日々、ご利用者とサービス事業所をつなぐ「扇の要」として奔走されているケアマネジャーの皆様、本当にお疲れ様です。これまで、介護現場の処遇改善が進む中で、「なぜケアマネジャーだけが対象外なのか」と、歯がゆい思いをされたことも一度や二度ではないかと思います。
今回は、そんな皆様に少しホッとしていただけるニュースをお届けします。令和7年12月の大臣折衝を経て、令和8年度(2026年度)の改定より、ついに居宅介護支援事業所も「処遇改善加算」の対象となることが正式に決定いたしました。
令和7年12月24日、政府は「経済対策」の一環として、令和9年を待たずに「令和8年度の期中改定」を行うことが決定されました。
この中で最も大きな変更点の一つが、これまで処遇改善加算の対象外だった「居宅介護支援(ケアマネジャー)」や「訪問看護」などに、新しく加算を設けるということです。
参考:第253回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料
これまでなぜか処遇改善の対象外だった居宅介護支援について、一時的な補助金にとどまらず、介護報酬の仕組みとして「ケアマネジャーの専門性と処遇を守る」という国の方針が明確に示されたものと言えます。
今回の改定では、他産業との賃金格差を埋めるために引き上げが計画されています。
国は目標とする賃上げ額を「基本のベースアップと、生産性向上の取り組みを合わせ、定期昇給込みで最大常勤換算で1名あたり月額1.9万円(約6.3%)」の賃上げ効果を目指すとしています。
ニュース等では「月額1.9万円アップ!」というように報道されたりしますが、常勤換算で考えたときに1人あたりこの位上げるという目標値であるため、「全員が1.9万円一律に上がるわけではない」という事に注意が必要です。
「加算率」は、居宅介護支援事業所には、総報酬に対して「2.1%」の加算率が設定されました。今回新設された他事業と比べても手厚い評価となっており、ケアマネジャーの役割への期待の表れとも受け取れます。
介護現場で働く人の給料を上げるために、事業所が受け取れる追加の介護報酬です。
平成21年度(2009年度)に開始された「介護職員処遇改善交付金」を前身とし、平成24年度(2012年度)から現在の「介護報酬の加算」として正式に制度化されました。
これまで他産業と比較し給与水準が低かった介護職員を中心に、その担い手を確保すべく賃金の確保や水準の引き上げに使うことを限定した加算です。
このため、例えば事業所の経費として使用することは認められず職員の直接的な賃金の改善にしか使用することが出来ません。
加算であるこの処遇改善を十分活用するためには、加算要件を知る必要があります。
令和8年度の処遇改善加算を取得するための要件として、国が普及を推進する「ケアプランデータ連携システム」へ加入するか、あるいは既存の「処遇改善加算Ⅳ」に準ずる要件(キャリアパス要件や職場環境等要件など)を満たすか、いずれかの対応を行うことが求められています。
「今すぐシステム導入なんて、費用も手間も大変…」そう不安に思われるかもしれませんが、どうかご安心ください。
現場の負担を考慮し、申請の時点では「令和8年度中に対応します」という誓約書(約束)があれば算定可能とする、柔軟な特例措置が用意されています。まずは加算を取得し、運用しながら準備を整えていけば大丈夫です。
厚生労働省が介護現場の負担軽減や職場環境の改善に向けた取組の一環として、令和元年度に調査研究事業を実施し、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所間で毎月やり取りされるサービス提供票(予定・実績)をデータ連携するための標準仕様を策定・公開しました。これがケアプランデータ連携システムであり、これを活用することで、文書作成などの事務負担の大幅な軽減が期待されています。
今回加算の要件として取り入れられている為、加入することで加算の要件を満たすことが出来ることが一番のメリットで有ると言えます。この他、以下のようなメリットがあります。
・FAX、郵送の誤送信防止
・実績入力漏れの早期発見
・提供票の記載ミス削減
・請求前チェックの精度向上 等
結果として、法令遵守や返戻・過誤の減少につながります。
・書式の統一
・データ形式の共通化
・事業所間の情報共有ルール明確化
複数拠点展開している法人だけでなく、標準書式を使用する事業所同士であれば「やり方のばらつき」を減らせる点が非常に重要です。
まずは法人内での情報共有を行いましょう。経営者や管理者に「ケアマネも対象になった」ことを共有した上で制度の設計が不可欠です。
また、「ケアプランデータ連携システム」について、少しずつ情報収集を始めましょう。
制度が変わる時は、書類仕事なども増えて大変な側面もありますが、まずは「私たちの仕事が認められた」という前向きなニュースとして受け止めていただければと思います。
6月の開始に向け、無理のない範囲で少しずつ準備を進めていきましょう。