この記事では、2024年に向けた介護報酬改定の議論について、今後のスケジュールと令和4年11月現在の方針等についてご紹介してまいります。
目次
次期制度改正に向けては、2040年に向けて生産年齢人口が急減し、85歳以上人口が急速に増加していくことが見込まれる中で、・2025年に向けて構築を図っている地域包括ケアシステムを更に深化・推進するとともに、・介護ニーズの増大と労働力の制約への対応を両立させ、制度の持続可能性を確保するという視点に基づきつつ以下の項目が検討されています。
①地域包括ケアシステムの更なる深化・推進
・在宅、施設を通じた介護サービスの基盤整備、住まいと生活の一体的な支援
・医療と介護の連携強化、自立支援、重度化防止の取組の推進
・認知症施策、家族を含めた相談支援体制
・地域における介護予防や社会参加活動の充実
・保険者機能の強化
②介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進
③給付と負担
④その他
<これまでの議論>
・ 第93回(5月16日)
・ 第94回(5月30日)
・ 第95回(7月25日) 介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進について
・ 第96回(8月25日) 地域包括ケアシステムの更なる深化・推進①(介護サービス等の基盤整備関係)
・ 第97回(9月12日) 地域包括ケアシステムの更なる深化・推進②(高齢者等を支える相談支援や予防・
健康づくりに係る地域づくり)
・ 第98回(9月26日) 給付と負担について、その他の課題について
・ 第99回(10月17日) 介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進について
・第100回(10月31日) 給付と負担について
<今後の予定>
・11月14日 地域包括ケアシステムの深化・推進について
・11月24日 地域包括ケアシステムの深化・推進について
・11月28日 給付と負担について
・12月上旬 取りまとめに向けた議論
2024年の介護報酬改定は、今年末には方向性が大筋で定まる予定となっています。
地域包括ケアシステムの項目では、更なる深化と推進をしていくため、以下5つの柱で議論が進んでいます。
今回の介護報酬改定では、給付における議論にて要介護1,2や生活援助について総合事業へ移行していくべきだという議論がされていることから、地域包括ケアの深化、推進では受け皿となる総合事業の充実が注目すべきポイントとなっています。
・在宅、施設を通じた介護サービスの基盤整備、住まいと生活の一体的な支援
・医療と介護の連携強化、自立支援、重度化防止の取組の推進
・認知症施策、家族を含めた相談支援体制
・地域における介護予防や社会参加活動の充実
・保険者機能の強化
複数の在宅サービス(訪問や通所)を組み合わせて提供する複合型サービスの類型などを設けることも検討する。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護など、機能が類似・重複しているサービスについては、将来的な統合・整理に向けて検討する。
ケアマネジメントについてもケアプラン情報のLIFEへの登録を行うなど、利活用を通じて質の向上を図っていく。
法定研修のカリキュラムの見直しを見据えた適切なケアマネジメント手法の更なる普及・定着を図るとともに、オンライン化の推進を行っていく。
自治体が地域包括ケア「見える化」システムを活用し好事例を横展開する等PDCAサイクルの取り組みを進めていく。
介護保険事業(支援)計画での対応も含めて、地域リハビリテーション体制の構築やリハビリテーションに係る取組の充実を図っていく。
特別養護老人ホームにおける医療ニーズへの適切な対応のあり方も含め、診療報酬や介護報酬上の取扱いも含めて、検討をしていく。
特別養護老人ホームが在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える施設としての機能に重点化されている趣旨等を踏まえ、空床が生じている原因を分析するとともに、特例入所について、現在実施している老健事業等により早急に実態を把握の上、改めて趣旨の明確化を図るなど、適切な運用を図ることを進めていく。
住まいと生活の一体的な支援の方策について、介護分野以外の施策との連携や役割分担のあり方も含め、引き続き検討してく。
介護情報基盤の整備に当たっては、介護情報を集約することが必要であり、顕名の介護情報の収集等についても、必要な法令上の整備も含め、具体的な検討を進める。
事業所の入力負担の軽減を図るとともに、収集する項目がエビデンスの創出及びフィードバックに資するものとなるよう検討していく。
介護サービス情報公表制度について、利用者の選択に資する情報提供という観点から、社会福祉法人や障害福祉サービス事業者が法令の規定により事業所等の財務状況を公表することとされていることを踏まえて、介護サービス事業者についても同様に財務状況を公表することを検討してはどうか。併せて、介護サービス情報公表制度は利用者等のサービス選択において広く活用されているところ、各施設・事業所の従事者の情報について、現行においても職種別の従事者の数や従事者の経験年数等が公表されていることも踏まえ、一人当たりの賃金等についても公表の対象に追加してはどうか。
地方公共団体の取組の好事例の横展開や、国における事故情報収集・活用の仕組みの構築など、具体的な方策について、引き続き、検討していく。
サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホーム等、高齢者が利用する施設において、指針の整備など虐待防止措置を適切に講じてもらうための方策を含め、こうした施設における虐待の防止を図るための方策を講じる。
正当な理由がない身体拘束、、「養護者」に該当しない者からの虐待防止のための方策を講じることを検討する。
生活支援体制整備事業を一層促進していくことが重要であり、生活支援・介護予防サービスを行うNPOや民間企業等の主体が、生活支援体制整備事業における協議体へ参画するに当たって一定の要件を設けるなど、多様なサービスについて、利用者やケマネジャーがケアプランの作成時に適切に選択できる仕組みを検討する。
