加算を算定するには、デイサービスの利用者が、以下の2つの要件のいずれかを満たす必要があります。
単位数は以下の通りです。
時間 | 単位数 |
9時間以上10時間未満 | 50単位/日 |
10時間以上11時間未満 | 100単位/日 |
11時間以上12時間未満 | 150単位/日 |
12時間以上13時間未満 | 200単位日 |
13時間以上14時間未満 | 250単位日 |
通常の通所介護サービスでは、厚生労働省によって職種や配置人数といった人員基準が厳しく設定されています。
しかし、延長加算を算定する時間帯には、事業所の状況に応じた職員を配置すれば、配置基準通りの人員でなくても加算を算定することができます。同じ職員が複数のユニットの利用者を担当することも可能です。
延長加算は所要時間8時間以上9時間未満の通所介護をおこなった後に引き続き生活上の世話をおこなった場合に算定するものです。
例えば、通所介護において8時間30分サービスを受けた場合、延長加算は8時間以上9時間未満の加算が加えられます。
また、その後に日常生活上の世話をおこなった際には、通常のサービス提供時間ではないため、事業所の状況に応じながら、利用者の安全を確保できる適当な人員を配置していれば、職種などにこだわらずに自由に配置できます。
延長加算については、実際に利用者に対して延長サービスをおこなうことができる場合に届け出が必要です。しかし、延長サービス利用時の職員の配置状況がわかる書類を提出する必要はありません。
サービス提供時間が9〜17時の通所介護においては、「8時間以上9時間未満の通所介護」に該当し、延長加算が算定できます。
しかし、算定できるのは9時間を超えてからになります。つまり、1時間分(サービス提供前の8〜9時またはサービス提供後17〜18時)の延長はサービス提供時間外であるものの、延長加算を算定することができません。事業所による自費サービスとなります。
延長加算は、「所要時間8時間以上9時間未満の通所介護の前後に連続して」日常生活上の世話をおこなう場合に算定できます。そのため、サービス提供時間の設定が8時間未満の事業所では延長加算を算定できません。
サービス提供時間が9〜16時の通所介護は、7時間以上8時間未満のサービス提供時間になるため、延長サービスをおこなっても延長加算は算定されません。
事業所を利用した後に引き続き、その事業所の設備を利用して宿泊する場合や、福博委🅂他翌日に介護サービスの提供を受ける場合には、延長加算を算定できません。
延長加算は、所要時間8時間以上9時間未満の指定通所介護等をおこなった後に引き続き日常生活上の世話をおこなった場合等に算定するものであるため、算定できません。
デイサービスの延長は、延長分の追加料金を自費で支払う必要があります。多くの施設では追加料金を30分ごとに計算していくようです。
通常のデイサービスの提供時間が8時間の場合、延長加算は9時間以降から算定できます。そのため、その間の1時間分の延長料金については自費で請求が可能です。
利用時間延長の際には、利用者に規約や延長料金についてよく説明して、了承を得てから手続きをおこないましょう。
地域密着型通所介護であっても通常の通所介護と算定要件、単位数ともに同じです。
通所介護において、利用者やその家族のニーズや生活スタイルは多様であり、延長加算のニーズも高まっているといえます。
利用者の生活リズムや家族の都合に合わせた時間でサービスを提供することで柔軟な対応ができ、利用者の安心感につながります。ご家族の介護負担も軽減することができるでしょう。
また、事業所にとっても延長加算によって収益を上げることが期待されます。延長加算を導入し、柔軟で豊かなサービスを提供しましょう。