今回は、訪問介護サービス提供にあたって必要不可欠な重要事項説明書についてご紹介していきます。
目次
訪問介護事業所にとっての重要事項説明書とは、訪問介護サービスの提供の開始に際し、運営規程の概要、訪問介護員等の勤務の体制その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書(重要事項説明書)を指します。
訪問介護サービスの提供の開始に際しては、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、重要事項説明書を交付して説明を行い、当該提供の開始について利用申込者の同意を文書により得なければならないとされています。
重要事項を記した文書(重要事項説明書)に記載すべきと考えられる事項は、以下の通りです。
①法人、事業所の概要
(法人名、事業所名、事業所番号、併設サービスなど。)
② 営業日、営業時間、サービス提供日、サービス提供時間
③ 利用料その他費用の額
④ 従業者の勤務体制
⑤ 通常の事業の実施地域
⑥ 事故発生時の対応
⑦ 苦情処理窓口(事業所担当、市町村、国民健康保険団体連合会などの相談・苦情の窓口も記載)
⑧ 提供するサービスの第三者評価の実施状況(実施の有無、実施した直近の年月日、実施した評価機
関の名称、評価結果の開示状況)
⑨ 利用申込者がサービスを選択するために必要な重要事項(従業者の研修機会の確保、衛生管理、秘密の保持など)
この他、法人独自で記載すべき事項を設定します。また、重要事項説明書は運営規程の概要であるため、重要事項説明書の内容と運営規程の内容に齟齬があってはなりません。
運営指導においては、実施地域や営業時間などが運営規程と異なることで指摘を受けることがありますので、今一度確認しておきましょう。
運営規程には、次に掲げる事業の運営についての重要事項に関する規程(運営規程)を定めなければなり
ません。
①事業の目的、運営の方針
② 従業者の職種、員数及び職務の内容
③ 営業日及び営業時間
④ 訪問介護サービスの内容及び利用料その他の費用の額
⑤ 通常の事業の実施地域
⑥ 緊急時等における対応方法
⑦ 虐待防止のための措置に関する事項 (令和6年3月 31 日まで努力義務:令和6年4月1日から義務化)
⑧ その他運営に関する重要事項(「事業所名称、事業所所在地」「サービス提供日、サービス提供時間」「事故発生時の対応」「秘密保持」「苦情・相談体制」「従業者の研修」等)
職員の「員数」は日々変わりうるものであるため、業務負担軽減等の観点から、人員基準において置
くべきとされている員数を満たす範囲において、「〇人以上」と記載することで足ります。
また、運営規程の記載内容に変更が生じた際には、都度、運営規程も修正が必要です。(修正した年月日、内容を最後尾の附則に記載する等の方法により、改訂履歴を確認できるようにする。)
運営規程の改定を行った場合、自治体への変更届提出が必要となります。
運営規程と重要事項説明書はイコールでないといけないという事から、重要事項説明書を改定した場合は運営規程の改定が必要になり、ともなって変更届も必要になるということを覚えておきましょう。
ご利用者やその家族、利用申込者が見やすい場所に以下を掲示しなければならないというルールが存在します。
①運営規程の概要
②訪問介護員等の勤務の体制
③利用料その他のサービスの選択に資すると認められる重要事項(苦情処理の概要等)
運営規程や重要事項説明書を掲示、または書面をファイル等で事業所に備え付け、これを利用申込者、利用者又はその家族がいつでも自由に閲覧可能な形で備え付けておきましょう。
事業所の見やすい場所とは、重要事項を伝えるべき介護サービスの利用申込者、利用者又はその家族
に対して見やすい場所のことで、例えば面談スペースや入口等に設定されることが多いです。また、訪問介護員等の勤務体制については、職種ごと、常勤・非常勤ごと等の人数を掲示する趣旨であり、訪問介護員等の氏名まで掲示することを求めるものではないとされています。
重要事項説明書は、各自治体でモデル書式を提供していることが多く、引用されている事業所が多いです。ただし、ご利用者と契約を締結するのは法人であるため、ひな形を活かして法人独自のものを作成することが必要です。
指定訪問介護の事業(以下「事業」という。)の適正な運営を確保する為に、必要な人員及び管理運営に関する事項を定め、事業所の介護福祉士又は訪問介護員研修の修了者等(以下、「訪問介護員等」という。)が、要介護状態の高齢者に対し、ご利用者の意思及び人格を尊重し、ご利用者の立場に立った適正な指定訪問介護を提供することを目的とします。
1事業所の訪問介護員等は、要介護者等の心身の特性を踏まえて、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、入浴、排泄、食事等の身体介護、その他の生活全般にわたる援助を行います。
2事業の実施に当たっては、必要な時に必要な訪問介護の提供ができるよう努めるものとします。
3事業の実施に当たっては、関係市区町村、居宅介護支援事業所、在宅介護支援センター、地域の保護・医療・福祉サービスとの綿密な連携を図り、総合的なサービスの提供に努めるものとします。
