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特定処遇改善加算がもらえない人はどんな人?配分ルールは?

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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キャリアのある介護職員の処遇改善を図る制度が「特定処遇改善加算」です。

特定処遇改善加算が適用されれば、経験や技能のある介護職員の給料が増え、介護職員のモチベーションの維持や人材の確保、離職率の軽減につながります。

特定処遇改善加算は介護職員全てに無条件で適用されるわけではありません。

今回の記事では、特定処遇改善加算の対象者、配分のルール等について解説します。

特定処遇改善加算とは

特定処遇改善加算はキャリアのある介護職員の給料を増やして離職を防ぎ、人材の確保を図るために設けられた制度です。

経験・技能を有する介護職員が、月額8万円以上の賃金増または年収440万円以上となる賃金増にする等、具体的な賃上げ額が定められています。

ただし、本制度を活用しどれくらい職員の給料を増やすかは、事業所が職場環境を良好にするためどのような努力をしているかや、介護サービスの内容によっても加算割合は変わってきます。

特定処遇改善についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

特定処遇改善加算とは?算定要件や配分ルールなどについて徹底解説!

特定処遇改善加算の対象者

対象となる介護職員の経験・技能の条件は、次のように定義されています。

  • 経験:原則として勤続年数10年以上、ただし10年より短いケースでも認められ、他の事業所での経験をカウントすることが可能
  • 技能:介護福祉士資格(必須)

なお、事業所内に経験・技能を有する介護職員がいれば、介護職員全体またはその他の職員全体を賃上げ対象としても構わないなど、事業所に一定の裁量が与えられています。

特定処遇改善加算をもらえない人

経験・技能のある介護職員は勤続年数に厳しい制限がなく、勤続年数10年に満たなくても、事業所で業務内容・技能等を勘案し対象として構いません。

また、他の法人・事業所での経験を加えて通算することも可能です。

一方、いかに経験豊かな介護職員でも介護福祉士資格の保有は必須となります。

介護福祉士資格が未取得の介護職員は対象となりません。

ただし、同じ事業所に経験・技能のある介護職員がいれば、その他の介護職員も特定処遇改善加算の対象となります。

特定処遇改善加算の配分ルール

特定処遇改善加算は経験・技能のある介護職員だけに配分しても構いませんが、介護職員以外の職員にまで範囲を拡大できます。

対象となる職員の範囲と賃上げの額・配分方法をみてみましょう。

(1)賃上げを行う職員の範囲

事業所では下表の通り3種類の中から範囲を選定します。

職員の範囲

内容

範囲1

・経験・技能のある介護職員

範囲2

・経験・技能のある介護職員

・他の介護職員

範囲3

・経験・技能のある介護職員

・他の介護職員

・その他の職員

(2)賃上げの額と配分方法

賃上げの額は次の条件に則って配分する必要があります。

  • 経験・技能のある介護職員のうち1人以上(法人単位:事業所数以上)は月額8万円以上の賃金増か年収440万円以上になるような賃金増が必要
  • 経験・技能のある介護職員の平均賃金改善額が、他の介護職員の平均賃金改善額と比較して高い
  • 他の介護職員の平均賃金改善額が、その他の職員の平均賃金改善額の2倍以上
  • その他の職員の賃金改善後の年収が440万円を上回らない

特定処遇改善加算の配分ルールについては、こちらの記事でより詳しく解説しているので、是非参考にしてください。

介護職員等特定処遇改善加算の配分ルールについて徹底紹介!算定要件は?

