この記事では、令和3年に行われた介護報酬改定の情報をまとめてご紹介します。
目次
これまで、国や自治体は2025年に向けて介護保険の設計をし、加算などを用いて介護事業所を国が目指す方向へと導いてきました。2025年は、1947年~1949年の第一次ベビーブームで生まれた「団塊世代」が75歳となる年で、介護保険制度発足当初から介護業界で従事されている皆さんは、耳に残るくらい『2025年』という数字を聞かれてきたと思います。
この日本が抱える問題に対しての対応が、消費税の10%への増税等で、これらは「社会保障、税一体改革」のために実施されたもので、現在は既に『2025年に向けた対応を終えている』というのが現在の介護報酬改定・介護保険法改正です。
現在国として対応を急いでいるのは『2040年に向けての社会保障制度の設計』です。
2040年になると、1971年~1974年の第二次ベビーブームに生まれた「団塊ジュニア世代」が65歳〜70歳となり、労働人口は2018年に6,580万人である労働人口が、5,650万人まで減ってしまうという予測が立っています。
現在はこの2040年に向けた施策が取られており、次回の介護報酬改定の年度である2024年は医療の診療改定とのダブル改定と言われ、2040年に向けた大きな改定になるだろうと言われており、既に2040年に向けて舵が切られている現在の介護報酬改定の意図を理解することにより、将来の予測を付けることが出来ます。
また、介護報酬改定は3年に1回実施されますが、昨今は臨時改定も多く、特に10月に実施され、令和4年度についても介護職員等ベースアップ等支援加算の新設が予定されており、このことにも注目が必要です。
介護保険制度の発足から現在まで、介護報酬改定の改定率は『厳しい』『上がらない』と言われいますが、過去の数字上で見ると11回有った介護報酬改定の内マイナスであったのは3回のみです。数字上でもニュースでも『プラス改定』と呼ばれていますが、我々現場の実感としては『加算ばかり新設されて、基本報酬は上がる見込みない!』『複雑化して基本報酬しか取れない!』というのが現実です。
この様に複雑な介護報酬の体系になっている理由は、国が2040年を見据えて構築していきたい制度に紐づくものには『加算』として報酬を用意し、減らしたい・廃止したいものには『減算』として介護事業所を2040年にむけて誘導しているという事が言えます。
また、このところの人員基準の緩和は、2040年の労働人口の不足に対応するために『業務を効率化して担当人数を増やす』施策を押している事にも注目が必要です。
2021年度の介護報酬改定は、新型コロナウイルス感染症や大規模災害が発生する中で「感染症や災害への対応力強化」を図るとともに、団塊の世代の全てが75歳以上となる2025年に向けて、2040年も見据えながら、「地域包括ケアシステムの推進」、「自立支援・重度化防止の取組の推進」、「介護人材の確保・介護現場の革新」、「制度の安定性・持続可能性の確保」を図るという観点から、0.70%のプラス改定となりました。
この年度の報酬改定の特徴としては、元来『介護報酬改定』で指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準に改定が入ることはあまり見られませんでしたが、人員基準、運営基準が大きく変わる改定であったことが特徴です。
また、世界中を震撼させた新型コロナウイルスの流行により、一定期間の休止や休止による経営難に陥り介護サービスの継続が困難になる法人が多い中で迎えた背景から、感染症や災害への対応力を強化していく取り組みが直前に追加となっている事にも注目が集まりました。
2040年を見据えたときに、2021年現在において制度や体制が整いきれていないのが下記5点です。
感染症や災害が発生した場合であっても、利用者に必要なサービスが安定的・継続的に提供される体制を構築することが必要だが、現在は十分ではない
住み慣れた地域において、利用者の尊厳を保持しつつ、必要なサービスが切れ目なく提供されるよう取組を推進する必要がある
制度の目的に沿って、質の評価やデータ活用を行いながら、 科学的に効果が裏付けられた質の高いサービスの提供を推進していかなければならない
喫緊・重要な課題として、介護人材の確保・介護現場の革新に対応していくべき
必要なサービスは確保しつつ、適正化・重点化を図らないといけない
これらの課題を解決するために実施されているのが令和3年度の介護報酬改定です。それでは次項から細かく確認していきましょう。
基本報酬に下記変更がありました。
この改定の特徴はICT化を図ることで1人当たりの取り扱い件数が40以上である場合に居宅介護支援費ⅱとして請求することとしていた件数を『45件まで引き上げる』といったことです。この場合に気を付けなければいけないのは、居宅介護支援ⅰの単位数が従来の基準と同じ単位数で有るのに対し、居宅介護支援費ⅱの場合は45件を上限としている方が『低く』設定されているといったことです。
