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介護サービス事業所に対する指導・監査結果の状況

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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本記事では、2021年3月9日に厚生労働省から発表された介護事業所の指定取り消しや処分についてご紹介いたします。

厚生介護事業所の指定取消・停止処分

厚生労働省が9日、何らかの問題で自治体から指定の取り消し・効力停止の処分を受けた介護サービス事業所が、2019年度の1年間で153件だったと発表しました。

件数は前年度から横ばいで推移し、介護保険制度開始からの累計は2748件にのぼっています。

今回、処分を受けた事業所の68.6%は営利法人で、社会福祉法人は14.4%、医療法人が9.8%となっています。

また、処分理由は『不正請求』によるものが過去最多であったとしており、介護事業所を運営するにあたっては、今後より一層適切な運営をしていくことが求められている事が分かる結果となっています。

◆指定取り消しの主な理由

介護報酬の不正請求:57.7%

虚偽報告:30.8%

法令違反:16.7%

運営基準違反:15.4%

厚生労働省は全国の自治体に対して、「不正が確認された場合には厳正な対応をお願いしたい」と改めて要請し、「不正請求や基準違反、虐待などは制度全体の信頼の失墜につながる」としており、今まで以上に介護保険のルール遵守が求められている状況です。

厚生労働省発:介護サービス事業所に対する監査結果の状況及び介護サービス事業者の業務管理体制の整備に関する届出・確認検査の状況

 

不正請求とは

不正請求と聞くと、『無いものを有るとして請求した』『水増しして請求した』等、悪意があるという印象を抱く方が多く、処分されて当然なものと思われがちです。

実際の実地指導では『確認が不十分だった』というものに対しても返還が求められ、必ずしも『悪意があった』ということをもって返還という処分を求められるわけではありません。

以下は弊社で取引のある事業所で実際に起きた、実地指導で返還を求められたものの例です。

【返還を求められた具体例】

・架空のサービス実施記録を作成した

・実際に提供した時間や項目ではなく、予定として計画されている時間で請求した

(実態と異なる)

・実際に提供しているものの、記録が無い状態で請求をあげた

・加算の要件を誤認識しており、すべて満たしていなかった

返還の原因が、実際に無いサービスを『提供した』として請求することや、水増しをして請求することは誰から見ても悪いことで、返還を求められて当然であると言えます。

ここで介護事業所の皆さんが注意すべき点は、返還の原因が『知らずに違反をしていた』『出来ていると思っていた』という理由である場合です。

介護事業所を運営するには法律を知り・守る運営をしていかなければいけません。

決められたルールに沿って運営が出来ていない場合は、『知らなかった』『確認不足だった』『出来ていると思っていた』という理由で『お金を返さなくてもいいですよ』という結果にはなりません。

また、1度や2度、たまたま確認を怠ってしまった程度のミスであれば、即座に『不正請求』と思われることはありませんが、1度や2度のミスが数年続いているという状態であれば、『不正請求』と捉えられても仕方がない状態になってしまいます。

ここが、介護事業所を運営する皆さんが注意しなければいけないポイントです。

 

さいごに

本記事では、2021年3月9日に厚生労働省から発表された、介護サービス事業所に対する指導・監査結果の状況についての注意点をご紹介しました。

今回の発表は、日々大変な思いをしながら介護を実施する介護従事者の方々が、『知らなかった』『実際は実施していたのに記録が不十分だった』等といった間違いで返還を求められる事のない様、我々も専門的な知識をつけていこうと思う発表でした。

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