病気が末期で最期は自宅で生活したい人はたくさんいます。
しかし、自宅からは病院を受診できない人も多いため、自宅でも医師の診察を受けられるよう、在宅診療をしている病院や診療所が増えています。
自宅の患者を診療する病院に関係あるのが、在宅療養実績加算です。
今回は、在宅療養実績加算の算定要件と単位数、通常の診療外で加算できる項目がなにか、説明していきます。
目次
在宅療養実績加算とは、緊急往診の実績があり、自宅で看取りの実績がある診療所や病院が報酬として受け取れる加算のことを言います。
今後、ますます高齢者の割合が増加することが予想されています。
そして、病気が治る見込みのない人の約半数は、自宅で最期を迎えたいと希望していると言われています。
こうした背景から自宅にいながら医師の診療を受けられる、在宅医療が推進されてきました。
2012年からは機能強化型在宅療養支援診療所や機能強化型在宅療養支援病院が創設され、在宅医療の充実が図られました。
しかし、機能強化型の在宅療養支援診療所や在宅療養支援病院は条件が厳しく、指定を受けるためのハードルは高いため指定が難しい診療所や病院がありました。
こうした背景の中、緊急往診の実績や自宅での看取りの実績により加算を受けることを可能にしたのが、在宅療養実績加算です。
在宅療養実績加算を算定するためには届出が必要です。
在宅療養実績加算にはⅠとⅡがあり、算定要件と点数は下記の通りです。
下記の表の点数は通常の診療報酬に加えることができる点数です。
要件 | 点数 | |
在宅療養実績加算Ⅰ | 過去1年間の緊急往診が10件以上かつ在宅看取り実績が4件以上。 | 75点 |
在宅療養実績加算Ⅱ | 過去1年間の緊急往診が4件以上かつ在宅看取り実績が2件以上。 がん性疼痛緩和指導管理料の指定基準の定める緩和ケアに関する研修を終了した常勤医師がいること。 | 50点 |
在宅療養実績加算では通常の診療以外で加算できるものがあります。
緊急往診とは、患者や看護している人から訴えられて、すぐに往診しなければいけないと判断された場合の往診を言います。
夜間や深夜の定義は地域によって違いますが、概ね午後6時から午前6時、午後7時から午前7時を指します。
休日とは概ね日曜日や祝日、年末年始です。
緊急の往診は650点、夜間・休日の往診は1,300点、深夜の往診は2,300点を加算することができます。
在宅ターミナルケア加算は、死亡日及び死亡日前14日以内に2回以上往診または訪問診療を実施した場合に算定することができます。
在宅療養実績加算Ⅰは750点、在宅療養実績加算Ⅱは500点を加算できます。
特別な医学的管理が必要な人(厚生労働大臣が定める状態等にある人)に、1ヶ月間に4回以上の往診または訪問診療を行った場合に、1回限り加算として算定できます。
在宅時医学総合管理料の点数は、下記の表をご覧ください。
人数 | 在宅療養実績加算Ⅰ | 在宅療養実績加算Ⅱ |
1人 | 300点 | 200点 |
2人〜9人 | 150点 | 100点 |
10人以上 | 75点 | 50点 |
有料老人ホームなど特定施設に入所されている人で病院へいくことができない場合に、同意を得て月に2回以上の定期的な訪問診療を行っている場合に算定できます。
計画的な医学的管理が必要です。点数は下記の通りです。
人数 | 在宅療養実績加算Ⅰ | 在宅療養実績加算Ⅱ |
1人 | 225点 | 150点 |
2人〜9人 | 110点 | 75点 |
10人以上 | 56点 | 40点 |
在宅がん医療総合診療料とは、自宅で生活していて、認知症や麻痺などで病院へ行って受診できない末期のがん患者に対して算定される診療料です。
在宅療養実績加算は、Ⅰが110点、Ⅱが75点を加算として算定することが可能です。
自宅で安心して療養するための1つとして、在宅療養実績加算は創設されました。
今後、自宅で療養することを希望する高齢者は増加すると予想されています。
加算が増えることで患者の自己負担金額は増えるものの、在宅療養実績加算が算定されることで自宅で療養する高齢者が安心して生活できる体制が整っていくことでしょう。