令和3年度4月から居宅介護支援事業所の管理者は『主任介護支援専門員』であることが人員基準で定められていましたが、令和3年3月31日時点で主任ケアマネジャーでない者が管理者である場合、令和9年3月31日まで延長が可能とされました。
令和3年4月以降新たに管理者となる場合(管理者が交替する場合も含む)管理者は主任ケアマネジャーであることが必要です。
※令和3年4月1日以降、急な退職などの不測の事態により、主任ケアマネジャーを管理者とできなくなってしまった事業所については、当該事業所がその理由と改善に係る計画書を保険者に届出た場合、管理者を主任ケアマネジャーとする要件の適用を1年間猶予することとするともに、当該地域に他に居宅介護支援事業所がない場合など、利用者保護の観点から特に必要と認められる場合には、保険者の判断により、この猶予期間を延長することができる。
○ 適切なケアマネジメントの実施を確保しつつ、経営の安定化を図る観点から、介護支援専門員1人当たりの取扱件数が40件以上の場合40件目から、60件以上の場合60件目からそれぞれ評価が低くなる(40件未満は居宅介護支援費(Ⅰ)、40件以上60件未満の部分は同(Ⅱ)、60件以上の場合は同(Ⅲ)が適用される)逓減制において、一定のICT(AIを含む)の活用又は事務職員の配置を行っている事業者については、逓減制の適用(居宅介護支援費(Ⅱ)の適用)を45件以上の部分からとする見直しを行う。その際、この取扱いを行う場合の逓減率(居宅介護支援(Ⅱ)及び(Ⅲ)の単位数)について、メリハリをつけた設定とする見直しを行う。【告示改正】
※ 特定事業所加算における「介護支援専門員1人当たりの受け入れ可能な利用者数」について、この取扱いを踏まえた見直しを行う。
○ 逓減制における介護支援専門員1人当たりの取扱件数の計算に当たり、現在、事業所が自然災害や感染症等による突発的な対応で利用者を受け入れた場合は、例外的に件数に含めないこととしているが、地域の実情を踏まえ、事業所がその周辺の中山間地域等の事業所の存在状況からやむを得ず利用者を受け入れた場合についても例外的に件数に含めない見直しを行う。【告示改正】
○ 平成30年度介護報酬改定において導入された生活援助の訪問回数が多い利用者のケアプランの検証の仕組みについて、実施の状況や効果を踏まえて、ケアマネジャーや市町村の事務負担にも配慮して、届出のあったケアプランの検証や届出頻度について、以下の見直しを行う。【通知改正】
・ 検証の仕方について、地域ケア会議のみならず、行政職員やリハビリテーション専門職を派遣する形で行うサービス担当者会議等での対応を可能とする
・ 届出頻度について、検証したケアプランの次回の届出は1年後とする
○ より利用者の意向や状態像に合った訪問介護の提供につなげることのできるケアプランの作成に資するよう、検証方法として効率的で訪問介護サービスの利用制限につながらない仕組みが求められていることを踏まえ、区分支給限度基準額の利用割合が高く、かつ、訪問介護が利用サービスの大部分を占める等のケアプランを作成する居宅介護支援事業所を事業所単位で抽出するなどの点検・検証の仕組みを導入する。【省令改正】(効率的な点検・検証の仕組みの周知期間の確保等のため、10月から施行)
① 省令改正(出来ていないと運営基準減算):ケアマネジメントの公正中立性の確保を図る観点から、事業所に、以下について、利用者に説明を行うとともに、介護サービス情報公表制度において公表することを求める。
・ 前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与の各サービスの利用割合
・ 前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与の各サービスごとの、同一事業者によって提供されたものの割合
②特定事業所加算について、以下の見直しを行う。【告示改正】
ア 必要に応じて、多様な主体等が提供する生活支援のサービス(インフォーマルサービスを含む)が包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成していることを要件として求める。
イ 小規模事業所が事業所間連携により質の高いケアマネジメントを実現していくよう、事業所間連携により体制確保や対応等を行う事業所を評価するような区分を創設する。
ウ 特定事業所加算(Ⅳ)について、加算(Ⅰ)から(Ⅲ)までと異なり、病院との連携や看取りへの対応の状況を要件とするものであることを踏まえ、医療と介護の連携を推進する観点から、特定事業所加算から切り離した別個の加算とする。
居宅介護支援について、医療と介護の連携を強化し、適切なケアマネジメントの実施やケアマネジメントの質の向上を進める観点から、利用者が医療機関において医師の診察を受ける際に介護支援専門員が同席し、医師等と情報連携を行い、当該情報を踏まえてケアマネジメントを行うことを一定の場合に評価する新たな加算を創設する。【告示改正】
【単位数】通院時情報連携加算 50単位/月(新設)