特定処遇改善加算で給料はいくら上がるか

どのくらい給料が上がるかどうかは介護サービスの種類、事業所がどのように介護職員の処遇改善を図っているかで、加算率も変わってきます。

(1)特定処遇改善加算の算定要件

4つの条件が定められています。

条件

内容

条件1:介護福祉士の配置等要件

事業所ごとに適正な人員の介護福祉士が配置されている

条件2:現行加算要件

処遇改善加算I~IIIに該当している

条件3:職場環境等要件

実施した処遇改善をすべての職員に周知している

条件4:見える化要件

処遇改善に関する取組をホームページの掲載等で公表している

4つの条件すべてに当てはまれば「特定処遇改善加算I」、条件2〜4に当てはまれば「特定処遇改善加算II」の対象です。

(2)特定処遇改善加算の割合一覧

介護サービスの種類・特定処遇改善加算IまたはIIによって、加算割合は次のように決められています。

サービス区分

特定処遇改善加算I

特定処遇改善加算II

・訪問介護

・夜間対応型訪問介護 

・定期巡回、随時対応型訪問介護看護 

6.3%

4.2%

(介護予防)訪問入浴介護

2.1%

1.5%

・通所介護

・地域密着型通所介護

1.2%

1.0%

(介護予防)通所リハビリテーション

2.0%

1.7%

・(介護予防)特定施設入居者生活介護

・地域密着型特定施設入居者生活介護

1.8%

1.2%

(介護予防)認知症対応型通所介護

3.1%

2.4%

・(介護予防)小規模多機能型居宅介護

・看護小規模多機能型居宅介護

1.5%

1.2%

(介護予防)認知症対応型共同生活介護 

3.1%

2.3%

・介護福祉施設サービス

・地域密着型介護老人福祉施設

・(介護予防)短期入所生活介護 

2.7%

2.3%

・介護保健施設サービス 

・(介護予防)短期入所療養介護

※介護老人保健施設

2.1%

1.7%

・介護療養施設サービス 

・(介護予防) 短期入所療養介護

※介護老人保健施設以外の病院等

・介護医療院サービス 

・(介護予防)短期入所療養介護

※介護医療院

1.5%

1.1%

参考:厚生労働省

介護を必要とする方々の居宅に訪問する訪問介護、夜間対応型訪問介護等が最も高い割合で加算対象となります。

特定処遇改善加算と介護職員処遇改善加算の違い

介護職員処遇改善加算は、職場環境の改善等を行った事業所を対象に、介護職員の給料を増やすためのお金が支給される制度です。

特定処遇改善加算は基本的に経験・技能のある介護職員を対象としますが、本制度も介護職員全般を対象とします。

ただし、介護職員処遇改善加算と特定処遇改善加算は全く別々の制度というわけではありません。

介護職員処遇改善加算が適用される事業所を対象に、更に条件へ合致すれば特定処遇改善加算を上乗せするという仕組みがとられています。

特定処遇改善加算に関するQ&A

こちらでは特定処遇改善加算に関する様々な質問に回答しましょう。

特定処遇改善加算をわかりやすく教えてください!

特定処遇改善加算は、介護職員の給与を上げるために介護職員処遇改善加算があるけれど、ベテランの介護職員が辞めないように経験や技能がある介護職員にはもっと給与を上げよう、という制度です。

そのため、介護職員処遇改善加算に該当する事業所は、もっと職場環境を良くすれば、各都道府県や福祉事務所へ申請し、特定処遇改善加算を活用できます。

特定処遇改善加算をもらえない人は?パート・アルバイトでもらえる?

本制度を設定した厚生労働省で雇用形態は明示していません。

つまり、正規職員に限定されていないので、パート・アルバイトでも対象となる場合があります。

経験・技能のある介護職員であると認められるかどうかは、各事業所の裁量が大きいです。

気になる場合はお勤め先へ一度確認してみた方が良いでしょう。

特定処遇改善加算を看護師はもらえる?

残念ながら看護師は、経験・技能のある介護職員に該当しません。

しかし、事業所が賃上げする職員の範囲を他の介護職員に拡大した場合、介護福祉士の資格がない看護師も対象となります。

気になる場合は他の介護職員も賃上げの範囲へ含めているのか、お勤め先へ確認してみましょう。

まとめ

特定処遇改善加算は基本的にキャリアのある介護職員が対象となる制度です。

しかし、事業所は介護職員以外の職員も賃上げする範囲に含めて構いません。

事業主が良好な職場環境になるよう努力すれば本制度を活用し、優秀な介護職員の確保が図れるはずです。

お役立ち資料:特定処遇改善加算の取得を目指す方へ

介護事業所向けに、特定処遇改善加算の取得から運用までを詳しくまとめました。
特定処遇改善加算の取得を考えている方や、すでに取得しているものの運用に不安を感じる方は、ぜひご一読ください。
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