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介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成について

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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本記事では、介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成についてご紹介していきます。

介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)とは

介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)とは

業務継続計画(BCP)とは、大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、重要な事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い時間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画のことを言います。

介護サービスは、ご利用者やご家族の生活を支える上で欠かせないものです。

新型コロナウイルスの終息が見えない中、地震や水害などの大規模災害の発生、介護事業者においては、それらのことが起こった際に適切な対応を行い、その後も利用者に必要なサービスを継続的に提供できる体制を構築することが必要です。

介護サービスは中断させず、やむを得ず中断せざる得ない状況になった場合は速やかに復旧できるような計画をあらかじめ定めておくこと、これが業務継続計画(BCP)です。

介護サービス提供に必要な資源としては、職員、建物・設備、そしてライフライン(電気・ガス・水道)があることにも注意しなければいけません。

業務継続計画における自然災害と感染症の違い

自然災害が発生したときは、まず避難誘導・安否確認などの災害時業務に対応します。インフラが停止するなどの状況により、通常の業務対応は減らさざるを得ませんが、時間の経過とともに、優先度の高い業務から回復させることになります。

一方で感染者への対応、そして感染防止対策を講じるなどの業務量が増えます。

職員自身が感染する、あるいは濃厚接触者となるなど職員不足の状況により、対応可能な業務量が減ることも想定されます。優先的に継続する業務に絞り込みつつ、介護サービスを継続させます。

 

介護サービスに必要な資源の確保

運営基準

介護サービスに必要な資源の確保

防災では、介護サービスを提供するために必要な資源を予め守ることが重要です。
守るべき資源には、職員、建物・設備、そしてライフライン(電気・ガス・水道)がありますが、守り方は、災害の種類によって異なります。

◆ 地震から守るために
①建物の耐震診断と耐震補強工事を行っておく
②居室の家具・事務室のキャビネットなどの転倒防止策を講じておく
③キャスターがついたものはロックしておく
④初期消火の訓練を実施する

◆ 水害から守るために
①自施設の浸水可能性を知っておく(ハザードマップを確認しておく)
②事前に出来る事をしておく(側溝・排水溝の点検、止水板や土のうの準備、ガラス窓の補強 など)
③避難経路の確認、確保を行っておく

◆ 感染症から守る
①平常時から感染予防マニュアルを徹底する(「3密」の回避(人との距離をとる)、マスクの着用と手洗い・手指消毒、適切な換気)
②体調が悪いときは出勤しない

運営基準

 

業務が中断した場合にすること

業務が中断した場合は、足りない資源を如何に補うかがポイントになります。
介護サービス提供に必要な資源が欠けた原因にかかわらず、その結果をどう処理するか、補うかが重要
で、例えば、電力供給が途絶えた場合は自家発電装置を使う、職員が不足した場合は応援送ってもらう、という代替策を講じることが必要になります。

職員が足りない場合の策

職員が足りないときは重要業務に集中することになります。

重要業務とは、介護サービスの中核部分で、平常時と同様に継続するべきことを指します。例えば、食事、排泄、服薬、医療的ケア、清拭等を指します。一方で、規模や頻度を減らすことを検討する事も必要で、例えば入浴、リハビリ等実施頻度や規模を変えることが可能な業務を指します。

さいごに

新型コロナウイルスの第5波を受け、ご利用者や職員の感染も聞かれるようになって来ました。

また、感染はせずとも『濃厚接触者』と認定され自宅待機を長期間余儀なくされるケースも増えて来ており、訪問する職員がいないという状況も出て来ています。

売上の確保以前に『職員の確保』が課題になってきている中で、速やかに業務を継続できる状態にするため、業務持続計画(BCP)の策定が必要です。