【算定要件】
・利用者1人につき、1月に1回の算定を限度とする
・利用者が医師の診察を受ける際に同席し、医師等に利用者の心身の状況や生活環境等の必要な情報提供を行い、医師等から利用者に関する必要な情報提供を受けた上で、居宅サービス計画(ケアプラン)に記録した場合
介護予防支援事業所が居宅介護支援事業所に外部委託を行いやすい環境の整備を進める観点から、介護予防支援事業所が委託する個々のケアプランについて、委託時における居宅介護支援事業者との適切な情報連携等を評価する新たな加算を創設する。【告示改正】
【単位数】通院時情報連携加算 50単位/月(新設)
【算定要件等】利用者1人につき指定介護予防支援を指定居宅介護支援事業所に委託する初回に限り、所定単位数を算定する ※ 当該加算を算定した際には、介護予防支援事業所に対して、当該加算を勘案した委託費の設定等を行うよう求める。
サービス付き高齢者向け住宅等における適正なサービス提供を確保する観点から、以下の対応を行う。
ア 訪問系サービス(定期巡回・随時対応型訪問介護看護を除く)、通所系サービス(地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護を除く)及び福祉用具貸与について、事業所と同一の建物に居住する利用者に対してサービス提供を行う場合には、当該建物に居住する利用者以外に対してもサービス提供を行うよう努めることとする【省令改正】。また、事業所を市町村等が指定する際に、例えば、当該事業所の利用者のうち一定割合以上を当該事業所に併設する集合住宅以外の利用者とするよう努める、あるいはしなければならない等の条件を付することは差し支えないことを明確化する【通知改正】。
イ 同一のサービス付き高齢者向け住宅等に居住する者のケアプランについて、区分支給限度基準額の利用割合が高い者が多い場合に、併設事業所の特定を行いつつ、当該ケアプランを作成する居宅介護支援事業者を事業所単位で抽出するなどの点検・検証を行うとともに、サービス付き高齢者向け住宅等における家賃の確認や利用者のケアプランの確認を行うことなどを通じて、介護保険サービスが入居者の自立支援等につながっているかの観点も考慮しながら、指導監督権限を持つ自治体による更なる指導の徹底を図る。(居宅介護支援事業所を事業所単位で抽出するなどの点検・検証については、効率的な点検・検証の仕組みの周知期間の確保等のため、10月から施行)
介護サービスの質の評価と科学的介護の取組を推進し、介護サービスの質の向上を図る観点から、以下の見直しを行う。
介護関連データの収集・活用及びPDCAサイクルによる科学的介護を推進していく観点から、全てのサービス(居宅介護支援を除く)について、 CHASE・VISITを活用した計画の作成や事業所単位でのPDCAサイクルの推進、ケアの質の向上の取組を推奨する。居宅介護支援については、各利用者のデータ及びフィードバック情報のケアマネジメントへの活用を推奨する。【省令改正】
看取り期における適切な居宅介護支援の提供や医療と介護の連携を推進する観点から、居宅サービス等の利用に向けて介護支援専門員が利用者の退院時等にケアマネジメント業務を行ったものの利用者の死亡によりサービス利用に至らなかった場合に、モニタリングやサービス担当者会議における検討等必要なケアマネジメント業務や給付管理のための準備が行われ、介護保険サービスが提供されたものと同等に取り扱うことが適当と認められるケースについて、居宅介護支援の基本報酬の算定を可能とする見直しを行う。【通知改正】
【算定要件等】
・モニタリング等の必要なケアマネジメント業務を行い、給付管理票の(原案の)作成など、請求にあたって必要な書類の整備を行っていること
・居宅介護支援費を算定した旨を適切に説明できるよう、個々のケアプラン等において記録で残しつつ、居宅介護支援事業所において、それらの書類等を管理しておくこと
○ 看取り期における本人・家族との十分な話し合いや他の関係者との連携を一層充実させる観点から、訪問看護等のターミナルケア加算における対応と同様に、基本報酬(介護医療院、介護療養型医療施設、短期入所療養介護(介護老人保健施設によるものを除く))や看取りに係る加算の算定要件において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うことを求める。【告示改正、通知改正】
○ 施設系サービスについて、サービス提供にあたり、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援に努めることを求める。【通知改正】
【単位数】変更なし
【算定要件等】
ターミナルケアに係る要件として、以下の内容等を通知等に記載する。
・「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うこと。
○ 施設サービス計画の要件として、以下の内容等を運営基準の通知に記載する
