人員基準欠如減算とは、事業所や介護施設が守るべき人員配置基準を満たせていない時に適用される減算になります。元々は、看護職員や介護職員の必要な人数が確保されていないまま事業所が運営される事を防ぐために決められました。
人員基準欠如減算に当てはまる場合は、速やかに労働基準監督署に届出を提出する必要があります。施設や事業所において必要な人員配置は利用者の事故にも繋がるので、安全を守るためにも必要なことです。
人員基準は介護サービスの種類によって異なります。事業所や施設を運営されている方は守るべき人員基準のルールを理解しておくことが大切です。
この記事では人員基準欠如減算について詳しく解説をしています。ぜひ、参考にしてみてください。
人員基準欠如減算とは、介護保険指定事業所において各サービス事業で定められた施設利用者定員を上回った場合や、職員の配置数が基準を満たさなくなった場合に、入所者全員に対しての基本報酬を70%給付とするものです。
人員基準欠如減算は、介護保険指定事業所の看護職員や介護職員などの配置数が人員基準を下回った場合、入所者全員に対して所定単位数の70%に減算されます。
人員基準上、必要とされる員数から1割を超えて減少した場合は、その翌月にから人員基準欠如が解消された月まで減算し、1割の範囲内で減少した場合は、その翌々月から人員基準欠如が解消された月まで減算します。ただし、翌月の末日に人員基準を満たした場合は減算の対象になりません。
既に利用者定員超過で減算されている場合は、人員基準欠如による減算はありませんので、単に所定単位数の70%を算定することになります。
人員基準違反は人員基準欠如減算とは異なり、運営指導や監査で人員配置基準の違反が発覚した時に下される行政指導です。
人員が不足しているにも関わらず、人員は満たされていることを装い、加算要求を満たすものとして偽って請求した場合などの不正が人員基準違反とされています。
以下が対象となるサービスです。
- 通所介護
- 地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 通所リハビリテーション
- 短期入所生活介護
- 短期入所療養介護
- 特定施設入居者生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 介護老人福祉施設
- 地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
- 小規模多機能型居宅介護
- 認知症対応型共同生活介護
- 看護小規模多機能型居宅介護
以下が要件になります。
サービスの種類 | 要件 |
通所介護 | 看護職員または介護職員の必要人員が基準を満たしていない |
通所リハビリテーション | 医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、または介護職員の人員が基準を満たしていない |
短期入所生活介護 | 看護職員または介護職員の必要人員が基準を満たしていない |
短期入所生活介護 | 利用者数が3、または増すごとに1人以上の介護職員、看護職員を置いていない |
短期入所生活介護 | 短期入所生活介護と介護老人福祉施設における看護職員または介護職員の基準を満たしていない ※併設・空床利用型の短期入所生活介護は特別養護老人ホームと一緒に減算する |
短期入所生活介護 | 上記に加えて、利用者数が3、または増すごとに1人以上の介護職員、看護職員を置いていない |
短期入所療養介護 | 医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、または介護職員の人員が基準を満たしていない |
特定施設入居者生活介護 | 看護職員または介護職員の必要人員が基準を満たしていない |
介護老人福祉施設 | 看護職員または介護職員、介護職員専門員の必要人員が基準を満たしていない |
介護老人保健施設 | 医師、理学療法士、作業療法士、看護職員、介護職員、介護支援専門員の人員が基準を満たしていない |
介護療養型医療施設 | ①看護職員または介護職員または介護支援専門員の必要人員が基準を満たしていない ②看護師の数が看護職員の20%未満 ③僻地の医師確保計画を提出していない施設で、医師の数が60%未満 ④僻地の医師確保計画を提出した施設で、医師の数が60%未満 |
介護医療院 | ①医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、または介護職員の人員が基準を満たしていない ②看護師の数が看護職員20%未満 |
小規模多機能型居宅介護 | 従業員が人員配置基準を満たしていない |
認知症対応型共同生活介護 | 従業員が人員配置基準を満たしていない |
看護小規模多機能型居宅介護 | 従業員が人員配置基準を満たしていない |
人員基準欠如減算の単位数や計算方法について解説をします。
人員基準欠如減算の単位数は、原則70/100です。
入所者または利用者全員に対して「基本報酬×70%」の計算式を用いて計算します。
しかし、介護療養型医療施設と介護医療院の場合は、以下の単位となります。
サービス種別 | 単位 |
介護療養型医療施設 |
|
介護医療院 |
|
以下では、人員基準欠如減算に対する注意点を記載していますので、参考にしてみてください。
人員欠如減算の対象となった場合は、届出を提出する必要があります。
届出の種類は2種類あります。
場合によっては以下も必要になります。
届出が提出されていない場合や継続的に人員の欠如が生じる場合は、指定取り消しになる可能性もあるため注意が必要です。
実際にサービスを行っていないにも関わらず、サービスを行ったように装い報酬請求を行った場合や、一定の人員基準を満たしていないのに人員を満たしていると装った場合は、不正請求にあたります。
不正請求の場合は行政による報酬返還が求められます。
以下では人員基準欠如減算で質問によく出る箇所をまとめています。
災害や虐待やその他のやむを得ない事情がある場合と同様に7日(やむを得ない場合は14日)の範囲であれば、利用者の数に含めずに前年度の利用者数平均値を計算する。
別の常勤職員の配置が必要になります。
双方の入所者に対する機能訓練が適切に実施されている場合で、常勤の理学療法士等が機能訓練指導員としての職務に従事しているのであれば、双方の算定要件を満たすことになる。
人員基準減算は必要な人員が確保されていない場合は必ず届出を提出する必要があります。人員基準欠如減算を行わずに介護保険請求を行った場合、不正請求とみなされ、処分の対象になるため注意が必要です。
人員基準欠如減算の対象にならないためにも、日頃から適切な人員配置と管理を徹底しなければなりません。
人員配置は事業所としても必ず守らないといけないルールなので人員基準欠如違反を防ぐことを心がけることが大切です。