ADL維持等加算の加算についてよくわからない…いざ導入しようとしてもなんだか難しそうで敷居が高い…。と悩んでいませんか?管理者の中には、新たにADL維持等加算の取得を検討している方もいるでしょう。
この記事ではどのような条件を満たせば加算が算定できるのか?ADL維持等加算の単位数や対象・算定要件をわかりやすく徹底解説するとともに、算定に必要な手続きについてお伝えします。ADL維持等加算の算定を検討中の方は最後まで読んでみてくださいね。
目次
ADL維持等加算とは、2018年の介護報酬改定で新たに創設された「介護サービスの質を示すための評価加算」のことです。
ADL維持等加算は、通所介護や地域密着型通所介護を利用している利用者の日常生活動作(ADL)の維持や改善の度合いが一定の水準を超えている事業所が取得できます。また、2021年度の介護報酬改定で、ADL維持等加算の対象となるサービスに介護老人福祉施設等が追加され、一部の算定要件が緩和されるなどの見直しが行われています。
対象となるのは「要介護」の方々のみであり、そのADL値を集計した結果「維持できている」または「改善している」という結果が得られた場合評価期間終了後の1年間すべての要介護の利用者に対して加算を算定できます。
2024年現在、ADL維持等加算の対象となる介護サービス事業所は以下の通りです。
(注)以下のサービス種別については、保険者が所管します。
以下で紹介する算定要件は、2024年4月1日施行予定の介護報酬改定による変更点を反映したものになります。
現行の単位数や算定要件と異なる場合がございますのでご注意ください。
また2024年4月1日の介護報酬改定に伴う変更点は赤字で記載を行っています。
ADL維持等加算の単位数や算定要件は以下のように定められています。
ADL維持加算(Ⅰ) | ADL維持加算(Ⅱ) | |
単位数 | 30単位/月 | 60単位/月 |
対象者 |
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算定条件 |
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ADL利得1以上 | ADL利得3以上 | |
評価対象者 |
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提出頻度 | 評価対象者全員について、利用開始月と7ヵ月目(7ヵ月目にサービスの利用がない場合は利用があった最終月)にBarthel Indexを適切に評価できる者がADL値を測定し、測定した月ごとにLIFEに提出していること(BIの項目ごとに提出) | |
算定期間 | 評価対象期間の満了日が属する月の翌月か12ヵ月間 |
以下は、ADL維持等加算に関する留意点です。
LIFEへのデータ提出は毎月ではなく、既存の利用者については加算の算定を始める月の翌月10日までとなっており
2回目以降の情報提供は、6ヵ月後の翌月10日までの合計2回と少ない頻度での提出ができます。
また新規の利用者については、サービスを始めた月の翌月10日までに提出し、サービスを終了する利用者については、その月の翌月10日までの提出が必要です。
なお、LIFEへの入力は常時できる様になっていますが、データの提出期限があり「評価を行った月の翌月10日」となっているので、LIFEに入力することを必ず忘れないように気をつける必要があります。
ADL(日常生活動作)を評価するスケールは多々ありますが、Barthel Indexでは細かな条件に関する項目はなく、1.食事、2.車椅子とベッド間の移乗、3.整容、4.トイレ動作、5.入浴、6.移動、7.階段昇降、8.更衣、9.排便自制、10.排尿自制、という10項目の基本的な日常生活の能力を単純に点数化することができるため、迅速かつ簡潔に評価を行えるのが特徴とされています。
満点が100点であり、最低点は0点となっています。一般的には「85点以上」でADLが自立していると考えており、「60点」を一部自立、「40点」を大部分の介助、「0点」を全介助としています。
厚生労働省は、科学的介護推進体制加算・個別機能訓練加算・ADL維持等加算で必要となるADLの評価について、令和3年度介護報酬改定に関するQ&Aにおいて「ADLの評価は、一定の研修を受けた者がバーセルインデックス評価を用いて行う」と示しています。一定の研修では、以下の2つが求められます。
ADL利得の計算方法について解説していきます。なお、Barthel Indexを以下BIと表記します。
まずはじめに個別の利用者ごとに「7ヵ月目のBIの合計値」から「初月のBI値」を差し引いた値を出します。
次に、それぞれの利用者の初月のADL値がどれに当てはまるかを確認してください。最後に該当している調整係数(0〜3)を加えると利用者ごとのADL利得が算出されます。式で表すと「7ヵ月目のBIの合計値-初月のBIの合計値+調整係数」となります。
このADL利得の計算方法ですが、ご自身で計算をしなければいけないと不安に感じた方もいるかと思いますが、LIFEに提出をすることで計算は自動で行なわれる為ご安心ください。
LIFEへのADL維持等加算の基本的なデータ提出ケースですが、加算算定の申出の際に利用中の要介護の方は、初月と7ヵ月後に提出します。評価期間の途中で利用を開始した要介護の方は、利用開始月とそこから7ヵ月後に提出する必要があります。ですが、評価期間の途中で要支援→要介護になった方は、要介護になった初月とその7ヵ月後に提出しなければいけません。
7ヵ月以内に要介護→要支援になった方は、要介護としての最終利用月のみ提出するといったケースもあるので、どのケースに当てはまるのかを確認することが大切です。
LIFEへのデータ入力手順ついての操作方法を説明します。
まず最初にログインと画面選択をします。管理ユーザーまたは操作職員のアカウントでログインしてください。トップメニューから「令和〇年度ADL維持等加算算定」をクリックします。次に、「対象サービス」の右にある「▼」をクリックし、加算算定の判断を行うサービスを選択すると利用者一覧が表示されます。
評価対象期間は、加算の算定を開始する月の前年の同月から12月後までの1年間となります。日付の入力は画面にあるカレンダーマークをクリックして行います。各介護サービス利用者のADL維持等加算情報の入力方法を説明します。
まずは「初月」「6月後」「初月ADL」「6月後ADL」の入力を行ってください。入力操作は20分以内でこまめに一時保存することを推奨します。
全対象者の入力完了後、計算ボタンをクリックすると確認画面が表示されるので、OKをクリックします。正常に算出が完了した場合は、算出完了の画面が表示されます。
データ提出において、Barthel Index以外からの読み替えデータを使用するのは可能です。ただし、測定者がBarthel Indexに係る研修を受け、Barthel Indexへの読み替え精度などを踏まえたうえで、必要に応じて別途評価をするなどの対応を行い提出する必要があります。
要支援から要介護になった方については、要介護になった初月が評価対象利用開始月となります。
2021年介護報酬改定により算定要件は緩和され、単位数も10倍近く上がったりしています。
そしてADL維持等加算の取得ができるようになると都道府県や市町村から加算対象施設である事が居宅介護支援事業所や地域の近隣住民に周知されるので、ADLの維持・向上に重点を置いた手厚いケアが受けられる介護施設として外部にアピールすることができます。何より利用者の残存機能や生活能力をできる限り維持・向上することで自立心や自尊心を助長し、利用者やご家族から良い介護施設として評価を受けることができるでしょう。
これからADL維持の支援に力を入れる介護施設を目指すならこの機会にぜひ、ADL維持等加算の取得を検討してみてはいかがでしょうか?