この記事では、令和3年の介護報酬改定が、現場にどのような影響を及ぼすのかについてご紹介致します。
令和3年1月18日に、介護報酬改定の内容(算定構造)が決定しました。
◆厚生労働省資料:第199回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料
基本報酬は1単位から上がる等わずかながら変化を見せ、加算等の新設や廃止も多くみられました。
また、発表された基本報酬の単位に加え、令和3年9月末までは新型コロナウイルスの対策費として0.1%を基本報酬に上乗せできるとの発表もありました。
この他、運営基準も大きく変わる(追加が多い)ことが注目されています。
18日の同審議会ではサービスコード表も明示され、介護職員の人材確保・処遇改善にも配慮しつつ、物価動向による物件費への影響など介護事業者の経営を巡る状況等を踏まえ、0.70%の増となっています。
※うち、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価 0.05%(令和3年9月末まで)
◆厚生労働省資料:令和3年4月サービスコード表
今回の報酬改定で訪問介護が注目すべきポイントは、『居宅介護支援』の改定事項です。
訪問介護の改定事項を確認すると、認知症専門ケア加算が新設されたり、生活機能向上連携加算の新たな区分が新設されたり、基本報酬がわずかに上がったりと、一見大きな改定では無い様に思えます。
しかしながら、今回訪問介護が注目すべきは『居宅介護支援』の改定事項です。
①限度額内利用割合が高く、かつ訪問介護が利用サービスの大部分を占める割合が多いケアプランは保険者等によるプラン点検の実施、必要に応じた是正が入る
②同一事業所によって提供されたものの割り合いを情報公表で公表する
③同一敷地内に居住する利用者のケアプランについて、併設事業所の特定を行い『自立支援に向かっているか』等の観点から自治体による指導の強化を図る
まとめると、『自社の居宅介護支援事業所のプランが適正か確認を強化します』『自社内で売り上げを立てるために必要以上のサービスを位置付けている場合は是正させます』ということです
これからは自社のケアマネからのサービス以外で売り上げを立てることにシフトしていかなければいけません。
国がこれからの訪問介護に求めている事は身体介護等の専門的な介護を実施し、質の高い介護を提供し続けることです。
これらは『加算』という形で介護報酬で評価され、これらが取得できない事業所は介護報酬が下がるばかりです。
①身体介護等の専門的な介護を実施すること(認知症、自立度の向上、ターミナル系の加算の取得)
②質の高い介護を提供すること(特定事業所加算の取得)
③介護従事者の給与を平均的にすること(処遇・特定処遇改善加算の取得)
この3つを実施して行くことが求められています。
まだ、特定事業所加算を取得されていない事業所の方は、まず情報収集から始めることをお勧めいたします。