「サービス提供体制強化加算ってなに?」「算定要件がわからない」このように感じる方は多いのではないでしょうか。今回の記事では、サービス提供体制強化加算とは何か、単位数や算定要件について、解説します。
目次
サービス提供体制強化加算とは、介護に関わる事業者を対象とした加算です。介護福祉士など介護職員の資格の有無や勤続年数などをもとに、より質の高いサービスを提供する体制が整っている事業所を評価するために創設されました。
サービス提供体制強化加算の対象となる介護サービスは、以下の通りです。
多くの介護サービスが、サービス提供体制強化加算の対象となっています。
サービス提供体制強化加算の単位数を、介護サービス別に表にまとめました。1単位=10円となっており、その単位数に単価をかけた値が、介護報酬となります。(単位数×単価=介護報酬)
なお、サービスを管理する地域などの条件によって単価は変わりますので、同じ単位数でも、同額になるとは限りません。
介護サービス | 加算Ⅰ | 加算Ⅱ | 加算Ⅲ |
訪問入浴介護 | 44単位/回 | 36単位/回 | 12単位/回 |
夜間対応型訪問介護 | 22単位/回 | 18単位/回 | 6単位/回 |
訪問看護 | ー | ー | 3単位/回 6単位/回※1 |
療養通所介護 | ー | ー | 24単位/月 |
訪問リハビリテーション | ー | ー | 3単位/回 6単位/回※1 |
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 750単位/月 | 640単位/月 | 350単位/月 |
小規模多機能型居宅介護 看護小規模多機能型居宅介護 | 750単位/月 | 640単位/月 | 350単位/月 |
通所介護、通所リハビリテーション 地域密着型通所介護 認知症対応型通所介護 特定施設入居者生活介護※2 地域密着型特定施設入居者生活介護※2 認知症対応型共同生活介護 短期入所生活介護、短期入所療養介護 介護老人福祉施設※2 地域密着型介護老人福祉施設※2 介護老人保健施設※2、介護医療院※2 介護療養型医療施設※2 | (予防通リハ以外)22単位/回(日) (予防通リハ) | (予防通リハ以外)22単位/回(日) | (予防通リハ以外)22単位/回(日) |
※1 条件により算定できる単位が異なる。
訪看、訪リハ→3単位/回、あるいは6単位/回
療養通所→24単位/月、あるいは48単位/
※2 規定の算定条件に加え、さらに「サービスの質の向上に資する取組を実施していること」という条件が必要になる介護サービス。
サービス提供体制強化加算の加算単位は、条件により、加算Ⅰ、加算Ⅱ、加算Ⅲの3種類※に分かれています。加算Ⅰ>加算Ⅱ>加算Ⅲの順番に、単位は大きくなりますが、その分、厳しい条件が求められます。
・訪問入浴介護
・訪問リハビリテーション
・定期巡回・随時対応型訪問介護
・夜間対応型訪問介護
上記の介護サービスの3種類の加算条件を、ご紹介します。
※訪看、訪リハ、療養通所は加算Ⅲのみ算定できる
訪問入浴介護のサービス提供体制強化加算の算定要件は、以下の通りです。
・加算Ⅰ
①介護職員の総数のうち、介護福祉士の割合が60%以上
②勤続年数が10年以上の介護福祉士が25%以上
上記の条件のうち、どちらか1つを満たしていれば「44単位/回」の加算を算定できます。
・加算Ⅱ
介護福祉士40%以上。または介護福祉士、実務者研修修了者、基礎研修修了者の合計が60%以上
上記の条件を満たしていれば、「36単位/回」の加算を算定できます。
・加算Ⅲ
①介護職員の総数のうち、介護福祉士30%以上。または介護福祉士、実務者研修修了者、基礎研修修了者の合計が50%以上
②勤続7年以上の者が30%以上
上記の条件のうち、どちらか1つを満たしていれば「12単位/回」の加算を算定できます。
訪問リハビリテーションのサービス提供体制強化加算の算定要件は、以下の(イ)(ロ)どちらかを満たすことによって、それぞれ規定の加算を算定できます。
