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重度訪問介護とは?~対象者は?料金は?従事するために必要な資格は?~

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

詳細プロフィール

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重度訪問介護は、常時の介護を必要とする、重度の肢体不自由者・知的障害者・精神障害者に対して、比較的長時間にわたり、必要となるサービスを総合的・継続的に提供します。(居宅における家事援助や身体介護、必要な外出に伴う移動中の介助を実施します。)

重度訪問介護とは

重度の肢体不自由者又は重度の知的障害、若しくは精神障害により行動上著しい困難を有する障害者であって、常時の介護を要するものにつき、居宅において身体介護・家事援助・相談支援等を行うとともに、外出時における移動中の介護を総合的に行います。

【居宅におけるサービス内容】

    1. 食事や入浴、排せつ等の身体介護
    2. 調理や洗濯、掃除等の家事援助
    3. 生活等に関する相談及び助言
    4. その他の生活全般にわたる援助

 

【外出時におけるサービス内容】
移動中の介護

他のサービスとの違い

重度訪問介護は、常時支援が必要な方へ包括的に支援を行う事を想定しています。例えば居宅介護では1回あたりの提供時間は長くても1時間半から2時間程度ですが、重度訪問介護は24時間提供を行う事も想定されています。

また、重度者が多いことも特徴的であり、喀痰吸引や経管栄養が必要な方も多く、これら専門的な支援も提供されている場合が多いです。

重度訪問介護の対象利用者は?

対象利用者

重度訪問介護の対象となる方は、行動の面で著しい困難があって常時介護を要する方で、肢体不自由者、知的障がい者、精神障がい者のいずれも対象です。

具体的には、次の基準のいずれかに当てはまる方が対象となります。

・二肢以上に麻痺等がある者で、障害支援区分の認定調査項目のうち「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれもが「支援が不要(自力でできる)」以外に認定されている
・障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上である

一般的には、筋ジストロフィー、脊椎損傷、ALSなど難病の方や、脳性まひ、遷延性意識障害(事故による寝たきり状態)、重症心身障害、強度行動障害などが挙げられます。

厚生労働省が行った調査によると、重度訪問介護を行う事業所数は2012年度から2016年度までの間に、重度訪問介護の利用者数や1人あたりの費用額は毎年3%前後増加し、事業者数や利用総額は年6%程度の伸びをみせるなど、重度訪問介護の需要は年々増加する傾向にあります。

重度訪問介護でできること できないこと

重度訪問介護で出来ること

身体介護:入浴、排せつ、食事、着替えの介助など
家事援助:調理、洗濯、掃除、生活必需品の買い物など
移動介護:外出時における移動の支援や移動中の介護
その他:生活等に関する相談や助言、見守り

 

重度訪問介護で出来ないこと

居宅介護サービス受給者に対しての支援提供(個別に自治体が可能と判断した場合を除く)や、通院時・入院時の問診、検査にかかる時間等は算定することが出来ません。

重度訪問介護の2時間ルール

重度訪問介護においては、2時間ルールというものが存在しません。

居宅介護との違い

提供時間

居宅介護:身体介助の場合は、1回当たり2時間程度、家事援助の場合は、1回当たり1.5時間以内程度という時間で支援を行うことが多い。

重度訪問介護:重度訪問介護の場合は長時間の支援を見込んでいます。例外的に、1回の支援が1時間となったり、1時間以上からのスタートとなることも認められています。

2時間ルール

居宅介護:同じ種別のサービスは2時間以上の空白時間を設けなければならない。

重度訪問介護:支援に入り、その日に、次の支援に入るとして、空白時間が生じても良いが、「空白時間そのものについて、2時間以上を設けなければならない」というような規定が存在しない

対象者

居宅介護:障害支援区分1以上の方が「身体介護」「家事援助」の支援を、区分2以上で「歩行」「移乗」「移動」「排尿」「排便」について支援が必要な方が通院等介助(身体介護伴う場合)の支援を、受けることができます。

重度訪問介護:障害支援区分4以上で、二肢以上に麻痺があり、「歩行」「移乗」「移動」「排尿」「排便」のいずれも「支援が不要」以外となっている方が、支援を受けることができます。

サービス内容の違い

居宅介護:居宅介護は、入浴や排泄などの支援の「身体介護」、調理や洗濯などの「家事援助」、病院や診療所などに行くための「通院等介助」と、支援をしっかり区別をはっきりさせているという特徴があります。必要な部分だけ支援を行い、障害があっても自分らしく過ごすための自立を最大限促すものというもので、訓練的な要素も含んでいます。

