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令和3年4月に、介護報酬改定がありました。新型コロナウイルスの世界的な流行を受け、介護業界にも支援が広がることとなり、特例的に評価される上乗せ分が期間限定で新設される等の措置が取られました。
特定事業所加算や処遇改善加算、特定処遇改善加算の取得はどの事業所も『必ず』といっていいほど取得をしなければいけない加算です。
訪問介護における算定率は以下の通りです。
Ⅰ〜Ⅴまで設けられている評価区分に合わせて、加算される割合が異なります。
特定事業所加算 Ⅰ:ご利用者の総単位数プラス20%
特定事業所加算 Ⅱ:ご利用者の総単位数プラス10%
特定事業所加算 Ⅲ:ご利用者の総単位数プラス10%
特定事業所加算 Ⅳ:ご利用者の総単位数プラス5%
特定事業所加算 Ⅴ:ご利用者の総単位数プラス3%
認知症専門ケア加算(Ⅰ) 3単位/日(新設)
認知症専門ケア加算(Ⅱ) 4単位/日(新設)
【算定要件等】
<認知症専門ケア加算(Ⅰ)>(※既往要件と同様)
・認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者が利用者の100分の50以上
・認知症介護実践リーダー研修修了者を、以下のように配置し、専門的な認知症ケアを実施
▽認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者が20名未満の場合は1名以上
▽同20名以上の場合は1に、当該対象者の数が19を超えて10又は端数を増すごとに1を加えて得た数以上
・当該事業所の従業員に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達または技術的指導に係る会議を定期的に開催
<認知症専門ケア加算(Ⅱ)>(※既往要件と同様)
・認知症専門ケア加算(Ⅰ)の要件を満たし、かつ、認知症介護指導者養成研修修了者を1名以上配置し、事業所全体の認知症ケアの指導等を実施
・介護、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、実施または実施を予定
※認知症に係る取組の情報公表の推進
認知症対応力の向上と利用者の介護サービスの選択に資する観点から、研修の受講状況等、認知症に係る事業者の取組状況について、介護サービス情報公表制度での公表を求める。
看取り期での頻回なサービスや柔軟な対応を評価するため、以下の要件を満たす場合に、いわゆる「2時間ルール」を弾力化し、2時間未満の間隔でサービスが行われた場合、所要時間を合算せず、それぞれの所定単位数の算定を認める。
たとえば改定前では、身体介護を25分提供後、2時間以上間隔を空けず身体介護を25分行うと、のべ50分(30分以上1時間未満の395単位)として算定しなければならないが、改定後は「20分以上30分未満」の250単位×2回=500単位で算定できる。
【算定要件等】
緊急時訪問介護加算を算定する場合、または医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者に訪問介護を提供する場合。
利用者の身体的・経済的負担の軽減や利便性の向上の観点から、目的地が複数ある場合でも、居宅が始点または終点となる場合には、その間の病院等から病院等への移送や、通所系サービス・短期入所系サービスの事業所から病院等への移送といった、目的地間の移送に係る乗降介助でも、同一の事業所が行うことを条件に、算定可能とする。
この場合、通所系・短期入所系サービス事業所は送迎を行わないことから、通所系では利用者宅と事業所との間の送迎を行わない場合の減算を適用し、短期入所系では、利用者に対して送迎を行う場合の加算は算定できない。
中山間地域等で、地域の実情に応じた柔軟なサービス提供をより可能とするため、特例居宅介護サービス費等の対象地域と特別地域加算の対象地域について、自治体からの申請を踏まえて、それぞれについて分けて指定を行う。
特別地域加算 所定単位数の15%を加算
※厚生労働大臣が定める地域に所在する事業所がサービス提供を行った場合に算定。
【対象地域】
①離島振興対策実施地域②奄美群島③振興山村④小笠原諸島⑤沖縄の離島⑥豪雪地帯、特別豪雪地帯、辺地、過疎地域等であって、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難な地域
