日々の業務、本当にお疲れ様です。本日は、令和7年度にご相談頂いた運営指導の内容より、今後皆さんにご注意いただきたいことをお伝えさせていただきます。
令和7年度(2025年度)は、介護保険制度にとって大きな節目でした。いわゆる「2025年問題」が現実のものとなり、サービス需要が最大化する一方で、担い手不足は深刻さを増しています。
このような背景の中、厚生労働省および各自治体が進めているのが、「運営指導の効率化・重点化」です。
本記事では、私たちに寄せられた相談実績の分析結果と、最新の行政資料を照らし合わせ、介護に従事する皆さんがより適正な運営を目指して頂けることを目的に情報をお伝えしていきます!
なお、以下のリンクに厚生労働省の「介護保険施設等運営指導マニュアル」を掲載しておりますので、参考にしてください。
ただし、このマニュアルには介護報酬に関する事項が書かれておらず、よく皆様から「このマニュアルに加算の事は書かれていないから見られないですよね?」とお問い合わせいただきますが、介護報酬についても、加算の要件、減算に該当しないかも確認があります。
この部分に特に注意して、日ごろから適正な運営を行っていきましょう。
名古屋市の運営指導(旧実地指導)は、他自治体に比べて指導件数が多く、かつ指導や申請書類の受付を外部に委託し、適正運営に向けて積極的に行っているのが特徴です。
名古屋市資料(2025年9月)が示す「令和7年度の重点項目」
集団指導にて配布された資料『介護保険サービス事業者に対する指導監督等について』から読み取れる、令和7年度の名古屋市のスタンスは以下の通りでした。
セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントの防止のための方針を作成していなかったり、従業者に相談窓口について周知がされていなかった場合に指摘を受ける可能性があります。
策定するだけでなく、相談窓口が職員の皆さんに周知されているかしっかりと確認しましょう。
名古屋市の運営指導では、BCP(業務継続計画)について、単に策定しているだけでなく、ハザードマップに基づいた具体的な計画内容や、研修・訓練の実績(直近1年分など)が確認されています。
特に訓練が未実施の場合や、記録が曖昧な場合は指摘の対象となる傾向があります。
また、名古屋市独自の条例としては以下の3つが存在し、運営指導の際はこのあたりにも注意が必要でした。
事業所等は、保存が必要な記録のうち、平成25年4月1日(居宅介護支援事業所については、平成26年6月1日)以降に契約終了により完結したサービスの提供記録については、その完結の日から5年間保存する必要があります。
非常災害に備え、居住系サービス事業所・施設については利用者(入所者・入居者)及び従業者の3日間の生活、通所系サービス事業所については利用者及び従業者の1日間の生活に必要な食料及び飲料水(1人1日3リットルを目安)を備蓄しなければなりません。
貯水槽の水は、停電等により水が循環しなくなった場合は、残留塩素濃度が低下するため、飲用に適さなくなります。(水道法により、残留塩素濃度は0.1㎎/L(0.1ppm)以上に保つことが定められています。)そのため、貯水槽の水を飲料水として使用する場合は、災害発生1日目に貯水槽の水を使用することとし、2日目、3日目分は別に備蓄していただきますようお願いします。
事業所等は、その事業の運営に当たり、名古屋市暴力団排除条例に規定する暴力団を利することをしてはいけません。
名古屋市(および委託先)の指導は、予定された2.5時間〜3時間の通り正確に終了するケースが目立ちます。
実際のお客様の声:「以前より時間が短くなったが、その分、事前提出の書類を完璧に読み込んでいて、当日は無駄なくヒアリング、指導を受けた。」
名古屋市の指導では、「勤務形態一覧表」と「介護記録(テレッサ等)」、「給与明細・出勤簿」の3点セットの突合が厳格です。
指摘事例:管理者・サ責の兼務について、1分でもサービス提供時間が重なっている場合に「記録に不備がある」として指摘を受けたという相談事例があります。
これは他の自治体ではあまり見られませんが、名古屋市においては管理者としての時間が管理者の稼働時間の5割を超えた場合に「管理業務ができていない」と指摘された相談事例があります。
「介護サービス情報公表システム」の内容と、事業所内の掲示物の一致について確認が行われます。多くの自治体では運営規程・重要事項説明書の実施地域や営業時間等の不一致の確認が行われますが、名古屋市においては情報公表についても確認が行われますので、情報公表についても確認を行いましょう。
名古屋市における特定事業所加算のチェックは、「書類の有無」ではありません。
指示・報告の個別性:指示内容が「いつも通り」「体調に注意」といった定型文ばかりである場合、「個別性が認められない」として加算の全額返還を求める姿勢を強めています。
運用方法の確認:特定事業所加算においては、介護ソフトの画面を直接提示し、リアルタイムでの指示・報告状況やデータの整合性を確認されるケースが増えています。特に、ICTを活用して適切に管理されていることが確認できた場合はスムーズに指導が進む一方、入力タイミングについても確認が入る傾向があります。
国の基準では6年に1回の運営指導が定められている一方、名古屋市においては3年に1回程度の運営指導が行われる傾向があります。これは、私たち介護事業所に対し、間違いがあれば早期に是正し、適正な運営を早期に目指すという名古屋市の強い意志であると捉えることができます。
税金で賄われる事業である以上、定められたルールは当たり前に守っていくことが求められますし、私たちも更新される法令をしっかりと学び続ける姿勢が求められます。
一方で、日々利用者の求めに対応している中で、当たり前のことを当たり前にこなしていくことがどれだけ大変な事か・・・そのような中で、私たちが工夫できる具体的な取り組み例は次のようなことです。
介護ソフトは日々変化しています。これまで請求を行うだけのものでしたが、法令を守るための機能が搭載しているものもあります。介護ソフト会社のカスタマーセンターの方が法令に詳しいかどうか、相談に乗ってもらえるかどうか、この視点もこれからは選択の1つです。
サービス提供責任者の皆さん、管理者の皆さんは、数時間でもまとまって事務作業を行える時間を確保しましょう。
例えば事務作業が得意な方と、現場の得意な方と役割を分けても良いかもしれません。
作成が義務付けられている書類は、遅延なくその場その場で終えることが何より大切です。
よく相談を受けることの1つに「変化のない、寝たきりの人の報告に書くことが無い」ということがあります。
こういった場合は、「変化がない」と感じた理由を残すことをお勧めします。
例えば、「いつも通りベッドに横になられ、バイタルも安定していた」から変化が無いと思った。
「いつも通りの尿量、色であり、呼吸数にも変化がなかった」から安定していると思った。
「いつも通りの食事摂取量で、特にむせもなく、食後も何事もなかった」から安定していると思った。
このように、変化がないと感じた理由を残すことを意識すると、少し報告が楽になります。
ぜひ考えて試してみてくださいね。
私たちは書類のために業務を行っているわけではありません。目の前にいる利用者に安定して介護サービスを受けていただくため、少しでも利用者に安心して毎日を過ごしていただけるために日々業務を行っています。
一見、書類とこのことは別のように思えますが、万が一、大きな違反が起きていて、多額の返還や大きな指摘を受けた場合、目の前にいる利用者に安定して介護サービスを受けていただくことも、利用者に安心して毎日を過ごしていただくこともできなくなる可能性があります。
本当に大変なことですが、大切な利用者や職員のためにも、しっかりと法令を遵守していきましょう。
少しでも円滑に皆さんの業務が進むよう、微力ながらけあタスケルがお役に立てれば幸いです。