送迎減算とは、通所介護等での送迎を実施しなかった場合に適用される減算のことです。2024年の介護報酬改定により、通所介護サービスにおける送迎減算の適用要件が変更されました。報酬改定後の適用条件について詳しく知りたい通所介護経営者も多いのではないでしょうか。
ここでは、送迎減算が適用される具体的なケースや新しい要件、ポイントなどを詳しく解説します。
目次
通所介護などの通所施設では、基本報酬の中に送迎費用も含まれています。そのため、事業者が利用者宅とデイサービスの間の送迎をしない場合、その分を報酬から減らさなければいけません。このように、送迎の有無によって報酬を調整する目的で適用されるのが送迎減算です。
送迎減算が適用されるのは「通所系」と呼ばれる介護サービスです。送迎減算の対象サービスは以下の通りです。
送迎減算の適用要件と単位数は、以下の通りです。
適用要件 | 単位数 |
送迎をしない場合、片道ごとに減算される | 片道47単位 |
利用者が自ら事業所まで通った場合や利用者の家族等が送迎を行った場合、事業所の従業者が送迎を実施していない場合は、送迎減算の対象となります。
また、往復で送迎を実施しなかった場合は、行きと帰りで算定しなければいけないため注意しましょう。
2024年度介護報酬改定では、送迎の利便性向上や運転専任職の人材不足等に対応するため、送迎先と他の介護事業所等の利用者との同乗に関する適用条件が見直されました。
ここでは、報酬改定後の送迎減算のポイントについて詳しく解説します。
通常、デイサービスの送迎は利用者の自宅と事業所の間で行います。しかし、利用者が実際に生活している場所が自宅以外の場合、その場所が事業所のサービス提供範囲内で、利用者とその家族の同意があれば、その場所と事業所間の送迎でも送迎減算は適用されません。
また、介護予防通所リハビリテーションや療養通所介護には送迎減算の規定がありませんが、同じ扱いになる点には注意が必要です。小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能型居宅介護、指定相当通所型サービスについても同様です。
通常、A事業所の利用者をA事業所のスタッフが送迎しない場合は、送迎減算が適用されます。しかし、別のB事業所スタッフがA事業所と雇用契約を結んでいる場合、そのスタッフはA事業所のスタッフともみなされるため、送迎減算は適用されません。
さらに、A事業所とB事業所の両方を利用する方が同じ車に乗る場合、費用負担や責任の所在などの条件を事業所間で話し合って決めているのであれば、利用者の同乗も可能です。
同様に障害福祉事業所の利用者も同乗可能ですが、送迎の範囲は利用者の利便性を考慮し、各事業所の通常のサービスエリア内に限定されるため注意しましょう。
デイサービスなどの施設は、基本的にその施設のスタッフが利用者を送迎しなければなりません。しかし、利用者のケアに直接影響を及ぼさない送迎業務については、他の事業者に委託することも可能です。
送迎先が利用者の居宅でなかったとしても、送迎減算が適用されない場合があります。仮に、デイサービスの利用者が事業所と同じ建物に住んでいる場合、送迎減算の適用条件を満たすことになります。
しかし、同一建物等減算と送迎減算の両方が対象となる事業所の場合、同一建物等減算が優先されるため、送迎減算が適用されることはありません。
同一建物等減算と送迎減算の両方が対象となる施設は、注意しておきましょう。
送迎減算は、送迎を行う通所系介護サービスが送迎を行わなかった場合に適用されます。2024年介護報酬改定以降、適用されるケースが変更されているため、適用要件について再度確認しておく必要があります。
送迎減算が適用されるのに減算していなかった場合、返戻などの対応を求められることがあります。一方、適用しなくてもよいのに減算してしまった場合、事業所の収益低下に影響を及ぼすでしょう。
また、返戻等の対応をすることで、利用者との料金トラブルに発展する可能性もあります。事業所運営をスムーズに行うためにも、各事業所の管理者は送迎減算が適用される条件について正しく理解しておくことが大切です。