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【2024年度改定対応】通所介護の若年性認知症利用者受入加算とは?算定要件と単位数をわかりやすく解説

2025-09-25

若年性認知症は、65歳未満で発症する認知症の総称で、働き盛りの年代で発症するため、本人や家族への影響が深刻な問題となっています。従来の高齢者向けサービスでは対応が困難な場合も多く、若年性認知症の方に特化したケアやサービス提供が求められています。

若年性認知症利用者受入加算は、通所介護事業所が若年性認知症の利用者に対して、その特性に配慮した専門的なケアやプログラムを提供することを評価する加算制度です。この加算により、事業所は若年性認知症の方々のニーズに応じたサービス提供をおこない、社会参加や生活の質の向上を支援することができます。

本記事では、2024年度改定に対応した若年性認知症利用者受入加算の基本的な内容から、具体的な算定要件、単位数、実際の運用における疑問点まで、実務に必要な情報をわかりやすく解説します。

通所介護における若年性認知症利用者受入加算とは?

若年性認知症利用者受入加算は、65歳未満で発症した認知症(若年性認知症)の利用者を受け入れ、その方の特性やニーズに応じた専門的なサービスを提供する通所介護事業所に対して算定される加算です。

若年性認知症の方は、高齢で発症する認知症の方とは異なる特徴があります。まだ体力があり活動的である場合が多く、仕事や家庭での役割を担っていることも多いため、従来の高齢者向けプログラムでは満足できない場合があります。また、同世代との交流や働く意欲の維持、家族の介護負担軽減など、特別な配慮が必要です。

この加算は、そうした若年性認知症の方の特性を理解し、個別性の高いケアプログラムの提供、同世代との交流機会の創出、就労継続支援、家族支援などをおこなう事業所を評価します。単に受け入れるだけでなく、若年性認知症の方に特化したサービス内容を提供することが求められます。

加算の実施により、若年性認知症の方の社会参加促進、生活の質の向上、介護者である家族の負担軽減などの効果が期待されます。また、事業所にとっても、専門性の高いサービス提供による競争力強化と収益向上につながる重要な取り組みです。

算定できるサービス種別

若年性認知症利用者受入加算は、以下の通所介護サービス種別で算定することができます。

  • 通常規模型通所介護
  • 大規模型通所介護(Ⅰ)
  • 大規模型通所介護(Ⅱ)
  • 地域密着型通所介護
  • 認知症対応型通所介護

事業所の規模に関わらず、若年性認知症の利用者を受け入れ、要件を満たすサービスを提供する場合に加算を取得することができます。

ただし、療養通所介護については対象外となっています。これは、医療ニーズの高い重度者を対象としたサービスの特性上、若年性認知症利用者受入加算の趣旨と異なるためです。

各サービス種別において、基本的な算定要件は共通していますが、サービス提供時間や利用者の特性に応じて、プログラム内容や支援方法に工夫が必要となる場合があります。

若年性認知症利用者受入加算の算定要件

若年性認知症利用者受入加算の算定には、以下の要件を満たす必要があります。

まず、受け入れ対象者の要件として、初老期における認知症(65歳未満で発症した認知症)の利用者であることが必要です。医師による若年性認知症の診断があり、要介護認定を受けていることが前提となります。

次に、専門的なケアプログラムの提供が求められます。若年性認知症の方の特性を踏まえた個別のケアプランを作成し、その人の能力や興味に応じた活動プログラムを提供する必要があります。単に一般的な通所介護サービスを提供するだけでは要件を満たしません。

職員の専門性確保も重要な要件です。若年性認知症に関する知識と理解を持った職員による支援が必要で、必要に応じて研修の実施や専門機関との連携をおこなう必要があります。

環境整備についても配慮が求められます。若年性認知症の方が他の利用者と違和感なく過ごせる環境づくり、年齢に応じた活動スペースの確保、プライバシーへの配慮などが必要です。

家族支援も算定要件に含まれます。若年性認知症の方を介護する家族は、働き盛りで経済的な不安も大きいため、家族に対する相談支援や情報提供をおこなうことが求められます。

記録・報告についてもおこなう必要があります。若年性認知症利用者に対するサービス提供内容、利用状況、変化などを記録し、必要に応じて関係機関への報告をおこないます。

若年性認知症利用者受入加算の単位数と報酬

若年性認知症利用者受入加算の単位数は、60単位/日として設定されています。この加算は、若年性認知症の利用者がサービスを利用した日に算定することができます。

算定期間については、利用者が若年性認知症と診断され、要件を満たすサービスを提供している期間中は継続して算定可能です。利用者が65歳に到達した場合でも、引き続き若年性認知症に起因する症状がある場合は算定を継続することができます。

他の加算との併用については、基本的に制限はありません。個別機能訓練加算、入浴介助加算、栄養改善加算などの他の加算と組み合わせて算定することが可能です。これにより、若年性認知症の方の多様なニーズに対応した包括的なサービス提供をおこなうことができます。

月途中での利用開始・終了についても、実際にサービスを利用した日数分の加算を算定することができます。日割り計算により、利用者の負担と事業所の収入が適正に調整されます。

算定に際しては、サービス提供記録や計画書などの根拠書類の整備が必要です。加算算定の根拠を明確にし、監査や実地指導に備えて記録管理をおこなうことが重要です。

若年性認知症利用者受入加算のよくある疑問Q&A

Q1: 65歳を過ぎた利用者でも加算は算定できますか? 

65歳未満で認知症を発症し、65歳到達後も若年性認知症に起因する症状が継続している場合は算定可能です。ただし、医師による継続的な診断と症状の確認が必要です。

Q2: 若年性認知症の利用者が1人でも専用のプログラムが必要ですか? 

利用者数に関わらず、その方の特性に応じた個別のケアプランとプログラムの提供が必要です。他の利用者と一緒に活動する場合でも、若年性認知症の方に配慮した工夫をおこなう必要があります。

Q3: 家族支援はどの程度おこなえば良いですか? 

定期的な家族との面談、情報提供、相談対応などが求められます。具体的な頻度は定められていませんが、家族のニーズに応じた継続的な支援をおこなうことが重要です。

Q4: 職員の研修はどのような内容が必要ですか? 

若年性認知症の特性、対応方法、コミュニケーション技術、家族支援などに関する研修が有効です。外部研修への参加や専門機関からの指導を受けることも推奨されます。

Q5: 利用者が若年性認知症でなくなった場合はどうなりますか? 

医師による診断の変更や症状の改善により若年性認知症でなくなった場合は、加算算定を中止する必要があります。ただし、診断の変更は慎重におこなわれるべきです。

Q6: 他事業所との連携は必要ですか? 

必須ではありませんが、若年性認知症支援コーディネーターや地域包括支援センター、医療機関との連携により、より質の高い支援を提供することができます。

まとめ

若年性認知症利用者受入加算は、65歳未満で発症した認知症の方の特性に配慮した専門的なサービス提供を評価する重要な制度です。単なる受け入れではなく、若年性認知症の方のニーズに応じた個別性の高いケアプログラムの提供が求められます。

加算の取得により、60単位/日の報酬を得ることができ、事業所の収益向上にもつながります。また、若年性認知症の方とその家族に対する専門的な支援により、地域における重要な社会資源としての役割を果たすことができます。

職員の専門性向上、環境整備、家族支援など多角的な取り組みが必要ですが、実施により利用者の生活の質向上と事業所の競争力強化を同時に実現することができるでしょう。

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