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定員超過利用減算の要件や計算方法を解説!算定時に注意するポイントも

2025-02-14

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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通所介護における定員超過利用減算は、事業所の定められた利用定員を超えた人数の利用者がサービスを利用した場合に適用される減算になります。

サービスの質と安全を確保する観点から、定員超過は原則として防止するべきですが、災害や緊急時などやむを得ない事情によって発生する場合も考えられます。


この記事では、定員超過利用減算の適用要件や減算単位数について、具体的に解説しています。

定員超過利用減算とは【介護サービス】

定員超過利用減算とは、事業所が運営基準で定められた利用定員を超えてサービスを提供した場合、その介護給付費が減額される仕組みになります。

定員を超過した月の翌月から、基準内の定員に戻して超過が解消されるまで、減算が継続されます。

減算の金額は、すべての利用者について、所定単位数の30%が減額されます。この減算は非常に大きいため、事業者は定員を超えないよう、日々の運営で注意することが重要になります。定員超過利用減算が適用される介護サービスの種類は以下の通りになります。

  • 通所介護
  • 通所リハビリテーション
  • 地域密着型通所介護
  • 認知症対応型通所介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護
  • 短期入所生活介護
  • 介護老人福祉施設
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所生活介護
  • 認知症対応型共同生活介護

以上が、定員超過利用減算が適用される介護サービスの種類になります。

定員超過利用減算の算定要件と対象者

項目詳細
単位数所定単位数×70/100(30%の減額)
対象者事業所が提供する介護サービスの利用者
算定要件月々の利用者をサービス提供日数で割り、平均利用人数が登録定員を超えていること

定員超過利用減算の計算例

定員超過利用減算は、毎月の利用者数の平均値を基に判断されます。

計算方法はサービス種別ごとに異なるため、まずは以下の表でそれぞれの計算方法を確認してみるとわかりやすいです。

サービス名計算方法

通所介護
通所リハビリテーション
地域密着型通所介護
認知症対応型通所介護

利用者の合計÷サービス提供をおこなった日数
サービス提供日ごと同時にサービスを受けた最大の利用者数を計算し、合算する

小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護
短期入所生活介護
介護老人福祉施設
介護老人保健施設
介護療養型医療施設
介護医療院
地域密着型介護老人福祉施設入所生活介護
認知症対応型共同生活介護

1ヵ月分の利用者のべ数÷サービス提供をおこなった日数

通所介護や通所リハビリテーションなどの場合

通所介護、通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護では、サービス提供日ごとにその日の最大利用者数を基に計算をおこないます。その後、1ヵ月分の合計数から平均値を算出します。ここで重要なのは、「単純な来所人数」ではなく、「同時にサービスを受けた最大の利用者数」を基にする点です。

また、平均利用者数が35名以下であれば減算の対象にはなりませんが、1日の利用者数が定員を超える場合、運営基準違反となる可能性があります。この場合、行政から利用定員を遵守するよう指導が入ることが考えられるため、注意が必要になります。

短期入所介護や小規模多機能型居宅介護などの場合

短期入所介護、介護老人福祉施設、小規模多機能型居宅介護などでは、全利用者数から平均利用者数を算出します。

ただし、全利用者数は「総数」ではなく、「延べ数」で計算する点が重要です。具体的には、1日ごとの利用者数を集計し、それをサービス提供日数で割って平均を求めます。また、減算の対象でなくても、利用定員を超えた日がある場合は、行政指導の対象となる可能性があるので注意が必要です。

定員超過利用減算の算定時に注意するポイント

定員超過利用減算の算定時には注意する2つのポイントがあります。以下で詳しく解説をしていますので参考にしてみてください。

やむを得ない事情の利用者は定員に含まれない

事故や虐待など、やむを得ない理由で定員を超えた利用者を受け入れる場合、その利用者は定員に含めなくてよいことになっています。もし、次の月も同様のやむを得ない理由で定員を超える場合、翌月も減算の対象にはなりません。

ただし、詳細については管轄の自治体に確認することをおすすめします。

緊急時の短期利用での定員超過は条件がある

短期入所生活介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護では、緊急時の短期利用に限り、定員を超えた人数での受け入れが可能になります。それぞれのサービスで、緊急時における定員超過の取り扱いについて、以下で詳しく解説します。