重度訪問介護:こちらの方の支援は、先に述べた通り、「長時間の支援で時間設定も柔軟な支援」を行うことができ、「身体介護」や「家事援助」や「外出時の介護」などが区別されずに、総合的な支援として、行うことができる支援です。自立を支援するものであるという考え方については居宅介護と同じですが、その支援の仕方、自立の定義がより広範囲になると言えます。

重度訪問介護の大変さとやりがい

利用者に対応するのが難しい

ご利用者様の中には言葉が出なかったり、体を動かすことが出来ない方が多くいらっしゃいます。また、表情さえ動かすことが出来ず、眉間で想いを訴えてこられる方もいます。

その表情が厳しかったり、端的な言葉で想いを伝えるがためにご利用者が『怒っている』ように見えたりして、時に落ち込んでしまうこともあります。

ご利用者からすると、

  • 自分で体位変換をすることが難しいため、体の位置が違うと次のヘルパーが来るまで痛みに耐えるしかない
  • コップの位置が違うと、水分摂取を上手く行うことが出来ない
  • 移乗介助の手順が違うことで、転倒の恐怖がある

このように利用者が恐怖に感じることや、不安に思ってることを取り除けるよう介助を行えば、気難しい方とも通じ合えるため、コミュニケーションを取りながら経験を重ねることが大切です。

『怒られた』『怖い』等感じることもありますが、決して怒っているわけではなく『端的にしか想いを伝えることができない場合がある』ということを覚えておいてください。

お互いに気持ちが通じ合えた時の喜びは、たとえようがないくらい介護士冥利につきます。

長時間のサービスが大変

重度訪問介護のサービス時間は長く設定されています。重度訪問介護の場合は、24時間途切れることなくサービスを利用している方も多く、1回の訪問では、サービス時間が2時間~10時間となっています。 8時間勤務の3交代制としている場合もあります。

一方で移動時間が短時間サービスより短いという面で重度訪問介護の方が体が楽だという方もいらっしゃいます。

入浴介助など技術面で難しい

重度訪問介護を利用する人は、文字通り重度の障がいをお持ちの方になり、一般的な介護技術以上に、利用する方に配慮した介護スキルが必要になるため、これまで行ってきた身体介助の技術が通用しないことも多々あります。利用される方の中には、臓器に疾患を抱えている方も多いため、それぞれの状態に配慮した繊細な介助が必要になります。

同行等のOJTも有りますが、自分で自己研鑽を行い、ご利用者はもちろん自分自身にも負担の無い介助を行えるようにしましょう。

トラブルなど緊急時の対応が難しい

施設介護の場合は、先輩や同僚など一緒に働くスタッフが近くにいるので、緊急時やトラブルの対応にも心強いですが、1人で対応する重度訪問介護の場合は、トラブルや緊急時の対応の判断をゆだねられることもあります。

特に夜間帯においては事務所と連絡が取れない等も想定されますので、夜間や連絡の取りづらい時間帯に緊急事態が起きたときの対応方法は事前に取り決めておくことが大切です。

 

障害者総合支援法のサービスは、その障害の特性に合わせた形で制度設計されていることが殆どです。このため、重度訪問介護のみならず、それぞれのサービスで専門性が求められることになります。

重度訪問介護においては、対象となるご利用者が重度者であることから、より高い技術力が求められることになりますが、この支援のやりがいはとても大きなものです。

支援を担当するには?資格は?

重度訪問介護従業者研修

重度訪問介護従業者とは、重度の肢体不自由者(障害程度区分4~6)で日常的にサポートを必要とする方に介護サービスを提供するための資格です。都道府県知事の指定する重度訪問介護従業者養成研修を修了することで資格を取得することができます。
研修には基礎課程・追加課程があり、基礎課程の修了者は障害程度区分4・5の利用者に、追加課程の修了者は障害程度区分6の利用者に介護サービスを提供できるようになります。都道府県によっては、基礎課程・追加課程と医療的ケア(喀痰吸引等研修(第3号研修))の基本研修を行う「統合課程」が実施されていることもあります。

訪問介護員2級・1級相当資格(初任者研修・実務者研修)

居宅介護の従事資格があれば、重度訪問介護でも仕事をすることが出来ます。この資格では、介護保険法における支援も担当することが出来ます。

また、同資格では同行援護を行う事は出来ませんので注意が必要です。

その他

介護福祉士等も支援を担当することが出来ます。