訪問介護、通所介護などお役立ち情報・書式が満載

  1. HOME
  2. 事業運営
  3. 事業承継(M&A)
  4. デイサービス・訪問介護のM&Aについて「うちなんて価値はない」は間違いです

デイサービス・訪問介護のM&Aについて「うちなんて価値はない」は間違いです

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

詳細プロフィール

続きを読む

この記事では、 赤字経営の訪問介護・デイサービスのM&Aについてご紹介をします。

訪問・通所介護事業所の概況

 

訪問介護・デイサービスの倒産状況

2020年の「老人福祉・介護事業」倒産は118件(前年比6.3%増)で、これまで年間最多だった2017年と2019年の111件を上回り、最多記録を更新しました。

新型コロナ感染拡大で利用控えなどが進み、経営が悪化した新型コロナ関連倒産も7件発生しており、人手不足などで経営不振が続く小規模事業者に加え、新型コロナの影響が件数を押し上げた形となっています。

業種別では、「訪問介護事業」が56件(構成比47.4%)と半数近くを占め、深刻なヘルパー不足が影響し、次いで、デイサービスなどの「通所・短期入所介護事業」の38件(同32.2%)で、前年から18.7%増加しています。大手企業との利用者や従業員の獲得競争が激しく、倒産増加の一因にもなっているとみられています。

M&Aの動向

国内の M&A 件数が増加をたどっています。この要因には高齢化による事業承継の増加があげられ、これは介護業界においても同様です。

介護ビジネス分野の M&A も徐々に増加してきており、介護業界の M&A は、人手不足や後継者不足の問題の解消という売り手側のニーズと、既存事業の強化や成長産業への新規参入という買い手側のニーズが合致することで増えているとみられています。

M&A によって事業所の経営が安定すれば介護の質の向上も期待できるため、利用者にとっても望ましく、介護保険制度の今後の改革によって、保険適用範囲の見直しや介護事業所の大規模化が進むとみられており、これらの方針は介護市場の成長を後押しするとも考えられています。

また、日本の介護サービスや福祉用具、介護予防等に対する海外からの関心も高く、介護ビジネスは公的保険をベースとしたものではあるものの、成長が期待できる産業であり、引き続き市場の拡大を見込んだ M&A が増加するとされています。

赤字事業所のM&A

では経営不振の事業所をM&Aで引き継ぎたいという企業はあるのでしょうか。答えはあります。

進む大規模化に対し、中小零細企業がとるべき戦略としてランチェスター戦略やドミナント戦略があります。

一定の市場において複数拠点や複数事業を展開し、○○のエリア、○○市においては競合他社や大手企業よりもシェアを獲得するような戦略のことを指しますが、中小企業の戦略としてしばしば取り上げられます。経営不振の事業所を譲りたいと考えた時に、多くのケースでは近隣にこういった戦略を取られている企業が存在するのです。

まとめ

    そのような地域の有力企業においては、仕入れコストや人材の共有化を図り経営資源の効率化を行う。またはエリアでの市場占有率があがり、認知度が高くなり、ブランド化ができる。そのためM&Aで事業を譲り受けることを検討されます。とは言え、どんな事業所でも買収するわけでもなく好業績が出ていることに越したことはなく、どこの企業がそういった戦略を考えているかは一経営者では知り得ない情報でもあるため仲介業者を活用するのが一般的なM&Aの流れになっています。

    うちは赤字だから価値がない。売れない。引き取ってくれる先なんてない。だから閉める、廃業する。という経営者の方と話す機会も少なくありません。

    M&Aにおいては希望譲渡価格ももちろんですが、最終的には交渉で実売価格が決まります。そのため企業価値を高め希望価格を高く出せても、赤字の状態で譲渡の希望を低く出しても、実際の価値や期待値などを含めた交渉や、経営者同士の相性、M&A仲介会社の手腕などさまざまな要因が絡みます。

    特に訪問介護やデイサービスのM&Aの場合、設備面での資産が少ないことも多いため、人の価値の向上や加算の取得、実地指導のリスクの排除などに取り組む必要が高まってきます。まずは仲介会社にご依頼される場合においても介護業界ならではの特性を熟知した会社を探されることをお勧めします。

     

    お役立ち資料:介護事業所の売却をご検討中の方に

    介護事業所の売却について、失敗例を紹介しています。
    売却を成功に導くための解決策についても解説しているので、事業所の売却をご検討中の方はご一読ください。
    詳しく見る