これまで実地指導と呼ばれていた行政が行う指導が、令和4年度から『運営指導』という名前に名称変更されました。
関連通知はこちらから 厚労省発介護保険最新情報:
Vol.1061介護保険施設等の指導監督について(通知)の送付について
Vol.1062介護保険施設等運営指導マニュアルについて(通知)の送付について
Vol.1231介護保険施設等の指導監督について(通知)」の一部改正について
Vol.1288介護保険施設等運営指導マニュアルについて(通知)」の一部改正について
このシリーズの記事では、全国の訪問介護における令和7年度の運営指導の実事例について自治体別にご紹介させて頂きます。
運営指導は令和4年度から開始されているもので、令和3年度までは『実地指導』と呼ばれていたものです。
厚生労働省:
運営指導マニュアル本文
別添 確認文書・確認項目一覧
今年度行われる指導の内容は以下2点の通りです。
介護報酬請求の内容、制度改正内容及び指導事例等に基づく指導内容について、年1回以上、一定の場所に集めて講習等の方法により行われる指導(令和4年よりオンライン・動画配信も可能)
大阪市の集団指導掲載先はこちらです:令和7年度 大阪市介護保険事業所集団指導について
運営指導は以下の内容について、居住系事業所は3年に1回、その他事業所は6年に1回以上の頻度で原則、実地にて行われます。
自己点検表をもとにヒアリング等の手法で各種基準が遵守されているか確認が入ります。各種基準を知っているか、また、遵守出来ていることが書面をもって確認できるかという事がポイントです。
令和6年度の介護報酬改定事項の進捗確認や、会議等の取り組みについて確認が入っています。
平成 17 年 11 月 1 日に国会において「高齢者に対する虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(以下、「高齢者虐待防止法」といいます。)が議員立法で可決、成立し、平成 18 年 4 月 1 日から施行されることになりました。
この法律では、直接的に高齢者の虐待を禁ずることはもちろん、介護従事者の私たちに発見した場合の市町村への通報義務を定めたり、通報を受けた市町村の対応等を定めています。
◆厚生労働省 参考資料掲載先:高齢者虐待防止法
同様の法律は、高齢者だけでなく障がい者にも定められています。
◆厚生労働省 参考資料掲載先:障害者虐待防止法
今回の介護報酬改定では、これら虐待に対する取り組みを今までより強化するため、介護事業所に対して運営基準に項目を追加することで更に防止に取り組む体制を作ることを定めています。
居宅介護支援事業所だけでなく、訪問介護においてもアセスメント⇒計画作成⇒モニタリング(評価)という流れが日付を追って確認できるかが確認されます。
事故・苦情の行政に報告すべき事案が報告されているか、またどんなに小さな事故でも記録を残しているかが確認されます。
事故・苦情だけでなく、ヒヤリハットや事例等をもとに訪問介護の提供の質向上について話し合いが開催される等、より良いサービスを提供していく取り組みが行われているかの確認が入ります。
加算については要件を満たしている事が書面をもって確認されているか、減算については行うべき減算があれば行われているか等、介護報酬算定が適切に行われているかの確認が入ります。
適切な運営が行われていること、適切な算定が出来ている事が書面で確認できるかの確認が入ります。
令和6年度の介護報酬改定にて義務化された事項の進捗状況について確認が入ります。
介護職員等処遇改善加算等の取得に向けた体制が整備されているか、また、算定要件を満たしているか、適切に加算を請求しているかを書面等で確認が入ります。
正当な理由なくサービスの提供を拒否していないか、特に身元保証人の有無等を理由とした不適切な取り扱いがないか、事業所の運営規程や対応状況について確認が入ります。
集合住宅等の入居者に対するサービス提供が、個別の必要性に基づいているか、不適切な囲い込みや画一的なサービス提供となっていないか、ケアプランや提供記録を中心に確認が入ります。
介護サービスの情報連携を効率化するためのケアプランデータ連携システムの導入状況や、利用促進に向けた取り組みについて、進捗状況の確認が入ります。
『通院介助を⾏った場合のサービス提供記録の記載内容が不⼗分』
通院介助を⾏った場合のサービス提供記録の作成にあたっては、通院介助としての全体のサービス提供時間を記載するとともに、診察や処置時間、単なる待ち時間(公共交通機関等による移動時間を含む)等、訪問介護サービスとして認められない時間を
明記し、介護報酬の算定の根拠時間を明確にしなければいけないとされています。
『管理者が従業者及び業務の管理を⾏えていない。』
『サービス提供責任者が訪問介護員の業務の実施状況を把握していない。』
サービス提供責任者は、作成した訪問介護計画に基づき、訪問介護員が適正にサービスを提供しているかを把握しなければならず、管理者についても同様に、訪問介護員の業務実施状況を把握しなければいけません。
『併設事業所・施設と兼務している職員の訪問介護で働いた時間とその他の時間が明確に分かれていない』
訪問介護のみで常勤換算2.5以上の確保が必要であり、これを満たした根拠として出勤簿等の確認が入りますが、この確認が出来ないといけません。
『感染症や非常災害の発⽣時に業務継続、早期で業務再開を図るための計画が作成されていなかった。』
