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運営基準

訪問介護事業所が知らないといけない『運営基準』とは~基準第29条から39条~

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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本日は厚生省令にて定められている『運営基準』についての第2弾、第29条から39条までをご紹介して参ります!

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準とは

運営基準とは、厚生労働省が定めた『指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準』の1部を指します。

◆指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年三月三十一日)(厚生省令第三十七号)

全15章有り、訪問介護、訪問入浴、訪問看護、訪問リハ、居宅療養管理指導、通所介護、通所リハ、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与、販売について事業を運営するためのルールが書かれています。

居宅介護支援は、平成30年4月から、居宅介護支援事業所の指定権限が都道府県から所在地市町村へ移譲されたため、各市町村で運用のためのルールが定められています。

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準に定められたルールを守らず事業を運用すれば『基準違反』として行政処分を受ける事もあります。

『人員、設備、運営』の大きく3つの柱で構成されていますが、運営基準が1番ボリュームが多く、1番違反の多い項目ですので『運営基準』という言葉を耳にする機会が多いかと思います。

省令のため、記載されている文章はなじみのない表現が使われていたり、細かい部分が分からず認識を間違えてしまうという事も多々発生します。

ここでは、そんな間違いの無いよう運営基準を読み解き解説をしてまいります。

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準の構成 人員基準

第二章 第四節 運営に関する基準(第八条―第三十九条)

第八条から第三十九条までで構成され、運営規定に盛り込むべき内容から管理者、サービス提供責任者の責務、訪問介護事業所として行わなければいけない業務が定められています。

運営基準違反は重大な違反行為であり、違反すれば『指定取り消し』等の重大な処分が下ることもあります。

『知らなかった』『認識を間違えていた』という理由ではその処分を免れることはできません。

介護事業を運営する経営者はもちろん、管理者、サービス提供責任者の方はしっかりと頭に入れて運営しましょう。

チェック

第29条(運営規程)

運営規程には、次に掲げる事業の運営についての重要事項に関する規程を定めなければなりません。
①事業の目的、運営の方針、事業所名称、事業所所在地
②従業者の職種、員数及び職務の内容
③営業日及び営業時間、サービス提供日及びサービス提供時間
④訪問介護サービスの内容及び利用料その他の費用の額
⑤通常の事業の実施地域
⑥緊急時等における対応方法
⑦その他運営に関する重要事項(「事故発生時の対応」「秘密保持」「苦情・相談体制」「従業者の研修」等)

運営規程を変更せず、重要事項説明書だけを変更している事業所が多く見られます。事業所の運営に関する事項は、運営規程が基になり、重要事項説明書はそのうち主なものを記載するものです。

運営規定や重要事項説明書の内容に変更が有った場合は、運営規定変更として自治体へ変更届を提出する義務がありますので注意しましょう。

第29-2条(介護等の総合的な提供)

入浴、排せつ、食事等の介護又は調理、洗濯、掃除等の家事を常に総合的に提供するものとし、介護等のうち特定の援助に偏ってはなりません。

家事援助は単価が低いため身体介護しか受けない等の行為は重大な運営基準違反です。

第30条(勤務体制の確保等)

利用者に対して、適切な訪問介護サービスを提供できるよう、事業所ごとに従業員の勤務の体制を定め、勤務形態一覧等に記録しておかなければならす、利用者への支援は当該事業所の従業員によって訪問介護サ-ビスを提供しなければなりません。(業務委託等は行えない)

また訪問介護事業者は、従業者の資質の向上のために、研修の機会を確保しなければなりません

第30-2条(業務継続計画の策定等)

令和3年度に追加された条文で、災害などの緊急事態に際し、損害を最小限に抑え、事業の継続や早期復旧を図ることは非常に重要です。そのためには事前に事業継続のためのBCP(事業継続計画)を策定しておく必要があります。

また、訪問介護員等に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施しなければいけません。

第31条(衛生管理等)

訪問介護員等の清潔の保持及び健康状態について、必要な管理を行う必要があります。

具体的な衛生管理例は以下の通りです。

①訪問介護員に対し健康診断等を実施し、健康状態について把握する

②事業所の責務として、訪問介護員が感染源となることを予防し、また、感染の危険から守るため、使い捨ての手袋や携帯用手指消毒液などを持参させる。(事業者負担により用意してください。)

③担当する利用者の健康状態等を訪問介護員が把握するようにする。(アセスメントの内容の把握等)

④衛生マニュアル、健康マニュアルを作成し、訪問介護員に周知する。(定期的な研修の実施)

また、令和3年度より以下3点が追加になっています。

①感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。)をおおむね六月に一回以上開催するとともに、その結果について、訪問介護員等に周知徹底を図ること。

