この記事では、令和4年9月12日(月)に実施された第97回社会保障審議会介護保険部会の内容から次回の介護報酬改定についての方向性をご紹介させて頂きます。
目次
現在社会保障審議会では『地域包括ケアシステム』の有り方について検討が進んでおり、
認知症施策についてはこれまで同様の施策を推進していくことが議論されています。
家族を含めた相談支援体制の推進を考えていくべきとされており、生活支援体制整備事業の活用を図っていくことが予想されます。また、利用者の状態等を踏まえ、インフォーマルサービスを含めた多様なサービスをケアプランに組み込むことも推進していく様子です。
活動再開や参加率向上を推進し、閉じこもりやフレイル等で通いの場に参加していない高齢者について、介護予防・見守りの取組につなげていくことが想像されます。
地域包括支援センターが果たすべき役割に応じた適切な業務のあり方について、総合相談支援業務の質を担保しつつ業務負担を軽減する方策として、地域の既存資源の活用や役割分担・連携方策、委託のあり方の見直しが図られる予想です。
また、地域包括支援センターの体制について、センターの機能強化を行っている自治体がある一方、職員の確保が困難な自治体や各職種(3職種のうち、特に主任介護支援専門員)の配置についての対応も決定していくこととなります。
総合事業の介護予防ケアマネジメントについては、利用するサービス等によってA・B・Cの3つの類型を設け簡素化を図っているところ、利用者の状態等に応じて一部の業務を簡素化する等、業務効率化の方策としてどのような対応が考えられるか。また、介護予防サービス計画に関し、地域包括支援センターが担うべき役割について、どのように考えるか。
〇介護給付適正化の取組を強化する観点から介護給付費適正化主要5事業がより効果的・効率的に変わっていくこととなります。
取組を見直していく中で、国による「見える化」を検討するとともに、取組状況に応じた調整交付金の減額措置の見直しも検討に入っています。
また、保険者による地域差分析を更に進めるとともに、その縮減に向けた取組をより効果的に行うため、仕組みやツールが必要になるか等も検討事項です。
保険者の定常的な事務を効率化するため、広域化の更なる促進や民間委託の拡大等についてが検討されており、市町村及び都道府県の介護保険事業(支援)計画の策定に係る事務負担軽減のため、「介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針」の見直しも実施される見込みです。
保険者の介護保険システムの標準準拠システムへの移行を進め、介護保険被保険者証の在り方について、医療保険との制度的差異や介護情報の介護事業所間等での共有の議論も踏まえつつ、介護事業者、保険者、被保険者の負担が過重なものとならないような仕組みが検討されています。
⑨地域包括ケアシステムの構築
今後、2025年から、2040年を展望するにあたって、各保険者において、地域包括ケアシステムの構築状況を確認した上で取り組めるよう、「見える化」することが求められています。
令和2年度に創設した介護保険保険者努力支援交付金は介護予防・健康づくり等に資する取組を重点的に評価する目的で創設されたものの、保険者機能強化推進交付金との棲み分けが明確になされていない現状を踏まえ、これらの交付金の役割分担を明確化する方向で議論が進んでおり、保険者機能強化推進交付金等の評価指標について、アウトカム指標を強化していく考えです。
また、個別の評価項目ごとの得点獲得状況についても公表するなど、見える化の徹底を図る事も検討されています。
現在2024年に向けた介護報酬改定の議論が進んでいますが、方向性としては大きく変わらず、現在構築され周知が進んでいるケアプランデータ連携システムも2024年に先駆けてスタートしているものの1つだと言えます。
既に2024年に向けた改定のスタートは切っており、来年度は更に大きく準備していく体制を整える必要があるため、2021年度の介護報酬改定で現在努力義務だと言われている事項については早急に対応を行う必要があります。
本日は現在議論が進んでいる介護報酬改定について『地域包括ケアシステム』の検討内容をご紹介させて頂きました。
時期2024年の介護報酬改定は、『2022年に診療報酬改定で利用者の2割負担に該当する方の枠が増える』『ケアプランデータ連携システムが先駆けてスタートする』『総合事業の充実が見え軽度者の移行がスタートする可能性がある』等、ある程度の予測や準備が可能な状態となっています。
情報収集を行い早め早めの準備を実施していきましょう。