この記事では、通所介護や訪問介護の事業所においてM&Aが進むワケについてご紹介をします。
なぜ今、介護業界、強いては通所介護や訪問介護でM&A が増加しているのでしょうか。
以前より、介護業界では深刻な人材不足、報酬改定における収益性の悪化、市場拡大に伴う競争激化の影響で、『大手中堅事業者の新設や買収の増加』、反対に『中小零細事業者の休廃業や売却の増加』、の二極化が進んでいるとは言われて続けていました。
近年においてはコロナ禍の影響もあって拍車がかかりこの二極化の流れがさらに加速していっています。
介護業界にてM&A が増加している理由は、これまで地域の中小零細企業によって支えられてきていましたが、この二極化を理由に他の業界と同様に大手企業による寡占化が進んでいるためです。
商品やサービスにかかわる市場おいて少数の大手売り手に支配された状態のことを指します。市場の売上が上位数社で占められるようになることです。宅配便と言えばこの3社、携帯のキャリアと言えばこの3社などイメージできるかと思いますがこのような状態を指します。
ここ数年様々な業界において大手企業による寡占化が進んでいます。
〇コストの共有化
〇人材採用の共有化
などのメリットが見出せ、利益を確保できる体制を整えるためです。
一般的にこの寡占化が進むと、中小企業に対しては次のようなデメリットがあるとされています。
〇人口に対して売手が増え、売上が下がる。
〇価格競争についていけず顧客が流れる。
では介護業界でこの寡占化が進むとどうなるのでしょうか。
価格競争が起こりづらい業界ではあるため、影響がないかというとそうではありません。まず大きなリスクとして人手の確保がさらに難しくなることが考えられます。
現在ですら求人を出しても人が来ないということはどこの事業所でも聞こえてくる話です。有効求人倍率は3.9倍とされ、3社~4社で一人の人材を取り合っているような状況です。通所介護や訪問介護の事業所において人材確保に課題がない事業所は非常に少ないのではないでしょうか。
人材不足や採用難、コロナによる経営疲れなど様々な理由により売却を検討する事業所も増加している一方で、M&Aを人材確保の手段としての見方をする事業所も出てきています。過去に自社で勤務していたスタッフが近隣の事業所で働いているような話を聞くことも多い業界ですので、コストを抑えられる事業所は給与を上げることが可能になるため、給与格差などにより一層人材確保は難しくなることが予想されます。
今後介護事業を継続していくためには大手企業が起こす寡占化の中で生き抜く方法を考えなくてはなりません。
経営資源(人材)を効率的に活用していくためにも中小零細企業であっても経営や人材確保の手段としてのM&Aを身近にとらえなくてはならなくなっています。他の業界の寡占化を元に考えると介護業界においても取るべき行動や備えが見えてきます。
まずは自社の事業の価値について知り、取るべき加算の理解や収益化について考える事から取り掛かることをおすすめします。