この記事では、令和3年 1月15日に厚生労働省老健局より周知徹底するよう通知があった、介護保険情報Vol912についてご紹介していきます。
この通知は、訪問介護の事業者が遵守すべき法令を改めて整理し、その徹底を図る様な内容でした。
例えば、利用者宅で実際にサービスを提供している間のみを労働時間とみなす運用などは認めないとし、「訪問介護の移動時間は原則として労働時間に該当する」と明記しています。
厚労省は通知で、ホームヘルパーらが事務所から利用者宅へ移動する時間、利用者宅から次の利用者宅へ移動する時間なども労働時間に該当すると説明し、待機時間についても、事業者が求めて本人の自由をある程度制約している状況であれば労働時間にあたるとし、「これらを適正に把握、管理して賃金を支払う必要がある」との解釈を示しています。
◆介護保険最新情報 vol912訪問介護労働者の移動時間等の取扱いについて
また、利用者からのキャンセルや時間変更などでヘルパーを休ませるケースにも言及しており、「他の利用者宅での勤務の可能性などを十分に検討し、最善の努力を尽くしたと認められない場合には、休業手当の支払いが必要になる」と指摘しています。
厚労省はこれまでも同じ趣旨の通知を出してきた経緯があり、今回は改めての周知となります。
◆厚生労働省資料 介護労働者の労働条件の確保・改善のポイント
目次
2004年8月27日に厚生労働省労働基準局長が、介護保険で働くホームヘルパーは労働者であり、労働基準法を適用するようにとの通達を出しています。したがって、雇用に当たっては労働基準法やパート労働法に基づいて雇用契約を結ばなければなりません。
2001年4月の厚生労働省の通達で、移動時間、記録時間を労働時間として見るよう通達が出ています。また、事業所の指揮命令下にあるときは、労働時間として見なければなりません。
10名以上雇用している事業所は就業規則の作成が義務付けられています。したがって、事業所は、登録ヘルパーに関する就業規則を作成しなければなりません。
2005年8月27日の厚生労働省基準局通達では「労働日及びその勤務時間帯が、月ごと等の勤務表により訪問介護労働者に示され、特定された後に、利用者のキャンセルが入り、休業させなければならなくなったときには、休業手当としてその平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」とされています。厚生労働省の外郭団体である介護労働安定センターでも、キャンセル時の賃金補償について、休業補償として60%保障すべきとの考え方を示しています
お取引のある事業所の皆様で『介護の実地指導が有ったけど、労働基準法のことは言われなかった』『障がいの実地指導では移動時間に賃金を払っていない事について指摘をうけていない』等の『実地指導が入ったけど指摘を受けなかったから大丈夫』という言葉をよく聞きます。
これは、大変危険な考え方です。
訪問介護員をはじめとする職員の労働や賃金において、指導権限を持っているのは介護や障がいの実地指導職員ではありません。介護や障がいの実地指導では違法な状態を知っても、その場で是正させる権限がないのです。
介護や障がいの省令で定めている運営基準でのルールは『労働保険法に則って運営する事』ということです。
労働環境や賃金について直接指導する権限は有りませんが、例えば労働基準法に違反した運営をしていた・労働基準法を違反して処分を受けたと言うことが分かれば、『介護も障がいも運営基準違反』ということになります。
訪問介護事業の介護報酬改定に向けた体制構築のポイントは、『いかに現場の負担を減らすか』『どれだけ効率化が図れるか』です。
【令和3年 介護報酬改定のポイント】
- 人材不足に対し、特定事業所加算の算定を行うことを条件として賃金を上げる。
- 事業運営を効率的に行うために取得すべき加算の運用には、サービス提供責任者の業務効率化が欠かせない。
- 生産性の向上は、IT導入ありき!介護業界全事業にとってもキーワード。