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令和7年度の運営指導はどうだった?相談実事例と行政資料から読み解くさいたま市の訪問介護指導事例 総評

投稿日: 2026-03-04

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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日々の業務、お疲れ様です。本日は、令和7年度にご相談頂いた運営指導の内容より、今後皆さんにご注意いただきたいことをお伝えさせて頂きます。

なお、以下のリンクに厚生労働省の「介護保険施設等運営指導マニュアル」を掲載しておりますので、参考にしてください。

介護保険施設等運営指導マニュアルについて

ただし、このマニュアルには介護報酬に関する事項が書かれておらず、よく皆様から「このマニュアルに加算の事は書かれていないから見られないですよね?」とお問い合わせいただきますが、介護報酬についても、加算の要件、減算に該当しないかも確認が有ります。

この部分に特に注意して、日ごろから適正な運営を行っていきましょう。

1. さいたま市の運営指導

令和7年度に行われた集団指導でも、運営指導についての流れや運営指導と監査の違い等が丁寧に示されました。

運営指導時の指摘内容についても以下の通り明確に分類が示されるなど、運営指導自体の内容について周知がおこなわれています。

口頭指導:法令、条例等に規定した事項に違反しているが、その程度が軽微である場合またはその違反について、文書指摘を行わなくても改善が見込まれる場合
※改善報告は不要

文書指摘:法令、条例等に規定した事項に違反している場合
※原則として通知日から30日以内に改善報告を行う

助言:法令、条例等に規定した事項に違反していないが、今後も違反のないよう、適正な運営に資するものと考えられる場合
※改善報告は不要

参考:令和7年度 さいたま市集団指導資料

弊社のデータベースによると、さいたま令和7年度 さいたま市集団指導資料市による運営指導の基本スタイルは以下の通りです。

来訪人数:2名〜3名体制が基本(最多5名)

指導時間:2時間〜3時間程度

特徴:半日から終日を実施するケースでは、介護・障害事業所、介護・施設併設等、同日に2か所以上実施する場合が多いようです。

時間が延びるケースの共通点

・特定事業所加算を算定している
・兼務が多い、兼務している常勤割合が複雑である
・書類提出遅延や整合性に不足がある

2. さいたま市の運営指導 事例

1. 特定事業所加算の体制不備

加算に関する指摘は、どの自治体でも見られますが、さいたま市では「要件を満たしているか」だけでなく、「その根拠がすぐ提示できるか」を重視される傾向があります。

実際にはきちんと運営していても、根拠書類が揃っていないことで指摘につながるケースが少なくありません。

【実際のご相談例】

■常勤割合の計算誤り
退職者が出た後も体制表が更新されておらず、実際には常勤割合を満たしていなかった。

■研修実施記録の未整備
研修は実施していたが、年間計画と実施記録が紐づいておらず、また変更された理由の説明が出来ず「要件を満たしている」と説明できなかった。

■サービス提供責任者の配置時間不足
サ責が兼務過多となり、実質的に必要な業務時間が確保されていなかった。

【対策】

特定事業所加算については、「加算専用ファイル」を作ることをおすすめします。

・要件チェック表
・常勤換算の計算根拠
・勤務体制表
・研修計画と実施記録
・サ責会議記録

これらを一つにまとめておくだけで、指導時の説明時間は大きく変わります。
また、毎月末に常勤割合を再計算する習慣をつけると、退職や異動によるリスクを早期に把握できます。

