特別地域加算は、介護サービスの確保が著しく困難な地域において、介護サービスの提供をおこなっている事業所を評価する加算です。2024年度(令和6年度)の介護報酬改定において、対象地域の明確化や見直しがおこなわれたため、どのような変更があったか気になっている方もいるのではないでしょうか。
本記事では特別地域加算とはどのような加算かについて詳しく解説します。算定が可能な介護サービスや算定要件といった基本事項はもちろん、2024年度の介護報酬改定における変更点についても紹介するので是非参考にしてください。
目次
特別地域加算とは、介護サービスの確保が著しく困難であると認められた特別地域などにおいて、介護サービスの確保に貢献する事業所を評価するための加算です。
特別地域は、人口密度が希薄であることや交通が不便であることを理由に選定され、具体的には離島や豪雪地帯、過疎地域などが当てはまります。
特別地域加算の対象となるサービスは以下の通りです。
【介護サービス】
【障害福祉サービス】
特別地域加算の単位数は、各介護サービスの所定単位数のうち15%にあたる額です。
なお、(介護予防)福祉用具貸与においては交通費に相当する額を事業所の所在地に適用される1単位の単価で除して得た単位数を加算します。なお、この場合、個々の用具ごとに貸与費の100%が加算の限度です。
特別地域加算を算定するためには、特別地域に所在する事業所がサービス提供をおこなうことが必要です。なお、対象となる特別地域は以下のように定められています。
特別地域には以下の地域が定められています。
特別地域 | 根拠法 | |
1 | 離島振興対策実施地域 | 離島振興法 第二条第一項 |
2 | 奄美群島 | 奄美群島振興開発特別措置法 第一条 |
3 | 振興山村 | 山村振興法 第七条第一項 |
4 | 小笠原諸島 | 小笠原諸島振興開発特別措置法 第四条第一項 |
5 | 沖縄の離島 | 沖縄振興特別措置法 第三条第三号 |
6 | 豪雪地帯・特別豪雪地帯・辺地・過疎地域等であって、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難な地域 |
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従来、特別地域加算をはじめとする中山間地域等に対する加算について、俗に「みなし過疎地域」と呼ばれる過疎地域が対象となるかどうか、法令上不明瞭となっていました。そのため、2024年度の介護報酬改定では、特別地域加算の算定対象地域としてみなし過疎地域等が含まれるよう定義が変更されています。
具体的には、根拠法として提示されている過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法の参照項目が、第二条第一項から第二条第二項に変更されました。
第二条第一項は、基本的な過疎地域の判断基準について定められた項目になりますが、第二条第二項では、大臣による公示により過疎地域が示されるものとなり、その中にはみなし過疎地域も含まれています。
なお、大臣が公示する過疎地域は以下の通りです。
参考:総務省「過疎関係市町村都道府県別分布図」
最後に特別地域加算についてのよくある質問を紹介します。
本体の事業所が特別地域以外にあり、サテライト事業所が特別地域にある場合、サテライト事業所が独立して特別地域加算の算定対象となります。
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算は、特別地域に居住する利用者に、通常の実施地域を越えて、サービス提供を行った場合に算定できる加算です。
そのため、通常の実施地域を越えたサービス提供であれば、特別地域加算と中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算の弊算定をおこなうことができます。
また、同様の理由から、中山間地域等における小規模事業所加算と中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算においても弊算定が可能です。
今回は、特別地域加算の算定要件や対象地域について解説しました。2024年度の介護報酬改定にて、みなし過疎地域が対象となることが明確になったため、加算取得に悩んでいた方は一度確認してみることをおすすめします。