この記事では、 介護事業所の廃業を考えたときについてご紹介をします。
同じような意味合いで使用される言葉ですが、経営者が自らの意思で事業所を畳むことを『廃業』といい、事業を継続したいが資金不足または債務超過で継続不可能となった状態を『倒産』といいます。
介護事業の廃業を考えた時の手段は主に以下4点です。
1:親族内承継
2:内部承継
3:外部承継
4:廃業
親族や内部に承継できれば1番良いと捉えることができますが、実際は『ご利用者を近隣の他事業所に振り、廃業を行う』ことが多いのが介護業界の特徴です。
介護は専門職であり、親族が居るからと簡単に引き継げるものではありませんし、一緒に働いている従業員に事業を任せるためには、ある程度明るい見通しがなければ渡せません。人手不足で苦労しているのを身近で見てきた親族は引き継ぎたくない。といった事例も増えてきています。
また、いざ外部承継(M&A)を考えたときには『人が辞めることになって採算が取れなくなった』『経営者が体調を壊し、廃業せざるをえなくなった』等、ギリギリの経営を続けている中で不測の事態が起こり、本来承継できる事業であるにも関わらず、『廃業』を選ぶことになってしまったという事例が後を絶ちません。
廃業を決めた時点で、会社の財産を債権者に支払う作業を清算といいます。
清算ができる場合は、債権者に迷惑をかけることはありません。しかし清算できない場合、中小企業では経営者が金融機関からの借り入れの保証人になっているケースがほとんどのため経営者が個人の資産を取り崩して対応することが多くなっています。
解散や清算には、登記に数万円程度の費用がかかります。場合によっては、仕業の方への報酬や事務所の原状回復費などが発生すれば、経済的負担も大きくなってしまいます。
承継の場合には、廃業と比べて手続きが簡易的で済むケースが多く、営業権に価値がつき売却できることも多くなります。この営業権の価値により赤字で通常は倒産を余儀なくされるような事業所でも承継が叶うケースあります。
コロナ禍も相まって介護の業界の倒産件数も最多を更新しており、出口戦略としての事業承継を考えなくてはならなくなってきています。
廃業・事業承継を考えるにあたっては経営者にとってはもちろん、ご利用者や従業員、取引先や地域にとってのよりよいカタチとなるように長期的に計画立てて検討していくことが重要となってきます。