2. 個別計画書と実施内容の不一致

さいたま市の指導では、「計画が支援に活きているか」を丁寧に確認される傾向があります。
計画が形式的になっていないか、記録と一致しているかがポイントです。

【実際のご相談例】

■目標が抽象的
「安全に生活できるよう支援する」といった抽象的な表現のみで、具体的なサービス内容と結びついていなかった。

■モニタリングが形式的
毎月同じ文面で記録されており、状態変化が反映されていなかった。

■署名日が提供開始後
計画の同意日がサービス開始後になっていた。

【対策】

計画書の目標は、できるだけ具体的に記載しましょう。

例)
×安全に入浴できるよう支援する
○週2回の入浴介助を実施し、転倒なく入浴を継続することで本人が出来ることを維持する  等

また、提供内容が変更になった場合は、必ず「理由」を1行でも介護記録に残します。

入院、体調不良、家族都合など、理由が明確であれば整合性の問題にはなりにくくなります。

3. 勤務体制と実配置のズレ

人員基準や加算算定に関わる部分は、実地指導で必ず確認される項目です。

勤務表上は問題がなくても、実態と合っていない場合に指摘される可能性が高いです。

【実際のご相談例】

■勤務体制表と実績の不一致
勤務体制一覧では配置されているが、実際の出勤実績と合っていなかった。

■兼務過多
管理者やサ責が複数事業所を兼務し、実質的な業務時間が不足していた。

■加算維持がギリギリの体制
退職者が1名出ただけで基準割れする状態だった。

【対策】

勤務形態一覧表は「提出用書類」ではなく、「現状把握のツール」として活用することが大切です。

・月末に実績と突き合わせる
・兼務時間を可視化する
・余裕を持った配置設計を行う

特に加算を取得している場合は、“退職1名で崩れる体制”になっていないかを確認しましょう。

4. 重要事項説明書の更新漏れ

重説は、指導で必ず確認される書類の一つです。
形式的な確認ではなく、「利用者との約束内容が実態と一致しているか」が見られます。

【実際のご相談例】

■報酬改定後の料金未修正
重説が改定前のままになっていた。

■苦情窓口の外部連絡先未記載
事業所内窓口のみで、行政等の外部窓口が記載されていなかった。

■キャンセル料や交通費の規定が曖昧
実際の請求書と重説の記載が一致していなかった。

【対策】

「重説」「運営規程」「請求書」の3点を並べて確認することをおすすめします。

・料金表は一致しているか
・加算内容は反映されているか
・交通費やキャンセル料の条件は明確か
・苦情窓口に外部機関の連絡先はあるか  等

半年に一度、見直しの機会を設けるだけでも大きな予防になります。

どの事例も、悪意があって起きているものではありません。
ほとんどが「忙しさの中で後回しになった結果」です。

だからこそ、
“完璧を目指す”のではなく、“ズレに気づける仕組みを作る”ことが大切です。

その他参考資料:埼玉県 運営指導での主な指摘事項に関するQ&A

3. 適正な運営をおこなっていくには

さいたま市の指導傾向は、厳罰的というより、“整備型”です。
基礎を整え、整合性を保ち、説明責任を果たせる体制を作る。それができれば、過度に恐れる必要はありません。

私たちは日々、利用者の生活を支える仕事をしています。その誇りを守るために、制度とのズレを最小限にしていく。
指導は敵ではなく、“運営を整える機会”。そう捉えられる組織が、これから安定して成長していきます。

と、言葉でいうのは本当に簡単ですが、忙しさからついつい今作成すべき書類を後回しにしてしまう事もありますよね。
ですが、私たちの日々利用者と向き合った事実は、書類でしか伝えることが出来ません。
自分も、ヘルパーの皆さんたちも安心して支援に集中できる環境づくりをしていくために、1日または1週間に〇時間と定め、書類を片付ける時間をぜひ作ってください。

4. さいごに

私たちは、決して書類を作るために介護をしているわけではありません。目の前の利用者に安定したサービスを提供し、安心して毎日を過ごしていただくために日々奮闘しています。

一見、現場のケアと書類業務は別物のように思えるかもしれません。しかし、万が一重大な法令違反が発覚し、多額の返還や厳しい処分を受けてしまえば、事業所の存続が危ぶまれます。それは結果として、「目の前の利用者の安心な日常」を奪ってしまうことになりかねません。

書類を整え、法令を遵守することは、大切な利用者と、一生懸命働く職員の皆さんを守るための「盾」なのです。

本当に大変な道のりではありますが、皆さんが少しでも円滑に、そして安心して事業運営を進められるよう、「けあタスケル」も微力ながら全力でサポートさせていただきます。これからも一緒に乗り越えていきましょう!

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