令和3年度に介護報酬が改定され、通所リハビリテーションにおいても各サービスで算定方法や算定要件が大きく変化しました。
そこで、この記事では大きく変化した令和3年度の通所リハビリの介護報酬改定についてポイントをまとめて解説していきます。
目次
通所リハビリの改定内容について解説する前に、そもそも介護報酬改定とは何か詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
介護報酬改定とは?2021年の改定内容や何年ごとに行われるかなどについて徹底解説!
ここでは令和3年度介護報酬改定における通所リハビリのポイントを表を用いて、紹介していきます。
通所リハビリテーションの基本報酬が改定されました。
通所リハビリテーションの基本報酬は以下の通りになります。通常規模のサービス提供が6時間以上7時間未満の単位数を記載しています。
基本報酬 | 現行 | 改定後 | 増減 |
要介護1 | 670 | 710 | +40 |
要介護2 | 801 | 844 | +43 |
要介護3 | 929 | 974 | +45 |
要介護4 | 1,081 | 1,129 | +48 |
要介護5 | 1,231 | 1,281 | +50 |
また、介護予防通所リハビリテーションの基本報酬は以下の通りになります。
基本報酬 | 現行 | 改定後 | 増減 |
要介護1 | 1,721 | 2,053 | +332 |
要介護2 | 3,634 | 3,999 | +365 |
通所介護等の報酬については、感染症や災害の影響で利用者数が減少した場合に、状況に即してサービスが提供できるような特例措置が設けられました。
具体的なサービス内容は以下の通りになります。
条件 | サービス内容 |
より小さい規模区分がある大規模型の場合 | 事業所規模別の報酬区分の決定にあたり、前年度の平均延べ利用者数ではなく、延べ利用者数の減が生じた月の実績を基礎とすることができることとする。【通知改正】 |
延べ利用者数の減が生じた月の実績が前年度の平均延べ利用者数から5%以上減少している場合 | 3か月間、基本報酬の3%の加算を行う。【告示改正】 |
リハビリテーションマネジメントにおいて、算定方法と算定要件の見直しが行われました。
現行の区分・単位数 | 改定後の区分・単位数 | 算定要件 |
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ) 330単位/月 | なし | |
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ) 同意日の属する月から6月以内 850単位/月 同意日の属する月から6月超 530単位/月 | 同意日の属する月から6月以内 560単位/月 同意日の属する月から6月超 240単位/月 | 現行のリハビリテーション加算(Ⅱ)と同要件 |
なし | 同意日の属する月から6月以内 593単位/月 同意日の属する月から6月超 273単位/月 | 利用者毎のリハビリテーション計画書等の内容等の情報を厚生労働省に提出し、リハビリテーションの提供に当たって、当該情報その他リハビリテーションの適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること |
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅲ) 同意日の属する月から6月以内 1,120単位/月 同意日の属する月から6月超 800単位/月 | 同意日の属する月から6月以内 830単位/月 同意日の属する月から6月超 510単位/月 | 現行のリハビリテーションマネジメント加算(Ⅲ)と同要件を設定 |
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅳ) 同意日の属する月から6月以内 1,220単位/月 同意日の属する月から6月超 900単位/月 | 同意日の属する月から6月以内 863単位/月 同意日の属する月から6月超 543単位/月 | 現行のリハビリテーションマネジメント加算(Ⅳ)と同要件を設定 |
介護予防)リハビリテーションマネジメント加算 330単位/月 | なし |
リハビリテーションマネジメント加算共通の算定要件の変更点としては、リハビリテーション計画書を提出する際に必須項目と任意項目が設定されました。
また、以前のリハビリテーションマネジメント加算の算定要件には「定期的な会議の開催」がありましたが、利用者の了解を得られれば、テレビ会議等の非対面方法により開催することができるようになりました。
入浴介助加算において、算定方法と算定要件の見直しが行われました。
現行 | 改定後・新設 | 算定要件 | |
入浴介助加算(Ⅰ) | 50単位/日 | 40単位/日 | 入浴介助を適切に行うことができる人員及び設備を有して、入浴介助を行うこと |
