この記事は、令和3年3月から都道府県、市町村のポイント獲得状況をネットで一般公表するとされたインセンティブ交付金について解説していきます!
令和3年1月18日に決定した介護報酬改定(算定構造)では、基本報酬は1単位から上がる等わずかながら変化を見せ、加算等の新設や廃止も多くみられました。
◆厚生労働省資料:第199回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料
また、発表された基本報酬の単位に加え、令和3年9月末までは新型コロナウイルスの対策費として0.1%を基本報酬に上乗せできるとの発表もあり、今回の報酬改定では運営基準も大きく変わる(追加が多い)ことにも注目が集まりました。
今回の介護報酬改定のポイントは大きく分けて5つです。
このうち、自立支援・重度化防止の取り組みの推進は以前から取り組まれており、2018年より各自治体に対してもインセンティブ交付金というものが用意されています。
インセンティブとは、「やる気を起こさせるような刺激や奨励金のこと」です。
2018年度に国が200億円を予算へ計上し、高齢者の自立支援に注力した自治体にインセンティブとして用意をし、介護費用の増加を抑える効果があるとして、自立支援や介護予防に力を入れる方針を打ち出しており、自治体にそれらの取り組みを促すために「インセンティブ交付金」を設けました。
インセンティブ交付金は、高齢者の自立支援・重度化防止につながる取り組みを積極的に行った都道府県・市町村を評価し、その評価に基づいて自治体に交付金を支給するという制度です。
現状の予算200億円は、市町村へ190億円、都道府県へ10億円の配分となっており、市町村が国から交付金を受け取るためには評価の指標が存在します。
(1)PDCAサイクルの活用による保険者機能の強化
・地域包括ケアの「見える化」システムを活用し、他の地域と比較し自らの地域の介護保険事業の特徴を把握しているか。
(2)ケアマネジメントの質の向上
・ケアマネジメントに関する自治体の基本方針を、ケアマネージャーに伝えているか。
(3)多職種連携による地域ケア会議の活性化
・地域ケア会議において、多職種が連携し自立支援・重度化防止に役立つかどうかの観点から個別事例を検討し、対応策を講じているか。
・地域ケア会議で話し合った個別事例の検討件数割合はどの程度か。
(4)介護予防の推進
・介護予防の場にリハビリ専門職が関わる仕組みを設けているか。
・介護予防につながる住民の通いの場へ、65歳以上の人の参加者はどの程度いるか。
(5)介護給付適正化事業の推進
・ケアプラン点検をどの程度実施しているか。
・福祉用具や住宅改修の利用に際して、リハビリ専門職等が関わる仕組みを設けているか。
(6)要介護状態の維持・改善の度合い
・要介護認定者の要介護認定の変化率はどの程度か。改善しているか。
地域ケア会議や、ケアマネージャーに対するケアプラン点検が活発になった背景には、このような制度が存在することが理由の1つに挙げられます。
インセンティブ交付金への取り組みを、令和3年3月から都道府県、市町村のポイント獲得状況をネットで一般公表するというニュースが流れました。
このニュースが流れるとなれば、どの自治体も取り組みを強化せざる得ません。
ケアマネージャーに対する『ケアプラン点検』が今まで以上に強化され、地域ケア会議も活発になることが予測されます。
この事が訪問介護事業に与える影響は、以下2つです。
インセンティブ交付金に直接関係するのはケアマネージャーですが、ケアマネージャーが訪問介護を位置付けなければ訪問介護はサービス提供が出来ません。
ケアマネージャーが自信を持って、第三者にその事業所を位置付けている説明が出来る状態であること(第三者が見て質が良いと明確に判断できること)、自社ケアマネージャーに頼らず訪問介護が単体で売り上げ、単価を上げる戦略を考えていくことが大切です。
このことから、訪問介護は『特定事業所加算の取得』がより必須であると言えます。
今日は自治体が国から得ることが出来るインセンティブ交付金についてご案内しました!
一見関係のない様な制度ですが、この取り組みが強化されることで受ける訪問介護の影響はとても大きいものです。
誰が見ても『質が良い』と言える事業所であること、自社ケアマネージャーに頼らない運営を行っていくことは、介護報酬改定を迎え、安定して経営を行っていくために必要なことなので、特定事業所加算など、別手段での収益確保のご検討をお勧めいたします。