4前3項のほか、介護保険法及び「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年3月31日厚生労働省令第37号)を定める条例、その他関係法令・条例等を厳守し、事業を実施するものとします。
5事業所は、居宅介護支援事業所の介護支援専門員(セルフプランの場合には当該被保険者)に対して、自身の事業所のサービス利用に係る不当な働きかけを行わないこととします。
1 身体介護
2 生活援助
3 通院等乗降介助
利用者に対する指定訪問介護の提供により事故が発生した場合は、市町村、利用者の家族、利用者に係る居宅介護支援事業者等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じます。また、利用者に対する指定訪問介護の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行います。
なお、事業者は、下記の損害賠償保険に加入しています。
〇〇保険会社:〇〇保険
サービス提供に関する苦情や相談は、下記の窓口でお受けします。
〇〇ヘルパーステーション:
電話番号 ○○○-○○○-○○○○
受付時間 月曜日から金曜日 ○時から○時
担当者名 ○○○○
苦情受付機関:
○○町福祉課 電話 ○○○-○○○-○○○○
○○市介護保険課 電話 ○○○-○○○-○○○○
○○県国民健康保険団体連合会 電話 ○○○-○○○-○○○○
事業者は、介護現場で働く職員の安全確保と安心して働き続けられる労働環境が築けるようハラスメントの防止に向け取り組みます。
①事業所内において行われる優越的な関係を背景とした言動や、業務上必要かつ相当な範囲を超える下記の行為は組織として許容しません。
(1)身体的な力を使って危害を及ぼす(及ぼされそうになった)行為
(2)個人の尊厳や人格を言葉や態度によって傷つけたり、おとしめたりする行為
(3)意に沿わない性的言動、好意的態度の要求等、性的ないやがらせ行為
上記は、当該法人職員、取引先事業者の方、ご利用者及びその家族等が対象となります。
②ハラスメント事案が発生した場合、マニュアルなどを基に即座に対応し、再発防止会議等により、同時案が発生しない為の再発防止策を検討します。
③職員に対し、ハラスメントに対する基本的な考え方について研修などを実施します。また、定期的に話し合いの場を設け、介護現場におけるハラスメント発生状況の把握に努めます。
④ハラスメントと判断された場合には行為者に対し、関係機関への連絡、相談、環境改善に対する必要な措置、利用契約の解約等の措置を講じます。
①感染症や非常災害の発生時において、利用者に対する指定訪問介護の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(業務継続計画)を策定し、当該業務継続計画に従って必要な措置を講じます。
②従業者に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施します。
③定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行います。
訪問介護員等の実質的向上を図るための研修機会を次のとおり設けるものとし、また全従業員が参加出来るよう、業務体制を整備します。
①採用時研修:採用後〇ヶ月以内 ②継続研修:年〇回以上
事業所において感染症が発生し、又はまん延しないように、次に掲げる措置を講じます。
①訪問介護員等の清潔の保持及び健康状態について、必要な管理を行います。
②事業所の設備及び備品等について、衛生的な管理に努めます。
③事業所における感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会をおおむね6月に1回以上開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底しています。
④事業所における感染症の予防及びまん延防止のための指針を整備しています。
⑤従業者に対し、感染症の予防及びまん延防止のための研修及び訓練を定期的に実施します。
事業者は、利用者等の人権の擁護・虐待の防止等のために、次に掲げるとおり必要な措置を講じます。
①事業所は、ご利用者の人権の擁護・虐待の防止等のため、指針を整備し責任者を設置する等必要な体制の整備を行うとともに、その従業者に対し、虐待防止を啓発・普及するための研修を実施する等の措置を講じます。
②事業所はご利用者が成年後見制度を利用できるよう支援を行います。
③当該事業所従業者又は養護者(現に養護している家族・親族・同居人等)による虐待を受けたと思われる利用者を発見した場合は、速やかに、これを市町村に通報します。
④虐待防止のための対策を検討する委員会を定期的に開催し、その結果について従業者に周知徹底を図ります。
虐待防止責任者・担当者:管理者〇〇
重要事項説明書は、介護サービスの契約に際しあらかじめ説明を行い、同意を得られてから契約へと進むべきものです。
定型化され、実は内容についてよく理解していないと言ったお話も伺いますが、契約の際にはしっかり説明を行いご利用者や家族に理解を得るようにしましょう。
特定事業所加算における人材要件・重度者要件について、計算の注意点や詩的事例について詳しくまとめました。
<目次>
1.人材要件・重度者要件の理解
2.計算の注意点
3.管理のための用語
4.指摘事例
5.良い事例・悪い事例
6.まとめ