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処遇改善加算Q&A 【2022年】どう作る?職場環境要件に関する要件編

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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この記事では、介護保険における処遇改善加算におけるQ&Aについてご紹介していきます。

職場環境等要件とは?

職場環境等要件を満たすには、介護職員の賃金以外に職場環境などを改善する取り組みを整備していることが必要になります。

大きくは以下5つに分類され、項目に定められたものの中から『1つ以上』取り組みを設定します。

①入職促進に向けた取組

②資質の向上やキャリアアップに向けた支援

③両立支援・多様な働き方の推進

④腰痛を含む心身の健康管理

⑤生産性向上のための業務改善の取組

⑥やりがい・働きがいの醸成

キャリアパスに関する要件で求められている事項と重複する事項は選べないことに注意が必要です。

職場環境要件の取り組み事例

職場環境の取り組みは、処遇改善加算ではなく『特定処遇改善加算』において見える化することが要件にもなっており、多くの事業所がホームページやインターネット上で公表をしています。

インターネットでも検索できますので、他社の事例も参考にしてみてください。

入職促進に向けた取組事例

①法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化

〇方針や施策を定め、ホームページや情報公表職員採用案内に明記している。

〇方針や施策を定め、面接時や就職説明会にて案内をしている。

②事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築

〇エリア内で事業所が集まり、共同して説明会を実施している。

〇エリア内の事業所同士が協力して研修を実施している。

③他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕
組みの構築

〇不定期にハローワークにて、採用活動とともに介護についての説明会を実施している。

〇定期的に無資格者にむけて無料説明会を実施している。

④職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施

〇資格学校や高校等に出向き、介護について広く周知するとともに採用活動を実施している。

資質の向上やキャリアアップに向けた支援事例

①働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技
術を取得しようとする者に対する喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対
するマネジメント研修の受講支援等

〇資格取得制度として受講料の1部を法人が立て替える制度を準備している

〇試験前〇〇日を『試験休暇』として定め、勉強のための時間を確保する支援を実施している

〇イーラーニングで過去問や受講の研修が出来るように準備している

②研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動

〇資格とキャリア段位を連動させ、上位資格保持者の給与が高くなる制度にしている

③エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等導入

〇直接の上司ではなく、利益関係のない他部署の人材をメンターとして配置している

④上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ等に関する定期的な相談の機会の確保

〇年に2回、今後のキャリアプランを一緒に考える面談を確保している

両立支援・多様な働き方の推進事例

①子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備

〇育児・介護休暇の制度を法人で独自に準備するとともに、法人内の保育所等で預かれる制度がある


②職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備

〇家庭の都合に合わせて働ける様、日給制で働ける非常勤の制度がある

③有給休暇が取得しやすい環境の整備

〇有給を取得しやすいよう、エリア内の同職種間で定期的に交流を行い、有給時には同職種間で補いあう取り組みをしている

④業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実

〇メンタルヘルス窓口を外部に設け、社内の人に言えない悩みも相談しやすい窓口を設定した

腰痛を含む心身の健康管理事例

①介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、介護ロボットやリフト等の介護機器等導
入及び研修等による腰痛対策の実施

〇年に1回腰痛予防のために外部講師を呼んでいる

〇利用者と職員にとって負担の無い介護技術の研修を導入している

②短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等
健康管理対策の実施

〇非常勤も含めた全社員に対して健康診断とストレスチェックを実施している

③雇用管理改善のための管理者に対する研修等の実施

〇雇用管理改善のため、人事労務等の専門的な研修を管理者に実施している

④事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備

〇介護における事故・苦情だけでなく、職員や職場内での事故やトラブルを想定したマニュアルを整備している。

生産性向上のための業務改善の取組の事例

①タブレット端末やインカム等のICT活用や見守り機器等の介護ロボットやセンサー等の導入による業務量の縮減

〇ICT導入を実施し、記録から請求まで一気通貫して行える体制をとった

②高齢者の活躍(居室やフロア等の掃除、食事の配膳・下膳などのほか、経理や労務、広報なども含め
た介護業務以外の業務の提供)等による役割分担の明確化

〇介護の無資格者を対象に高齢者限定で採用を行い、資格を持たなくても安心して働けるキャリア段位を設けた

③5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備

〇5S活動の制度を導入し、毎日チェック表で守れているかを確認する整備を実施している。また衛生委員会による職場巡視などを通して、5S 活動の徹底を図っている。

やりがい・働きがいの醸成事例

①ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた
勤務環境やケア内容の改善

〇月に1回ミーティングの後に職場の環境を更に良くする案を出し合う事を議題に入れている

②地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実

〇敷地を活かし年に1回エリアの事業所と共同で地域の方が幅広く参加できるお祭りを開催している

〇他社が行っている地域交流会に、他社と共同して主催者として一緒に参加している

③利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供

〇年に1回、法人に設置している方針やマニュアルを全職員に周知している

④ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供

〇年に1回、ケアの好事例や利用者等からの謝意等を共有、表彰する制度を設けている

特定処遇改善加算の職場環境要件との違い

【処遇改善加算】
届出に係る計画の期間中に実施する事項について、全体で必ず1つ以上を実施します。ただし、キャリアパスで選択した事項と重複する事項は記載できません。

【特定処遇改善加算】
複数の取組を行い、「入職促進に向けた取組」、「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」、「両立支援・多様な働き方の推進」、「腰痛を含む心身の健康管理」、「生産性向上のための業務改善の取組」、「やりがい・働きがいの醸成」について、それぞれ1つ以上(令和3年度は、6つの区分から3つの区分を選択し、選択した区分でそれぞれ1つ以上)の取組を行うこと。

※処遇改善加算と特定加算とで、別の取組を行わなくても大丈夫です。

まとめ

本日は処遇改善加算の職場環境い要件についてご紹介してまいりました。

職場環境要件は『特定処遇改善加算』でも要件が定めれていますが、その要件と混同しないように注意しましょう。

 

 

 

 

 

 

お役立ち資料:処遇改善加算の取得を目指す方へ

介護事業所向けに、処遇改善加算の取得から運用までを詳しくまとめました。
処遇改善加算の取得を考えている方や、すでに取得しているものの運用に不安を感じる方は、ぜひご一読ください。
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