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『訪問介護の倒産件数が最多!』の状況で訪問介護事業所が行うべきこと

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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今回は、東京商工リサーチによる、2020年度上半期における『老人福祉・介護事業』の倒産状況を踏まえ、訪問介護事業者が実施しなければいけないことをご紹介いたします。

老人福祉・介護事業の倒産状況

2020年、介護事業の上半期の倒産は、58件と発表されました。

このうち、新型コロナウイルス関連の破たんは1件、ヘルパー不足が深刻な訪問介護事業者は前年並みの31件で、通所・短期入所介護事業は18件(前年度上半期は13件、38.4%増)と大幅に増加しました。

業種別1位は訪問介護

訪問介護は全業種の中で倒産が1番多く、倒産理由は
最多が販売不振(売上不振)の35件(前年同期比12.5%減、前年同期40件)。
次いで、「事業上の失敗」12件(前年比200%増、前年度上半期4件)。
「運転資金の欠乏」5件(前年比25.0%増、前年度上半期4件)
と続いています。

業歴が浅い・小規模事業者の倒産

設立別では、2015年以降設立の業歴5年未満が18件(構成比31.8%)と3割を超え、業歴の浅い事業者の倒産が目立っています。

従業員数別では、5人未満が35件で、全体の6割(構成比60.3%)を占め、小・零細企業が大半を占めている状況です。

前年比200%と急増した「事業上の失敗」は、無計画や未熟な運営を要因とした「放漫経営」の倒産が目立ったとされています。

訪問介護事業者が行うべきこと

訪問介護事業者が下半期に行うべきこととは、売上・収益を増加させることです。

●売上・収益を確認したい方はこちら:収益シュミレーションシート

2020年度は、新型コロナウイルスの世界的流行により、感染予防の環境が十分に出来ない状況や、学校の休校により、人材不足が倒産の大きな理由になっている訪問介護事業では、更なる人材不足に拍車をかけることとなりました。

安定的な事業運営がままならない現在の状況に、昨年は介護報酬改定が実施されましたが、『質の高い事業者を評価する(特定事業所加算を取得している事業者には加算した報酬を支払う)』という方針は変わっていません。

このことから、特定処遇改善加算Ⅰの取得要件でもある『特定事業所加算』の取得は、どの事業所も行わなければいけない具体的な戦略といえます。

特定事業所加算を取得する際の注意点

特定事業所加算は、取得が容易で収益が見込める分、運用が困難です。

自治体が行う実地指導においても、特定事業所加算の要件を十分に理解した管理体制が無いことから、多額の返金へとつながるケースが後を絶ちません。

このことから、『自社で管理体制を整える』と、特定事業所加算専用の事務員等を雇用されている事業者も有るようですが、人件費がかかる分、収益は減ることとなります。

また、省令に定める特定事業所加算の要件や、実地指導での指摘事項等の情報は知識として豊富に備えておかなければ、実地指導での返金に繋がってしまいます。

まとめ

訪問介護事業者様の中には、

『ご利用者の負担になる特定事業所加算は取得できない』
『キャンセル料はご利用者から頂けない』等
ご利用者の負担をとても気になさる方がいらっしゃいます。

一方この様なご相談の中で
『ヘルパーの給料は他社より多く支払わなければ辞めてしまう』
『ご利用者はキャンセルしたけど、ヘルパーの給料は支払わなければいけない』
と頭を抱えてみえるケースがとても多いのです。

特定事業所加算は、訪問介護事業所において取得率が4割を超え、令和元年10月に開始した特定処遇改善加算の取得率はすでに6割弱にものぼっています。

これでは、両加算の取得を行っていない事業者は戦うことが出来ないのは必然な状況です。

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