・ 施設サービス計画の作成にあたり、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援に努めること。
退院・退所時のスムーズな福祉用具貸与の利用を図る観点から、居宅介護支援の退院・退所加算や施設系サービスの退所時の支援に係る加算において求められる退院・退所時のカンファレンスについて、退院・退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合には、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参画することを明確化する
【単位数】変更なし
【算定要件等】居宅介護支援における退院・退所加算のカンファレンスの要件について、以下の内容を通知に記載する。
・ 退院・退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合は、必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加するもの
小規模多機能型居宅介護事業所連携加算について、報酬体系の簡素化の観点から、算定実績を踏まえて、廃止する。
介護サービス事業者に、感染症の発生及びまん延等に関する取組の徹底を求める観点から、以下の取組を義務づける。その際、3年の経過措置期間を設けることとする。【省令改正】
・ 施設系サービスについて、現行の委員会の開催、指針の整備、研修の実施等に加え、訓練(シミュレーション)の実施・ その他のサービス(訪問系サービス、通所系サービス、短期入所系サービス、多機能系サービス、福祉用具貸与、居宅介護支援、居住系サービス)について、委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等
感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスが継続的に提供できる体制を構築する観点から、全ての介護サービス事業者を対象に、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等を義務づける。その際、3年間の経過措置期間を設けることとする。【省令改正】
介護現場において、仕事と育児や介護との両立が可能となる環境整備を進め、職員の離職防止・定着促進を図る観点から、各サービスの人員配置基準や報酬算定について、以下の見直しを行う。【通知改正】
・ 「常勤」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法による育児の短時間勤務制度を利用する場合に加えて、介護の短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める。
・ 「常勤換算方法」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法による短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める。
・ 人員配置基準や報酬算定において「常勤」での配置が求められる職員が、産前産後休業や育児・介護休業等を取得した場合に、同等の資質を有する複数の非常勤職員を常勤換算することで、人員配置基準を満たすことを認める。
この場合において、常勤職員の割合を要件とするサービス提供体制強化加算等の加算について、産前産後休業や育児・介護休業等を取得した場合、当該職員についても常勤職員の割合に含めることを認める。
介護サービス事業者の適切なハラスメント対策を強化する観点から、全ての介護サービス事業者に、男女雇用機会均等法等におけるハラスメント対策に関する事業者の責務を踏まえつつ、ハラスメント対策を求めることとする。【省令改正】
「指定訪問介護事業者は、適切な指定訪問介護の提供を確保する観点から、職場において行われる性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより訪問介護員等の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない。」
運営基準や加算の要件等において実施が求められる各種会議等(利用者の居宅を訪問しての実施が求められるものを除く)について、感染防止や多職種連携の促進の観点から、以下の見直しを行う。【省令改正、告示改正、通知改正】
・ 利用者等が参加せず、医療・介護の関係者のみで実施するものについて、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱のためのガイダンス」及び「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を参考にして、テレビ電話等を活用しての実施を認める。
・ 利用者等が参加して実施するものについて、上記に加えて、利用者等の同意を得た上で、テレビ電話等を活用しての実施を認める。