入浴介助加算(Ⅱ) | 60単位/日 | ・入浴介助を適切に行うことができる人員及び設備を有して、入浴介助を行うこと ・医師等が利用者の居宅を訪問し、浴室における当該利用者の動作及び浴室の環境を評価していること。 |
入浴介助加算についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
介護予防通所リハビリテーションの長期利用において、算定方法の見直しが行われました。
新設 | |
要支援1 | 20単位/月減算 |
要支援2 | 40単位/月減算 |
社会参加支援加算において名称が「移行支援加算」に変わり、算定要件と算定要件の見直しが行われました。
現行 | 改定後 | |
移行支援加算(旧:社会参加支援加算) | 12単位/日 | 12単位/日 |
移行支援加算の算定要件は以下のとおりになります。
生活行為向上リハビリテーションの実施において、算定方法と算定要件の見直しが行われました。
改定後 | |
生活行為向上リハビリテーション実施加算 | 1月につき+1,250単位(利用開始日の属する月から6月以内) |
移行支援加算の算定要件は以下のとおりになります。
生活機能向上連携において、算定方法と算定要件の見直しが行われました。
現行 | 新設 | 算定要件 | |
生活機能向上連携加算(Ⅰ) | 100単位/月 | 訪問・通所リハビリテーションを実施している事業所又はリハビリテーションを実施している医療提供施設の理学療法士等や医師からの助言を受ける体制を構築し、助言を受けた上で、機能訓指導員等が生活機能の向上を目的とした個別機能訓練計画書を作成等すること | |
生活機能向上連携加算(Ⅱ) | 200単位/月 | 訪問・通所リハビリテーションの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が利用者宅を訪問して行う場合又は、リハビリテーションを実施している医療提供施設の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師が訪問して行う場合に算定 |
口腔機能向上において、算定方法と算定要件について見直しが行われました。
現行 | 新設 | 算定要件 | |
生活機能向上連携加算(Ⅰ) | 100単位/月 | 現行の口腔機能向上加算と同じ | |
生活機能向上連携加算(Ⅱ) | 200単位/月 | 口腔機能改善管理指導計画等の情報を厚生労働省に提出し、口腔機能向上サービスの実施にあたって当該情報その他口腔衛生の管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること |
現行 | 新設 | |
口腔機能向上加算(Ⅰ) | 150単位/回 | |
口腔機能向上加算(Ⅱ) | 160単位/回 |
栄養ケア・マネジメントにおいて、算定方法と算定要件について見直しが行われました。
現行 | 改定後 | 算定要件 | |
栄養改善加算 | 150単位/回 | 200単位/回 | 栄養改善サービスの提供に当たって、必要に応じ居宅を訪問すること |
新しい上位区分の新設と従来の区分要件の変更がありました。
通所リハビリテーションの区分は以下の通りになります。
現行の区分・単位数 | 改定後の区分・単位数 | 算定要件 |
なし | サービス提供体制強化加算(Ⅰ):22単位/回 | ・介護福祉士70%以上 勤続10年以上介護福祉士25%以上 |
サービス提供体制強化加算(Ⅰ):18単位/回 | サービス提供体制強化加算(Ⅱ):18単位/回 | ・介護福祉士50%以上 |
サービス提供体制強化加算(Ⅰ):12単位/回 サービス提供体制強化加算(Ⅱ):6単位/回 | サービス提供体制強化加算(Ⅲ):6単位/回 | 介護福祉士40%以上 勤続7年以上の者が30%以上 |
また、介護予防通所リハビリテーションの区分は以下の通りになります。
現行の区分・単位数 | 改定後の区分・単位数 | 算定要件 |
なし | サービス提供体制強化加算(Ⅰ) 要支援1:88単位/月 要支援2:176単位/月 | ・介護福祉士70%以上 ・勤続10年以上介護福祉士25%以上 |
サービス提供体制強化加算(Ⅰ) 要支援1:72単位/月 要支援2:144単位/月 | サービス提供体制強化加算(Ⅱ) 要支援1:72単位/月 要支援2:144単位/月 | 介護福祉士50%以上 |
サービス提供体制強化加算(Ⅰ) 要支援1:48単位/月 要支援2:96単位/月 サービス提供体制強化加算(Ⅱ) 要支援1:24単位/月 要支援2:48単位/月 | サービス提供体制強化加算(Ⅲ) 要支援1:24単位/月 要支援2:48単位/月 | 介護福祉士40%以上 勤続7年以上の者が30%以上 |
今回は令和3年度の通所リハビリの介護報酬改定について解説しました。基本報酬から各サービスの算定方法・算定要件の違いについて表を用いて紹介しています。
今までの介護報酬から変更点も多いので、この記事を参考に確認してみてください。