短期入所生活介護

短期入所生活介護では、特定の条件下で利用定員の5%以内であれば減算の対象にはなりません。

  • 利用者の状況や利用者家族等の事情により、居宅介護支援事業所の介護支援専門員が緊急に必要と認めた場合であること
  • 居宅サービス計画に位置づけられていないこと
  • 当該利用者及び他の利用者の処遇に支障がないこと

定員が40名未満の場合は1名、40名以上の場合は2名まで、定員を超えて受け入れることが可能になります。超過した利用者は居室ではなく、静養室で受け入れることが条件となります。また、受け入れ期間は原則7日以内ですが、やむを得ない事情がある場合には14日まで延長することができます。

小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護では、事業所ごとに登録定員が定められていますが、以下の条件に限り、登録定員外の利用者を受け入れることが可能になります。

  • 利用者の状態や利用者家族等の事情により、居宅介護支援事業所の介護支援専門員が緊急に必要と認めた場合であること
  • 人員基準違反でないこと
  • 登録者に対するサービス提供に支障がないこと
  • 登録者の数が登録定員未満であること
  • サービス提供が過少である場合の減算を算定していないこと

小規模多機能型居宅介護では、定員外の利用者を受け入れる際に以下の計算式で受け入れ可能人数を算出します。

「宿泊室の数 × (事業所の登録定員 – 登録者数) ÷ 事業所の登録定員」

この計算により、必ず定員以内の人数となることが求められます。受け入れ期間は基本的に7日以内ですが、やむを得ない事情があれば14日まで延長可能になります。また、受け入れ可能な部屋は、広さを確保できる個室である必要があります。個室でなくても、パーテーションなどでプライバシーが守られている場所でも受け入れが可能になります。

認知症対応型共同生活介護

認知症対応型共同生活介護では、以下の条件を満たす場合、1事業所につき1名まで定員外の利用者を受け入れることが可能になります。

  • 利用者の状況や利用者家族等の事情により、居宅介護支援事業所の介護支援専門員が緊急に必要と認めた場合であること
  • 居宅サービス計画に位置づけられていないこと
  • 人員基準違反でないこと
  • 当該利用者及び他の利用者の処遇に支障がないこと
  • 事業をおこなう者が3年以上介護サービス運営している経験があること
  • 十分な知識を有する従業者が確保されていること


上記の認知症対応型共同生活介護で定員外の利用者を受け入れる際には、「短期利用者および他の利用者に支障がないこと」が条件となります。

この条件を満たすためには、利用期間中に人員基準を遵守し、短期利用者専用の個室を用意する必要があります。個室の広さについての規定はありませんが、十分にサービス提供ができる広さが求められ、受け入れ期間は原則7日以内になります。

定員超過は指定取り消しに繋がる場合もある

都道府県知事は、事業者に対して定員超過を解消するよう指導する責任があります。もしその指導に従わず、定員超過の状態が2ヵ月以上続いた場合、事業所の指定が取り消される可能性があるため、十分に注意が必要です。

定員超過が続く場合、行政指導が入る可能性があるため、注意が必要になります。減算の対象となる状況でも、減算分を満額で請求することは不適切で、処分の対象となることがあります。

定員超過利用減算に関するよくある質問

定員超過利用減算は注意する点も多く質問も多くあります。以下では、よくある質問をまとめていますので参考にしてみてください。

定員超過利用減算に該当する場合、いつから減算されますか?

定員超過利用が基準に該当した翌月から、定員超過が解消された月までが減算の対象となります。

デイサービスで定員超過した場合、どのくらい減算されますか?

定員超過が適用される場合、所定単位数の70%(30%の減算)が算定され、利用者全員が対象者になります。

定員超過利用減算の要件を理解し、正しく算定しましょう

定員超過利用減算は、定員を超過した利用者を受け入れた場合に適用される減算制度です。定員超過が発生した翌月から、超過が解消される月まで、全利用者が減算の対象となります。

定員超過が続くと、行政指導や最悪の場合、事業所指定の取り消しなどの処分を受ける可能性があるため、定員を守ることは非常に重要になります。日頃から定員を超えないよう注意し、もし定員超過が避けられない場合は、速やかに対応策を考えることが求められます。日頃から適切な運営を心掛け、サービスの質を保つことが大切になります。

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