業務継続計画について必要な研修及び訓練が実施されていなかったため実施することと言った指導が増えています。
訪問介護においては令和6年まで努力義務とされていますが、進捗状況について確認がある様子です。
『感染症の予防及び蔓延の防止のための対策を検討する委員会について、概ね6月に1回以上開催されていなかった。』
『感染症の予防及び蔓延の防止のための指針が作成されていなかった。』
感染症の予防及びまん延の防止のためにおおむね6ヶ月に1回以上の対策検討委員会の開催、指針の整備、定期的な研修及び訓練の開催が求められます。
『原則として、重要事項をウェブサイトに掲載しなければならない。』
※令和7年4月1日より適用。
重要事項を当該事業者のウェブサイトに掲載することが規定されており、ウェブサイトとは法人のホームページ等又は介護サービス情報公表システムのことを指します。
※介護保険法施行規則第140条の44号に掲げる基準に該当する事業所(居宅介護サービス費等のサービスの対価として支払いを受けた金額が一年間において百万円以下である場合)については、介護サービス情報制度における報告義務の対象ではないことから、ウェブサイトへの掲載については行うことが望ましいです。
『通院介助サービスにおいて、自宅から病院間の介助に要した時間と訪問介護として認められない時間が不明確であった。』
『通院介助のサービス提供において、院内介助を行う上での必要な手続き(受診先の医療機関に対して、担当の介護支援専門員による院内介助の必要性についての確認、サービス担当者会議での検討、居宅サービス計画及び訪問介護計画への位置付け)を行わずに、院内介助の時間を含め介護報酬の請求を行っていた。』
『院内介助を含めて通院介助のサービスを提供している事例について、診療や処置時間、単なる待ち時間等、訪問介護のサービスとして認められない時間を含めて介護報酬を請求していた。』
通院介助サービスにおいては、自宅から病院間の介助に要した時間と、訪問介護として認められない時間を明確にするとともに、院内介助を算定する場合は以下の措置を講じる必要があります。
1.院内介助が必要な状態であることを確認する。
2.院内介助が必要な状態である場合、受診先の医療機関に院内介助の体制があるか否かを確認する。
3.1,2の状況をもって、サービス担当者会議で検討した結果、利用者の状態等から院内での介助が必要であることの判断がなされた場合、サービス担当者会議の記録にその旨を明記すること。
『訪問介護員等ごと及びサービス提供責任者ごとに研修計画が作成されていなかった。』
『全ての訪問介護員等に対し、健康診断等が行われていなかった。』
特定事業所加算を算定している事業所においては、報酬区分ごとの人材要件及び重度者体制要件、体制要件を全て満たし続ける必要があります。また、令和6年度介護報酬改定において特定事業所加算の一部要件に変更があったため、今一度算定要件の確認をおすすめします。
『ハラスメント対策を講じていない』
令和6年度の介護報酬改定により、職場において⾏われるハラスメントにより従業者の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じることとされています。
・職場において⾏われる性的な⾔動⼜は優越的な関係を背景とした⾔動であって業務上必要かつ相当な範
囲を超えたものにより従業者の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置
を講じること。
・事業主講ずべき措置の具体的内容
a 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
b 相談(苦情を含む)に応じ適切に対応するために必要な体制の整備
・事業主が講じることが望ましい取組について
① 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 ② 被害者への配慮のための取組
③ 被害防止のための取組
【参考】厚⽣労働省のページ(介護現場におけるハラスメント対策):介護現場におけるハラスメント対策
通知には多くの場合3時間で実施される旨の案内が有る様子ですが、併設事業所、併設事業は同日に実施されていることが多いです。
また、委託業者と市の指導では、時間が異なっている事にも注意が必要です。
令和6年度の改定事項に対する進捗確認が多く、運営体制の確認や、法令に関する指導周知を目的としている印象です。
また、介護報酬算定部分に疑義があれば詳細の確認が入り、従来通り算定誤りであれば返還を求められる指導が入ることには変わり有りませんので注意が必要です。
【運営状況点検書を元にヒアリングが入る】
年1回実施が定められている点検表をもとに、(書式は自治体任意)守れているか、その根拠を示す書類が有るかの提示が求められています。
多くは従来通り、あらかじめ印刷準備した書類を確認されていますが、2割程度にパソコン上での確認が入っている状態で、今後はパソコン上での確認が増えていく見込みです。
本日は全国運営指導情報の内、大阪市についてご紹介をさせて頂きました。
大阪市においては今年度委託業者を活用しながら運営指導の効率化を図っている様子です。
令和6年度の報酬改定事項の周知徹底や、適正な介護報酬算定等、事業所を運営するにあたって知らなければいけないことを丁寧に教えてくださる印象ですので、不明な点はしっかりと確認できるよう質問したいことがあれば積極的に聞くようにしましょう。