(イ) 理学療法士のうち、勤続7年以上の者が1人以上
上記の条件を満たすと「6単位/回」の加算を算定できます。
(ロ) 理学療法士のうち、勤続3年以上の者が1人以上
上記の条件を満たすと「3単位/回」の加算を算定できます。
定期巡回・随時対応型訪問介護のサービス提供体制強化加算の算定要件は、以下の通りです。
・加算Ⅰ
①介護職員の総数のうち、介護福祉士の割合が60%以上
②勤続年数が10年以上の介護福祉士が25%以上
上記の条件のうち、どちらか1つを満たしていれば「750単位/月」の加算を算定できます。
・加算Ⅱ
介護福祉士40%以上。または介護福祉士、実務者研修修了者、基礎研修修了者の合計が60%以上
上記の条件を満たしていれば、「640単位/月」の加算を算定できます。
・加算Ⅲ
①介護職員の総数のうち、介護福祉士30%以上。または介護福祉士、実務者研修修了者、基礎研修修了者の合計が50%以上
②介護職員の総数のうち、常勤職員が60%以上
③介護職員の総数のうち、勤続7年以上の者が30%以上
上記の条件のうち、どちらか1つを満たしていれば「350単位/月」の加算を算定できます。
夜間対応型訪問介護のサービス提供体制強化加算の算定要件は、以下の通りです。
・加算Ⅰ
①介護職員の総数のうち、介護福祉士の割合が60%以上
②勤続年数が10年以上の介護福祉士が25%以上
上記の条件のうち、どちらか1つを満たしていれば「22単位/回」の加算を算定できます。
・加算Ⅱ
介護福祉士40%以上。または介護福祉士、実務者研修修了者、基礎研修修了者の合計が60%以上
上記の条件を満たしていれば、「18単位/回」の加算を算定できます。
・加算Ⅲ
①介護職員の総数のうち、介護福祉士30%以上。または介護福祉士、実務者研修修了者、基礎研修修了者の合計が50%以上
②勤続7年以上の者が30%以上
上記の条件のうち、どちらか1つを満たしていれば「6単位/回」の加算を算定できます。
加算条件にある職員の割合の計算は、前年度の4月〜2月の11ヶ月間の平均値を使用し、常勤換算方法により算出します。
毎年、前年度の11ヶ月間を基準として、職員の割合に関する加算算定できるかどうかが決まります。
前年度の職員の割合と変化があり、加算条件を満たしていない場合は、速やかに申請を取り下げる必要があります。
新年度の基準となる、前年度の実績ですが、この実績が6ヶ月に満たない場合もあります。その場合、届出日を含む前3ヶ月を元に、常勤換算方法により算出します。
この届出方法を行った場合は、その後3ヶ月は継続的に職員の割合を維持する必要があります。所定の割合を下回ってしまった場合には、その旨を届け出る必要があります。
勤務年数は、1月ごとに計算します。毎月、前月の末日(5月に計算の場合4月31日)に所定の勤務年数に達しているかどうか、を判断基準とします。
参考:厚労性労働省
サービス提供体制強化加算に関するQ&Aをまとめました。
A 資格取得以降に、10年以上の勤務が必要、という訳ではありません。
あくまで、「10年以上の勤務年数のある職員が、介護福祉士の資格を保持している必要がある」という意味です。
A 常勤換算は「勤務時間総数(勤務延時間数)÷常勤職員が勤務すべき時間数」で計算します。常勤職員の勤務時間が160時間の場合だとします。そして常勤、非常勤の職員全ての合計勤務時間が800時間の場合、「800(勤務時間総数)÷160(常勤職員が勤務すべき時間数)=5」となるので、常勤換算は5人です。
A 職員の退職などにより、所定の条件を満たせなくなった場合には、直ちに加算の廃止届を出さなければいけません。そのまま加算の受給を続けていると、不正受給となる可能性があるので、注意しましょう。
今回の記事では、サービス提供体制強化加算の算定要件や単位数、留意点について解説してきました。
特に、留意点については、正しい事業所経営を行うためにもしっかりと確認をする必要があります。よりよい介護サービスを提供するためにも、サービス提供体制強化加算を算定できる体制を整えましょう。