利用者の利便性向上や介護サービス事業者の業務負担軽減の観点から、政府の方針も踏まえ、ケアプランや重要事項説明書等における利用者等への説明・同意について、以下の見直しを行う。【省令改正、通知改正】
ア 書面で説明・同意等を行うものについて、電磁的記録による対応を原則認めることとする。
イ 利用者等の署名・押印について、求めないことが可能であること及びその場合の代替手段を明示するとともに、様式例から押印欄を削除する。
介護サービス事業者の業務負担軽減やいわゆるローカルルールの解消を図る観点から、運営規程や重要事項説明書に記載する従業員の「員数」について、「○○人以上」と記載することが可能であること及び運営規程における「従業者の職種、員数及び職務の内容」について、その変更の届出は年1回で足りることを明確化する。【通知改正】
介護サービス事業者の業務負担軽減やいわゆるローカルルールの解消を図る観点から、介護サービス事業者における諸記録の保存、交付等について、適切な個人情報の取り扱いを求めた上で、電磁的な対応を原則認めることとし、その範囲を明確化する。【省令改正】
○ 記録の保存期間について、他の制度の取り扱いも参考としつつ、明確化を図る。
介護サービス事業者の業務負担軽減や利用者の利便性の向上を図る観点から、運営規程等の重要事項について、事業所の掲示だけでなく、閲覧可能な形でファイル等で備え置くこと等を可能とする。【省令改正】
全ての介護サービス事業者を対象に、利用者の人権の擁護、虐待の防止等の観点から、虐待の発生又はその再 発を防止するための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を定めることを義務づける。その際、3年 の経過措置期間を設けることとする。【省令改正】
運営基準(省令)に以下を規定 ・ 入所者・利用者の人権の擁護、虐待の防止等のため、必要な体制の整備を行うとともに、その従業者に対し、 研修を実施する等の措置を講じなければならない旨を規定。 ・ 運営規程に定めておかなければならない事項として、「虐待の防止のための措置に関する事項」を追加。 ・ 虐待の発生又はその再発を防止するため、以下の措置を講じなければならない旨を規定。 ー 虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等の活用可能)を定期的に開催するとともに、 その結果について、従業者に周知徹底を図ること ー 虐待の防止のための指針を整備すること ー 従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること ー 上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと (※3年の経過措置期間を設ける。)
居宅介護支援においての2040年にむけた準備におけるポイントは、下記2点です。
介護給付費の適正化という名のもと、増え続ける介護給付費は『必要なサービスのみ、必要な人へ』と絞られていきます。介護従事者に求められているのは専門性ですから、これは『必要なサービスのみ、必要な人へ』わたっているか否かの根拠が明確である必要があります。
専門性が高いのはどの様な状況かと言うと『国民が支払った税金を法令根拠に基づき提供している』と示せることを指します。
介護技術やケアマネジメントスキルが高いことを専門性が高いと言えるのはもちろんですが、『専門性が高い』と判断するには介護やケアマネージャーのケアマネジメントを受けるご利用者でなければ図る機会もなく、国民へ示せる根拠となり得ません。
第三者が見て『専門性が高い』と判断をしてもらうには『書類』等の根拠が明確な物でなければならず、介護支援専門員の皆さんには『この介護サービスがこの回数なぜ必要なのか』が明確に示せる書類作成能力が求められます。
また、これらは今後『LIFE等の復旧に伴い科学的根拠に基づく』ことも非常に重要なポイントです。
増え続ける介護サービス対象者に対し、2040年にはこれまで以上に労働人口が減ります。現在の介護業界における求人倍率は失業者のパーセンテージを超え、これから先に介護業界に人が流れて来ることは想定しづらいというのが現実です。
これに対し国が取ろうとしている施策は介護サービスの対象者を減らすこと、介護従事者の1人当たりの担当件数を増やすことです。
このためにICT導入や介護ロボットを復旧させ、『その役職にしか出来ないこと』だけを行わせることにより、1人あたりの担当件数を上げていくことが求められています。
介護支援専門員に求められるのは、ICTを駆使して作業工数を絞り、担当件数を増やしていくことが求められています。
運営基準にも多くの改定が入ることとなった令和3年度の介護報酬改定ですが、これは2040年に向けて制度設計を急いでいるというのが背景に有ります。
このような背景から、これからの報酬改定はスピードを増していくことが想定され、これをしっかり読み解いて今から準備しておくことが大切です。