日々の業務、本当にお疲れ様です。本日は、令和7年度にご相談頂いた運営指導の内容より、今後皆さんにご注意いただきたいことをお伝えさせていただきます。
なお、以下のリンクに厚生労働省の「介護保険施設等運営指導マニュアル」を掲載しておりますので、参考にしてください。
ただし、このマニュアルには介護報酬に関する事項が書かれておらず、よく皆様から「このマニュアルに加算のことは書かれていないから見られないですよね?」とお問い合わせいただきますが、介護報酬についても、加算の要件、減算に該当しないかも確認が有ります。
この部分に特に注意して、日ごろから適正な運営を行っていきましょう。
令和7年度に行われた集団指導では、加算の算定根拠を丁寧に説明してくれています。
特に、特定事業所加算、生活機能向上連携加算、初回加算、緊急時訪問介護加算については算定根拠を運営指導時にも確認されていますので、改めて確認が必要です。
また札幌市の集団指導の資料では、訪問介護計画の適切な作成・変更・同意取得についても触れられています。
特に運営指導時に確認されやすいのは、
・居宅サービス計画との整合
・目標が具体的かどうか
・変更時に再同意があるか
形式だけ整っていても、実施記録と結びついていなければ指摘対象になります。
弊社のデータベースによると、札幌市による運営指導の基本スタイルは以下の通りです。
来訪人数:2名〜3名体制が多い
指導時間:2時間〜3時間程度
特徴:時間が伸びるケースでは併設事業所との同日指導の他、加算や人員等で確認事項が多くなる場合があります。
札幌市の指導では、「書類があるかどうか」よりも、その判断が妥当だったかどうかが問われる場面が見られます。
現場では自然な判断であっても、言語化されていないと説明が難しくなることがあります。
ここでは、実際のご相談から見えてきた代表的なケースを整理します。
身体介護として算定していたが、実際の記録は「見守り中心」と捉えられてしまうほど、記録が薄かった。
結果として、「算定している時間に何をしているのか」の説明に時間がかかってしまった。
このケースでは、実際に支援は行われていましたが、「身体介護で何を提供しているのか」が記録上明確でなかったため、確認に時間がかかりました。
記録で説明が出来ない場合、報酬を返還しなければいけない可能性もありますので、注意しましょう。
同居家族がいる利用者に生活援助を提供。
しかし、
・家族の就労状況
・家族の心身状況
・家族が実施困難な理由の記録が曖昧でした。
同居家族がいる場合の生活援助は「例外要件の説明力」が重要です。
この事例では、生活援助そのものが問題になったわけではなく、問題になったのは、「家族が対応できない理由」の説明が不足していた点です。
札幌市では、生活援助中心型について、例外適用の根拠が明確かどうかを確認する姿勢が見られます。
緊急対応はしていたが、
・要請時間
・緊急性の判断
・支援内容が明確でなかった。
加算は“事実がある”だけでは足りません。“要件を満たしていることが分かる記録”が必要です。
介護報酬に関する書類はすべて記録が大切ですが、特に加算については要件を満たしていることが分かる書類が不可欠です。
札幌市の指導をまとめると、書類の有無はもちろん、支援判断の妥当性を説明できるかも大きなポイントです。
アセスメントやモニタリングに「なぜこの支援を実施しているのか」「なぜこの支援が必要なのか」を記録として残しましょう。
1. サービス提供の理由を1行でも書く(主訴に入れても良い)
→なぜ身体のこのサービスが必要か、なぜ生活援助のこの内容が必要か。
2. 家族状況を含めた環境を具体的に残す
→就労、病気、介護力等、なぜヘルパーが行わなければいけないかを残しましょう。
札幌市の集団指導では、好事例も以下の様に共有されています。
・居宅サービス計画の短期目標の終了日や次回モニタリング予定日等を1枚で分かるように
リストにし、業務に漏れがないように管理していた。
・挨拶した言葉のやり取りや、趣味についての会話等、誰が見ても訪問時の様子が目に浮かぶような記載がされていた。
・自主的に毎月1回はモニタリングを実施し、細かく各利用者の状態を把握していた。
把握した結果は会議で全職員に 周知し、担当するヘルパーによってサービスの質にばらつきがないよう工夫していた。
・研修で何を学びたいか、ヘルパーへアンケートを取り、研修の内容を決定していた。
・研修実施後は感想や疑問点、今後の業務にどのように活かすか等を一人ひとり研修報告書として作成し、サービス提供責任者や管理者がコメントを記入、写しを研修受講者へ渡しフィードバックしていた。
・会議録の書記を当番制にし、参加者全員が主体的に会議に参加できるように工夫していた。
・一人当たり年3回以上外部研修を受講できるようにスケジュール調整をしていた。
・苦情やヒヤリハットについて、今後のサービス質の向上に繋げるため、小さなことでも記録・対応・再発防止策の検討を全職員で共有していた。
・サービス提供責任者が各利用者に対し行ったこと(面談、訪問介護計画書の作成、モニタリング等)を日々記録し、 その用紙を個人台帳の先頭につづっており、業務に漏れがないよう努めていた。
どうしても指摘や指導事例が気になりますが、こういった好事例も参考に、適正な運営を目指していきましょう。
私たちは、決して書類を作るために介護をしているわけではありません。目の前の利用者に安定したサービスを提供し、安心して毎日を過ごしていただくために日々奮闘しています。
一見、現場のケアと書類業務は別物のように思えるかもしれません。しかし、万が一重大な法令違反が発覚し、多額の返還や厳しい処分を受けてしまえば、事業所の存続が危ぶまれます。それは結果として、「目の前の利用者の安心な日常」を奪ってしまうことになりかねません。
書類を整え、法令を遵守することは、大切な利用者と、一生懸命働く職員の皆さんを守るための「盾」なのです。
本当に大変な道のりではありますが、皆さんが少しでも円滑に、そして安心して事業運営を進められるよう、「けあタスケル」も微力ながら全力でサポートさせていただきます。これからも一緒に乗り越えていきましょう!