②感染症の予防及びまん延の防止のための指針を整備すること。

③当該指定訪問介護事業所において、訪問介護員等に対し、感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練を定期的に実施すること。

第32条(掲示)

事業所の利用者が見やすい場所に、運営規程の概要、従業者の勤務の体制、利用料その他のサービスの選択に資すると認められる重要事項(苦情処理の概要等)を掲示しなければなりません。

第33条(秘密保持等)

従業者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らしてはなりません。また、過去に従業者であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、誓約書等必要な措置を講じなければなりません。

サービス担当者会議等において、居宅介護支援事業者や他のサービス事業者に対して利用者に関する情報を提供することが想定されます。このことについて、あらかじめ、利用者に説明を行い、文書により利用者から同意を得ておかなければなりません。

第34条(広告)

指定訪問介護事業所事業所について広告をする場合においては、その内容が虚偽又は誇大なものとなってはいけません。

第35条(居宅介護支援事業者に対する利益供与の禁止)

居宅介護支援事業者・介護予防支援事業者による居宅サービス事業者等の紹介が公正中立に行われるよう、居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、利用者に対して特定の事業者を利用させることの対償として、金品その他の財産上の利益を供与することは禁じられています。

また、利用者に必要のないサービスを位置付けるよう求めることその他の不当な働きかけを行ってはいけません。

第36条(苦情処理)

提供した訪問介護サービスに関する利用者及びその家族からの苦情に、迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければなりません。

「必要な措置」とは、苦情を受け付けるための窓口を設置することのほか、相談窓口、苦情処理の体制及び手順等、当該事業所における苦情を処理するために講ずる措置の概要について明らかにし、これを利用者又はその家族にサービスの内容を説明する文書(重要事項説明書等)に記載するとともに、事業所に掲示すること等です。

第36-2条(地域との連携等)

提供した訪問介護サービスに対する利用者又はその家族からの苦情に関しては、市町村が派遣する介護相談員等による相談や援助に協力するよう努めなければなりません。

第37条(事故発生時の対応)

市町村、家族、居宅介護支援事業者へ連絡を行い、必要な措置を講じなければなりません。
また、事故の状況及び事故に際して採った処置について記録する必要があり、サービスの提供により賠償すべき事故が発生した場合には、速やかに損害を賠償しなければなりません。

第37条-2(虐待の防止)

令和3年度より追加になった条文で、虐待の発生又はその再発を防止するため、次に掲げる措置を講じなければならないとされています。

①当該指定訪問介護事業所における虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を定期的に開催するとともに、その結果について、訪問介護員等に周知徹底を図ること。

②当該指定訪問介護事業所における虐待の防止のための指針を整備すること。

③当該指定訪問介護事業所において、訪問介護員等に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること。

④前三号に掲げる措置を適切に実施するための担当者を置くこと

第38条(会計の区分)

訪問介護サービスの事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければなりません。

障がいのサービスや居宅介護支援等と併設している場合も、人件費を含めしっかりと区別しましょう。

第39条(記録の整備)

従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録を整備し、そのうち、次に掲げる記録はその完結の日から2年間保存しなければなりません。

厚生省令では2年間と定めていますが、自治体の条例では5年間と定めている場合はほとんどです。

この場合は条例に従い、5年間の保管義務が発生します。


① 従業者の勤務の体制についての記録
② 居宅介護サービス費の請求に関して国民健康保険団体連合会に提出したものの写し
③訪問介護計画書、訪問介護相当サービス・支援計画書
④ 提供した個々のサービスの内容等の記録
⑤ 市町村への通知(利用者が正当な理由なしに指定訪問介護・指定訪問介護相当サービスの利用に関する指示に従わないことにより、要介護状態・要支援状態の程度を増進させたと認められるとき、又は、利用者が偽りその他の不正の行為によって保険給付を受け、又は受けようとしたときに、事業者が市町村に行う通知)に係る記録
⑥ 提供した訪問介護サービスに関する利用者及びその家族からの苦情の内容等の記録
⑦ 提供した訪問介護サービスに関する事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録

まとめ

本日は、訪問介護事業を運営するにあたって必要不可欠な『指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準』の内、『運営基準』と呼ばれる第四節 運営に関する基準(第八条―第三十九条)について第29条から39条までご紹介して参りました!

細々とルールが設定されていますが、違反すれば重大な処分が待っています。

実地指導等の際に第3者が見て『しっかりと業務を行っていた』という事が分かる様、記録の整備をしていきましょう。

お役立ち資料:運営指導対策にお悩みの方に

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