総合事業費の自治体における上限額については、自治体の状況等を踏まえ見直しを進める。
感染防止に配慮しつつ、活動再開や参加率向上を進めていくために介護、医療の専門職配置を進めていくなどの取り組みを図っていく。
認知症施策推進関係閣僚会議のもとに設置された有識者会議等にて課題を抽出し、各目標の進捗状況の評価を踏まえ、進捗状況が低調な項目については対応策を検討しつつ施策を推進していく。
センターが役割を果たせるよう、体制整備と業務負担軽減を推進する。
地域包括支援センター以外にも介護予防支援の指定対象を拡大することを含めて、現行の委託方式に
よる実施と同様に、介護予防支援の実施状況の把握など、一定の関与を担保するという観点を踏まえながら検討する。
介護予防ケアマネジメントの質の確保を図りつつ業務効率化を図る観点から、総合事業として市町村が実施する介護予防ケアマネジメントAについて、初回のモニタリング時に、利用者の状態像、目標、利用すべきサービス等の大きな変化がないと認められる場合に限り、介護予防ケアマネジメントBと同様、サービス担当者会議の省略や次回モニタリング時期の延長等を可能とすることを検討したらどうか。
「主任介護支援専門員その他これに準ずる者」の「準ずる者」の範囲を拡大することを検討する。
各保険者において、地域包括ケアシステムの深化に向けて、さらなる取り組みを進めることができるよう、保険者(市区町村)がその構築状況について自己点検することを進めることとし、その参考となる手法を国が例示する
評価指標については、可能な限り縮減を図ることを検討するとともに、アウトカムとの関連性が高いアウトプットや中間アウトカムに関する評価指標の充実を図ること、個別の評価項目ごとの得点獲得状況について公表することを検討していく。
給付適正化の取組を推進する観点から、介護給付適正化主要5事業について、保険者による効果的・効
率的な実施を促進するため、取り組みの重点化・内容の充実・見える化を行う。
国として地域包括ケア「見える化」システムの更なる機能改善や各種実態調査の集計・分析ツールの提供を行うなど、計画作成支援を強化していくことを検討する。
更なる有効期間上限の拡大については引き続き効果検証を行う。現在、新型コロナの感染状況を踏まえ、認定審査会をICTを活用して実施できることとしているが、本取扱いについて、業務効率化の観点から、新型コロナの感染状況を問わず、継続することを検討してはどうか。
介護人材の確保、生産性の向上では以下5点を軸に議論が進んでいます。
・総合的な介護人材確保
・地域における生産性向上の推進体制の整備
・施設や在宅におけるテクノロジーの活用
・介護現場のタスクシェア・タスクシフティング
・経営の大規模化・協働化等
多様な人材の更なる参入に向けて、介護福祉士を介護職グループリーダーとして確立、育成していくための方策や、外国人介護人材に対し、引き続き受入・定着を促しながら、介護福祉士の資格取得支援等に向けて方策を検討していく。
介護現場の生産性向上の推進に関して、地方公共団体を中心に一層取り組んでいただくために、地方公
共団体の役割を法令上明確化するなどの方策を検討していく。
施設や在宅サービスを含めたテクノロジーの一層の普及・活用に向けての方策を検討していく。
介護現場における業務の明確化と役割分担を進め、いわゆる介護助手の方が現場の担い手の一員として存分にその役割を果たしていただくために、その確保も含めて、どのような方策が考えられるか。
地域の実情等を踏まえた経営の大規模化・協働化の推進について、方策を検討していく。
各サービスにおける管理者等の常駐等について、必ずしも利用者のサービスに直接関わらない業務でテレワーク等の取扱いを明示するなど、必要な検討を進めていく。
今後の人口構成の変化、介護保険制度創設時の考え方や、これまでの議論の経緯を踏まえ、介護保険制
度における被保険者・受給者の範囲について、どのように考えるかを論点とし、検討を進めていく。
令和元年12月の介護保険部会の意見書では、補足給付における不動産の勘案について、「補足給付の支給にあたって不動産を勘案することについては、個人の最大の資産は不動産であり、公平性の観点から勘案することが適当であるが導入には課題も多いなどの意見があり、実務上の課題を踏まえながら、引き続き検討を行うことが適当である。不動産の勘案については、資産を預貯金の形でもつ方との公平性の観点や、地域的な格差、民間金融機関の参入の困難性、認知症の方への対応等様々な実務上の課題等を踏まえ、引き続き検討を行っていく。
介護老人保健施設及び介護医療院の多床室の室料負担の在り方について、 在宅でサービスを受ける者との負担の公平性などを考慮し検討を進めていく。
利用者負担を求めている他の介護保険サービスや、施設サービス利用者等との均衡や、ケアマネジャーに期待される役割と、その役割を果たすための処遇改善や事務負担軽減等の環境整備の必要性を鑑みて自己負担の導入検討を議論していく。
軽度者(要介護1・2)への生活援助サービス等を総合事業へ移行させることについて検討を進めていく。検討に当たって、現行の総合事業に関する評価・分析は重要な観点の1つとなるところ、従前相当
サービスやそれ以外のサービスの効果や、地域の受け皿の整備状況(多様な主体の活用等)について具体的にどのような観点で評価するか。今後、総合事業を充実化していくために必要な取組み・見直しとしてどのようなことが考えられるかを論点として検討を進めていく。
制度の現状等を踏まえ、「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準をどのように考えるか。
その際、本年10月に施行された、後期高齢者医療制度の患者負担2割(一定以上所得)の判断基準が、後期高齢者の所得上位30% (※)とされていることとの関係をどのように考えるかを鑑みながら検討を進めていく。
高齢化の進展に伴って、1号保険料水準の中長期的な伸びが見込まれる中で、被保険者の負担能力に
応じた保険料設定について検討を行っていく。
2024年に向けて、着々と議論が進んでいます。
今回大きな変化が訪れると予測されているのは居宅系サービスだと言われており、特に居宅系サービスの方々は報酬改定の情報収集に注意をはらっていただけたらと思います。