中山間地域等の小規模事業所加算 所定単位数の10%を加算
※厚生労働大臣が定める地域に所在する事業所がサービス提供を行った場合に算定。
【対象地域】
①豪雪地帯及び特別豪雪地帯②辺地③半島振興対策実施地域④特定農山村⑤過疎地域
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算 所定単位数の5%を加算
※厚生労働大臣が定める地域に居住している利用者に対して、通常の事業の実施地域を越えて、サービス提供を行った場合に算定。
【対象地域】
①離島振興対策実施地域
②奄美群島
③豪雪地帯及び特別豪雪地帯
④辺地
⑤振興山村
⑥小笠原諸島
⑦半島振興対策実施地域
⑧特定農山村地域
⑨過疎地域
⑩沖縄の離島
同加算(Ⅱ)で、サービス提供責任者とリハビリ専門職等がそれぞれ利用者の自宅を訪問した上で、共同してカンファレンスを行う要件に関して、サービス担当者会議の前後に時間を明確に区分した上で実施する、サ責及びリハビリ専門職等によるカンファレンスでもよいことを明確化する。
※外部のリハビリ専門職等の連携先を見つけやすくするため、同加算の算定要件上連携先となり得る訪問・通所リハビリ事業所が、任意で情報を公表するなどの取組を進める。
介護職員処遇改善加算及び介護職員等特定処遇改善加算の算定要件の一つである職場環境等要件について、以下の見直しを行う。
・職場環境等要件に定める取組について、職員の離職防止・定着促進を図る観点から、以下の取組がより促進されるように見直す。
▽職員の新規採用や定着促進に資する取組
▽職員のキャリアアップに資する取組
▽両立支援・多様な働き方の推進に資する取組
▽腰痛を含む業務に関する心身の不調に対応する取組
▽生産性の向上につながる取組
▽仕事へのやりがい・働きがいの醸成や職場のコミュニケーションの円滑化等、職員の勤務継続に資する取組
・職場環境等要件に基づく取組の実施について、当該年度における取組の実施を求める。
平均の賃金改善額の配分ルールについて、「その他の職種」は「その他の介護職員」の「2分の1を上回らないこと」とするルールは維持した上で、「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」の「2倍以上」とするルールについて、「より高くすること」とする。
訪問介護以外のサービス提供体制強化加算の見直しも踏まえ、勤続年数が一定期間以上の職員の割合を要件とする新たな区分を設ける。
<改定後> 以下を新設
特定事業所加算(Ⅴ) 所定単位数の3%を加算(新設)
【算定要件等】
<特定事業所加算(Ⅴ)>
○体制要件(※特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅲ)と同様)
・訪問介護員等ごとに作成された研修計画に基づく研修の実施
・利用者に関する情報またはサービス提供に当たっての留意事項の伝達等を目的とした会議の定期的な開催(テレビ電話等のICTの活用が可能)(追加)
・利用者情報の文書等による伝達、訪問介護員等からの報告
・健康診断等の定期的な実施
・緊急時等における対応方法の明示
○人材要件
・訪問介護員等の総数のうち、勤続年数7年以上の者の占める割合が30%以上であること
※加算(Ⅴ)は、加算(Ⅲ)(重度者対応要件による加算)との併算定が可能だが、加算(Ⅰ)、(Ⅱ)、(Ⅳ)(人材要件が含まれる加算)との併算定は不可。
上位区分の算定が進んでいることを踏まえ、廃止する。その際、2021年3月末時点で同加算を算定している介護サービス事業者については、1年の経過措置期間を設ける。
事業所と同一の建物に住む利用者にサービス提供を行う場合には、その建物に住む利用者以外にもサービス提供するよう努めることとする。
また、事業所を市町村等が指定する際に、例えば「その事業所の利用者のうち、一定割合以上をその事業所に併設する集合住宅以外の利用者とするよう努める、あるいはしなければならない」等の条件を付けてもよいことを明確化する。
令和4年に入り、介護職員処遇改善支援補助金の交付が決定し、令和4年10月に介護報酬改定が行われることが決定しています。
昨年に引き続き介護報酬改定は小刻みに行われ繰り返し、介護報酬は微増だといわれていますが経費や人件費は増していく一方です。
介護報酬の基本部分だけでなく、加算と上手に付き合い、安定した事業運営を行っていかなければいけません。